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図書館レビュー
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みなさん、図書館行ってますか? 図書館に面白い本は置いていないと、決めつけてしまっていませんか? 今では絶版になってしまい入手が難しい本も、図書館には置いてあります。地方の公立図書館も捨てたものではありません。わざわざ東京まで出向かなくても、あなたが詠みたい本は、意外と近くにあるのです。それに、図書館という場所が持つ落ち着いた空気は、ほかの場所では味わえません。今回は、僕が訪れたことのある、つくばから近い公立図書館をレビューしました。あなたの快適な図書館ライフの一助になれば幸いです。
つくば市立中央図書館
大学から最も近い市立図書館。駅からも近い好立地で、宅通の方でも行きやすい。最大の魅力はリクエストが簡単に通ることで、歴代のミス研会員が新刊のリクエストを入れまくっていたそう。既刊の蔵書も結構あり、0円で一日潰せる大学生の味方。視聴覚資料も充実しており、テレビドラマや映画のDVDが結構ある。閲覧席は番号札制かつ午前・午後で入れ替えとなるので、図書館を自習室として利用したい人にとっては使いづらいかも。公園の中に位置しており、図書館の前でポケモンGOをプレイしている人が多い。
小野川交流センター
つくば市立図書館のカードは、中央図書館のほかに、小野川、谷田部、茎崎、筑波の四つの交流センターで使える。小野川交流センターはその名の通り川のそばにある施設で、大学からは自転車で三十分くらいかかる。図書館ではなく交流施設の図書室なので規模は大きくないが、信じられないほど表紙がダサい『孤島パズル』のハードカバー版があったり、「漫画で読破」シリーズの『黒死館殺人事件』と『ドグラマグラ』があったりと、ミス研の民に訴えかける本は意外とある。『失踪HORIDAY』の批評会のときはここで借りた。自習席は居心地がいいので、テスト勉強をしたいときもよく行く。
谷田部交流センター
大学からは自転車で四十五分くらい、TXみどりの駅から徒歩二十分のところに立地する交流センター。アクセスクソ悪いと思うかもしれないが、駅が遠くて気軽に出かけられず、近くに本屋もあまりないような田舎にこそ、図書館は必要だと思う。小説の蔵書は意外にも多く、連城三紀彦の絶版本が結構あったり、笠井潔の「矢吹駆シリーズ」初期三作が一冊になった『天使/黙示/薔薇』があったりと、熱心なミステリファンが手に取りたくなる本が置いてある。しかし『天使/黙示/薔薇』はでかくて分厚くてめちゃくちゃ読みづらい。竹本健治の『定本ゲーム殺人事件』にしてもそうだけど、長編を合本にするのはどうかと思う。コスパ厨には嬉しいのだろうか。『人形はなぜ殺される』の批評会のときはここで借りた。
茎崎交流センター
本当にアクセスが悪いのはこっち。あんまりよく覚えていないけど、大学から自転車で一時間以上は確実にかかった。谷田部と違って歩いて行ける駅もなく、本屋とかも本当にないので、茎崎在住で本を読みたくなったらここに行くしかないだろう。田舎の広い土地を贅沢に占めていて、図書室も結構広々としていた。ミス研的には、ハードカバーとノベルスを別の棚に並べているのはかなりグッドポイント。でも竹本健治の「パーミリオンのネコ」シリーズのほかは、目ぼしい蔵書はなかった。自販機のバナナオレがおいしい。
筑波交流センター
