溺恋マリアージュ。

碧まりる

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番外編+SS(本編のネタバレ含みます)

     Christmas Day−6

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 やっとのことで呼吸を許された恋の唇はたおやかに呟く。
 二年ほど前──新総帥披露パーティー後のことを言っているのだろう。募らせた恋慕から、たしかにあの時も栓が吹っ飛んだ炭酸水の如く発情していた。そういえば同様に部屋の玄関先で欲情をぶつけ合ったなと、いつかを懐かしむ。

「なんなら再現しとく?」

 疑問符を浮かべる瞳をキスで封じてから、ネクタイの結び目を横に引いた。余った手でベルトのバックルを外したあと、邪魔なドレス裾を捲ると見事な脚線美が顔を出す。
 俺はきっとこんなふうにしたろう。ブレない己を滑稽に思いながらも、華奢な片脚を腕に引っ掛け、本能のままに熱を繋げた。
 はちきれんばかりの雄の熱を蜜に埋めようとすれば、甘えたな入口は無意識に吸い付いてきて奥へと急かすのだ──すべては例の夜のように。

「ぁ……! あ。あ……んん」

 ──そんな欲しそうにしてひくつくなよ。全部挿る前に理性吹っ飛ぶ。

 あの時も全く同じことを願い、逸る激情をかなりセーブしたに違いない。全力で雄を煽る恋を前にどれだけ自制心を消耗したか。迂闊にも辿ってしまったことで鮮明に甦り、欲望のまま一気に最奥まで貫いた。

「あ……うそ、いきなり深っ──んぅ!」

 初めて繋げた時からつゆほども変わらない。何度味わおうが、快感より先立つ情感で溢れる。例えるならば自分の半身が戻ってきたような、なんともいえない安堵感がここにはあった。

「あっという間に全部挿った」
「……も。相変わらずめちゃくちゃっ」

 恋のなかは口よりずっと素直である。俺の形を捉えようとしてぎゅうぎゅう搾り上げるは、少し緩んだと思えば可愛く腰を振ってねだる──表面的に余裕がなさそうなおまえより、俺のほうがずっとどうにかなりそうだ。

 ──あーくそ思い切り突き上げてー。

 なのにそうもできないもどかしさと葛藤した当時を追想したすぐあとに冷笑する。とどのつまり、あの夜とはまず間違いなく異なる点があった。妊婦ではない、安定期でもない──今宵はただの女でしかない。

 といってもこの二年間、全くしなかったわけではない。むしろ産休明けからは毎晩のように睦み合っていた。それでも全力かと聞かれれば俺も恋もNOと答える。
 家には育ち盛りの悠がいた、迂闊に変な声や音は立てられない。寝室には幼い凱のベビーベッドが有る、頻繁に泣き唐突に目覚めるため気が気でない。
 うん年越しの劣情を満たせる場は実のところ一度たりとも無かった。

「いいぞ。今夜は好きなだけ俺を煽って」

 突っ込んでおきながら動きもせず、あえて意地悪く問い掛けた。輪をかけて、繋がっている少し上の引っ掛かりに指先を伸ばす。するとやはり恋の腰は大きく反り敏感に反応するのだ。

「ぁ、ン! そこ。いまだ……め、え……」
「今度はきっちり剥いてやろうな」
「ぁ……や。挿ったままされたらおかしくなるっ」
「それ俺の大好物」

 潤った指で剥いたそれは、小さいながらもしっかりとした芯をもって主張していた。手始めに指の腹で円を描いて撫で回し、思い立ったところで期待に満ちた突起を摘む。二本指で摘み上げたそれを器用に擦ってやれば、瞬く間に恋の息が上がっていく。

 俺の腰は変わらず動いていないのだが、外からの刺激に腰を振ってよがるとひとりでになかが擦れるのだろう。その、もがくほどに溺れゆくさまは恍惚として見入ってしまうほど。
 終いには、憂い帯びた表情の恋からはぽろぽろと懇願の涙が溢れた。

「ぁ……あ。い……く……っ廉んん」

 おねだりを期待していたが、こんなおまえも悪くない。
 挿っているだけでイきそうになるのを我慢している姿も、動かして欲しくてたまらず繋がっているところを擦り付けてすがる仕草も、頼るように俺の名を呼び続ける甘え方も──かなりくる。

「さすが俺殺し。いけよ一瞬で飛ばしてやる」

 持て余した熱を入口までそっと引き抜いたあと、力任せに最奥まで突き上げたのは語るまでもない。

「んっ──ぁあ!」

 こういう時の恋は一段とえろ可愛い。それにあてられた俺もますます抱きたいより犯したい衝動に駆られる──掛け算で膨らんでいく熱量を止められやしない。

 結城だ総帥だ周りは放っておいてはくれないが、いきつくところ所詮はただの男だ。
 ありきたりだけど、こんなおまえを知っているのがこの先俺だけなのだと思うと興奮すら覚えた。

「んっぁ……レっンおく。おくあたって、るっ」
「ばーか。当ててんだよ」

 ──もっとわけわかんなくなって俺を煽ってみせろよきっちり応えてやる。
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