筑波山の麓にある交流センター。つくば駅からバスで二十分強。自転車で行くのはかなりしんどかった。漫画の蔵書がかなり多く、高校生が一日中入り浸っているのが観測できる。日本研究概論の授業で筑波山についてレポートを書いた時には、ここの地域資料が大いに役に立った。筑波山からここまで歩く道は空気がきれいで気持ちいい。ここもハードカバーとノベルスが別の棚に並んでおり、その美意識に感服。近くにあるズタズタのカスミは、田舎のスーパー感全開で居心地が良い。
土浦市立図書館
土浦ごときには部不相応に思えるシャレオツでコンビニエンスな図書館。駅ビル『アルカス土浦』の中にありアクセスは抜群。内装は市立とは思えないほど洗練されており、成金私立高校のような印象を抱かせる。また、図書館というのは大半が飲食禁止で、食事の際にはいったん外に出るしかないなか、ここはイートインスペースも完備されており、紙コップに入れるタイプのおいしい自販機も設置してあって正に至れり尽くせり。おしゃれ系書店にありがちな、ビジュアル重視で蔵書はおざなりという問題とも無縁で、文庫、ハードカバーともに豊富である。『皆川博子コレクション』や『夏と冬の奏鳴曲』などの手に入りづらい名作は必見。市立図書館にしては珍しく、土浦市民でなくてもカードを作れる。
茨城県立図書館
JR水戸駅から徒歩五分。茨城に住むなら一度は行きたい、田舎公立図書館の究極系。最大の魅力は、なぜか誰でも自由に出入りできる地下書庫。自然光が差し込まない空間で感じる膨大な蔵書の圧力はすさまじい。『化粧した男の冒険』の批評会の時は、笠井潔や小森健太朗の評論を借りに行った。ここで借りた本はつくばでも返すことができる。閲覧席も数多く配置され、清掃も行き届いており居心地最高。住みたい。正直まだ全貌を把握しきれていないので、近いうちにもう一度行こうと思っている。
水戸市立中央図書館
JR水戸駅から徒歩二十分くらいのところにあるスタンダードな図書館。大した特徴はないが、that's市立図書館な内装は居心地が良い。行ったのが一年以上前なのであまりよく覚えていないが、蔵書はまあまあだった気がする。鮮明に覚えているのは、山口雅也『奇偶』のハードカバー版があったこと。あまりの装幀のカッコよさに、持ち逃げしようかと真剣に考えた。この本を拝むためだけでも行く価値があると思う。
水戸市立東部図書館
JR水戸駅から徒歩三十分くらいのところにある、公園の中の質素な図書館。ブックオフ水戸元吉田店から徒歩五分の位置にあり、往復してるだけで心が満たされる。そんな休日を過ごす俺。笑いたきゃ笑えよ。規模としては小さいほうなのだが、なぜか国書刊行会の世界探偵小説全集は揃っている。そのほかにも、カーター・ディクスン『読者よ欺かるるなかれ』、竹本健治と建石修志による絵本『虹の獄、蟻の獄』など、琴線に触れるものは多かった、そして、なぜかここにもあった『奇偶』のハードカバー。水戸市民のバイブルなのだろうか。水戸にはほかにも「水戸市立西部図書館」をはじめいくつか市立図書館があるようだが、まだ行ったことはない。
牛久市立中央図書館
JR牛久駅から徒歩十五分くらいのところにある図書館。外見はかなり立派なのだが、中に入ってみると意外と狭い。木目調の床にクリーム色の壁という図書館らしい図書館。こちらもブックオフ牛久店から徒歩五分程度の位置にあり往復に適している。気になった蔵書はそんなにないのだが、強いて言えば有栖川有栖『女王国の城』のハードカバーと竹本健治『汎虚学研究会』くらいか。さっきから同じ作家の名前ばっか出てきて、僕の守備範囲の狭さが窺えてしまう。空気がきれい。
龍ヶ崎市立中央図書館
関東鉄道竜ヶ崎駅から徒歩十分の場所にあるキュートな図書館。ここもブックオフ竜ヶ崎店に行ったついでに行ける距離だったと記憶している。ド田舎とまではいかない中途半端な田舎を体感したい人にはうってつけのスポット。ノベルスが割と豊富で、法月綸太郎の短編集がほぼ揃っていたような気がするが、記憶違いかもしれない。竹本健治『風刃迷宮』はここが初見だった。竜ヶ崎はコロッケが有名らしく、関東鉄道竜ヶ崎線の吊り革にはコロッケの食品サンプルがついている。「竜ヶ崎」「龍ヶ崎」の表記ゆれがあちこちで見られる。
つくばみらい市立図書館 みらい平分館
TXみらい平駅から徒歩八分の場所にある小規模な図書館。蔵書も少なく、TXの駅から近いという以外に特筆すべきことはない。笠井潔の大作『吸血鬼と精神分析』が置いてあったが、手に取る気力はなかった。
つくばみらい市立図書館
TXみらい平駅および守谷駅から徒歩五十分の場所にある図書館。文庫の蔵書は少ないが、ハードカバーはかなり揃っていて、ジョン・ディクスン・カー『月明かりの闇 フェル博士最後の事件』、や、エラリー・クイーンのエッセイ集『クイーン談話室』など、海外ミステリファンに刺さる本が置いてある。手すりのついた大きなスロープが二階まで続いており、バリアフリーへの配慮もばっちり。近くにはあの有名な厳島神社があるので、参拝しよう。
守谷市立中央図書館
TX守谷駅から徒歩二十分のところにあるナイスな図書館。僕は守谷でアルバイトをしているので、ときどき時間つぶしに行っている。自習席がかなりナイスで座りたいのだが、平日の昼に行ってもだいたい埋まっている。守谷の連中はなんか知らんけど平日の昼間から図書館にいる。目を引いた本はメフィスト賞の隠れた名作、近本洋一『愛の徴 天国の方角』や、氷川透にも同名の長編があるフィリップ・K・ディック『最後から二番目の真実』あたりか。休館日が毎月第一月曜日だけで、働きすぎではないかと不安になる。
下妻市立図書館
嶽本野ばら『下妻物語』で有名な下妻にある図書館。関東鉄道下妻駅から徒歩十分。つくばから自転車で行けないこともないがかなりしんどい。ガラス張りのきれいな外装で、中も白い壁に青みがかった薄暗い照明が、水族館のような独特の雰囲気を演出している。手に取った本は、「鮎川哲也名探偵全集」と有栖川有栖『狩人の悪夢』。「鮎川哲也名探偵全集」には、『死のある風景』と『人それを情死と呼ぶ』の中編バージョンが収録されている。両方ともチマチマ系のトリックなため、中編だと情報量多すぎて読みづらいから長編のほうが良い。ブックオフが近い。
柏市立図書館 田中分館
茨城を飛び出して千葉の図書館。TX柏たなか駅から徒歩五分。公民館併設の小規模図書館だが、倉坂鬼一郎『五色沼黄緑館藍紫館連続殺人』、殊能将之『キマイラの新しい城』など、面倒くさいミステリファン向けの本がいくつか置いてある良館。分館でこのクオリティとなれば、本館への期待は当然高まるが……。
柏市立中央図書館
JR柏駅から徒歩十五分くらい? 時間を気にする必要がないほど暇な時しか行かないからよくわからない。分館が小さいながらも粒ぞろいだったため期待していたが、琴線に触れる蔵書は一冊もなかった。まあまあ大きい棚が並んでいるのだがマジで一冊もなかった。まあ柏が悪いんじゃなくて、僕の嗜好が偏ってるせいだけど。閲覧席も長椅子しかなく、居心地はあまりよくない。そんな期待外れ館の割には何度も行っている。柏にはブックオフがいっぱいあるからね。
流山市立図書館 南流山駅前分館
名前の通り、TXおよびJR南流山駅から激近な図書館。僕は帰省するとき南流山で武蔵野線に乗り換えるので、ついでに行くことも多い。やはり分館なので小さいが、ハヤカワポケミスがやたらたくさん置いてある。あと、ノベルスも結構あって、二段組みで千ページを超える清涼院流水の超大作『カーニバル・デイ』を置いている神館。
南流山市立中央図書館
TX流山セントラルパーク駅から徒歩十五分の場所にある味わい深い図書館。「セントラル」と銘打ってるくせに快速も区間快速も止まらない。図形的な中心と地理的な中心は違うんだね。市原中央高校の周りに何もないのと同じだな。そんな残念アクセスの中央図書館だが、業務スーパーまでは徒歩一分という素敵な立地。もうここで暮らせるじゃん! 「平和台ショッピングセンター」という名の自販機も近い。清涼院流水のゲームブック『LOVE LOGIC 蜜と罰』が置いてあり、十分に良館の水準に達している。しかしこの本はせんべいの欠片みたいなのがたくさんくっついていて汚い。流山の民度が低いのか、清涼院読者の民度が低いのか。一階は市立図書館には不釣り合いな気の利いた音楽がかかっており、ブックカフェのような雰囲気を醸し出している。二階閲覧席には背もたれが縦回転する不思議な椅子がある。
よく、田舎者は狭い世界しか知らないというような言い方をされるけど、都会ってのは日本には東名阪の三つしかなくて、その周りには無数の田舎が広がってるんですよね。だとしたら、都会に出て世界を知ったような気になっているほうが、よほど井の中の蛙ではないでしょうか。だから、こうして田舎の公立図書館を巡ることによって、世界の本当の姿が見えてくるんじゃないか。そんな気がしています。
(K)
つくば市立中央図書館
大学から最も近い市立図書館。駅からも近い好立地で、宅通の方でも行きやすい。最大の魅力はリクエストが簡単に通ることで、歴代のミス研会員が新刊のリクエストを入れまくっていたそう。既刊の蔵書も結構あり、0円で一日潰せる大学生の味方。視聴覚資料も充実しており、テレビドラマや映画のDVDが結構ある。閲覧席は番号札制かつ午前・午後で入れ替えとなるので、図書館を自習室として利用したい人にとっては使いづらいかも。公園の中に位置しており、図書館の前でポケモンGOをプレイしている人が多い。
小野川交流センター
つくば市立図書館のカードは、中央図書館のほかに、小野川、谷田部、茎崎、筑波の四つの交流センターで使える。小野川交流センターはその名の通り川のそばにある施設で、大学からは自転車で三十分くらいかかる。図書館ではなく交流施設の図書室なので規模は大きくないが、信じられないほど表紙がダサい『孤島パズル』のハードカバー版があったり、「漫画で読破」シリーズの『黒死館殺人事件』と『ドグラマグラ』があったりと、ミス研の民に訴えかける本は意外とある。『失踪HORIDAY』の批評会のときはここで借りた。自習席は居心地がいいので、テスト勉強をしたいときもよく行く。
谷田部交流センター
大学からは自転車で四十五分くらい、TXみどりの駅から徒歩二十分のところに立地する交流センター。アクセスクソ悪いと思うかもしれないが、駅が遠くて気軽に出かけられず、近くに本屋もあまりないような田舎にこそ、図書館は必要だと思う。小説の蔵書は意外にも多く、連城三紀彦の絶版本が結構あったり、笠井潔の「矢吹駆シリーズ」初期三作が一冊になった『天使/黙示/薔薇』があったりと、熱心なミステリファンが手に取りたくなる本が置いてある。しかし『天使/黙示/薔薇』はでかくて分厚くてめちゃくちゃ読みづらい。竹本健治の『定本ゲーム殺人事件』にしてもそうだけど、長編を合本にするのはどうかと思う。コスパ厨には嬉しいのだろうか。『人形はなぜ殺される』の批評会のときはここで借りた。
茎崎交流センター
本当にアクセスが悪いのはこっち。あんまりよく覚えていないけど、大学から自転車で一時間以上は確実にかかった。谷田部と違って歩いて行ける駅もなく、本屋とかも本当にないので、茎崎在住で本を読みたくなったらここに行くしかないだろう。田舎の広い土地を贅沢に占めていて、図書室も結構広々としていた。ミス研的には、ハードカバーとノベルスを別の棚に並べているのはかなりグッドポイント。でも竹本健治の「パーミリオンのネコ」シリーズのほかは、目ぼしい蔵書はなかった。自販機のバナナオレがおいしい。
筑波交流センター
筑波山の麓にある交流センター。つくば駅からバスで二十分強。自転車で行くのはかなりしんどかった。漫画の蔵書がかなり多く、高校生が一日中入り浸っているのが観測できる。日本研究概論の授業で筑波山についてレポートを書いた時には、ここの地域資料が大いに役に立った。筑波山からここまで歩く道は空気がきれいで気持ちいい。ここもハードカバーとノベルスが別の棚に並んでおり、その美意識に感服。近くにあるズタズタのカスミは、田舎のスーパー感全開で居心地が良い。
土浦市立図書館
土浦ごときには部不相応に思えるシャレオツでコンビニエンスな図書館。駅ビル『アルカス土浦』の中にありアクセスは抜群。内装は市立とは思えないほど洗練されており、成金私立高校のような印象を抱かせる。また、図書館というのは大半が飲食禁止で、食事の際にはいったん外に出るしかないなか、ここはイートインスペースも完備されており、紙コップに入れるタイプのおいしい自販機も設置してあって正に至れり尽くせり。おしゃれ系書店にありがちな、ビジュアル重視で蔵書はおざなりという問題とも無縁で、文庫、ハードカバーともに豊富である。『皆川博子コレクション』や『夏と冬の奏鳴曲』などの手に入りづらい名作は必見。市立図書館にしては珍しく、土浦市民でなくてもカードを作れる。
茨城県立図書館
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水戸市立中央図書館
JR水戸駅から徒歩二十分くらいのところにあるスタンダードな図書館。大した特徴はないが、that's市立図書館な内装は居心地が良い。行ったのが一年以上前なのであまりよく覚えていないが、蔵書はまあまあだった気がする。鮮明に覚えているのは、山口雅也『奇偶』のハードカバー版があったこと。あまりの装幀のカッコよさに、持ち逃げしようかと真剣に考えた。この本を拝むためだけでも行く価値があると思う。
水戸市立東部図書館
JR水戸駅から徒歩三十分くらいのところにある、公園の中の質素な図書館。ブックオフ水戸元吉田店から徒歩五分の位置にあり、往復してるだけで心が満たされる。そんな休日を過ごす俺。笑いたきゃ笑えよ。規模としては小さいほうなのだが、なぜか国書刊行会の世界探偵小説全集は揃っている。そのほかにも、カーター・ディクスン『読者よ欺かるるなかれ』、竹本健治と建石修志による絵本『虹の獄、蟻の獄』など、琴線に触れるものは多かった、そして、なぜかここにもあった『奇偶』のハードカバー。水戸市民のバイブルなのだろうか。水戸にはほかにも「水戸市立西部図書館」をはじめいくつか市立図書館があるようだが、まだ行ったことはない。
牛久市立中央図書館
JR牛久駅から徒歩十五分くらいのところにある図書館。外見はかなり立派なのだが、中に入ってみると意外と狭い。木目調の床にクリーム色の壁という図書館らしい図書館。こちらもブックオフ牛久店から徒歩五分程度の位置にあり往復に適している。気になった蔵書はそんなにないのだが、強いて言えば有栖川有栖『女王国の城』のハードカバーと竹本健治『汎虚学研究会』くらいか。さっきから同じ作家の名前ばっか出てきて、僕の守備範囲の狭さが窺えてしまう。空気がきれい。
龍ヶ崎市立中央図書館
関東鉄道竜ヶ崎駅から徒歩十分の場所にあるキュートな図書館。ここもブックオフ竜ヶ崎店に行ったついでに行ける距離だったと記憶している。ド田舎とまではいかない中途半端な田舎を体感したい人にはうってつけのスポット。ノベルスが割と豊富で、法月綸太郎の短編集がほぼ揃っていたような気がするが、記憶違いかもしれない。竹本健治『風刃迷宮』はここが初見だった。竜ヶ崎はコロッケが有名らしく、関東鉄道竜ヶ崎線の吊り革にはコロッケの食品サンプルがついている。「竜ヶ崎」「龍ヶ崎」の表記ゆれがあちこちで見られる。
つくばみらい市立図書館 みらい平分館
TXみらい平駅から徒歩八分の場所にある小規模な図書館。蔵書も少なく、TXの駅から近いという以外に特筆すべきことはない。笠井潔の大作『吸血鬼と精神分析』が置いてあったが、手に取る気力はなかった。
つくばみらい市立図書館
TXみらい平駅および守谷駅から徒歩五十分の場所にある図書館。文庫の蔵書は少ないが、ハードカバーはかなり揃っていて、ジョン・ディクスン・カー『月明かりの闇 フェル博士最後の事件』、や、エラリー・クイーンのエッセイ集『クイーン談話室』など、海外ミステリファンに刺さる本が置いてある。手すりのついた大きなスロープが二階まで続いており、バリアフリーへの配慮もばっちり。近くにはあの有名な厳島神社があるので、参拝しよう。
守谷市立中央図書館
TX守谷駅から徒歩二十分のところにあるナイスな図書館。僕は守谷でアルバイトをしているので、ときどき時間つぶしに行っている。自習席がかなりナイスで座りたいのだが、平日の昼に行ってもだいたい埋まっている。守谷の連中はなんか知らんけど平日の昼間から図書館にいる。目を引いた本はメフィスト賞の隠れた名作、近本洋一『愛の徴 天国の方角』や、氷川透にも同名の長編があるフィリップ・K・ディック『最後から二番目の真実』あたりか。休館日が毎月第一月曜日だけで、働きすぎではないかと不安になる。
下妻市立図書館
嶽本野ばら『下妻物語』で有名な下妻にある図書館。関東鉄道下妻駅から徒歩十分。つくばから自転車で行けないこともないがかなりしんどい。ガラス張りのきれいな外装で、中も白い壁に青みがかった薄暗い照明が、水族館のような独特の雰囲気を演出している。手に取った本は、「鮎川哲也名探偵全集」と有栖川有栖『狩人の悪夢』。「鮎川哲也名探偵全集」には、『死のある風景』と『人それを情死と呼ぶ』の中編バージョンが収録されている。両方ともチマチマ系のトリックなため、中編だと情報量多すぎて読みづらいから長編のほうが良い。ブックオフが近い。
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柏市立中央図書館
JR柏駅から徒歩十五分くらい? 時間を気にする必要がないほど暇な時しか行かないからよくわからない。分館が小さいながらも粒ぞろいだったため期待していたが、琴線に触れる蔵書は一冊もなかった。まあまあ大きい棚が並んでいるのだがマジで一冊もなかった。まあ柏が悪いんじゃなくて、僕の嗜好が偏ってるせいだけど。閲覧席も長椅子しかなく、居心地はあまりよくない。そんな期待外れ館の割には何度も行っている。柏にはブックオフがいっぱいあるからね。
流山市立図書館 南流山駅前分館
名前の通り、TXおよびJR南流山駅から激近な図書館。僕は帰省するとき南流山で武蔵野線に乗り換えるので、ついでに行くことも多い。やはり分館なので小さいが、ハヤカワポケミスがやたらたくさん置いてある。あと、ノベルスも結構あって、二段組みで千ページを超える清涼院流水の超大作『カーニバル・デイ』を置いている神館。
南流山市立中央図書館
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よく、田舎者は狭い世界しか知らないというような言い方をされるけど、都会ってのは日本には東名阪の三つしかなくて、その周りには無数の田舎が広がってるんですよね。だとしたら、都会に出て世界を知ったような気になっているほうが、よほど井の中の蛙ではないでしょうか。だから、こうして田舎の公立図書館を巡ることによって、世界の本当の姿が見えてくるんじゃないか。そんな気がしています。
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