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番外編 準備を手伝いたい高瀬の話

④(終)★

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「そろそろ、挿れてもいいですか?」
 ぐちゅぐちゅと多すぎる潤滑油が音を立てるそこから、いつのまにか増えていた高瀬の三本の指が引き抜かれた。
 ぼんやりとした頭で頷く。
 高瀬は何も言わずに下着を脱いで、オレと同じで先走りで濡れた性器を下着から取り出す。もちろん初めて見たわけじゃないけど、まだオレは高瀬のモノに全然触れていなかったから、しっかりと勃ち上がっていることに驚いてしまった。
「……高瀬って、オレに触ってただけで勃つのか?」
「え?」
 驚いて、思わず飛び出した言葉に高瀬は目を丸くした。そして、苦笑と共にゴムの袋を開けると「見て」とそれをそそりたつ性器に被せていく。
「恭ちゃんの気持ちよさそうな顔見てたらこんなになっちゃいました」
 余裕ぶって笑う高瀬だったけど、高瀬の性器が入口に当てられるとそれが強がりでしか無いことはわかってしまった。
「……さっきの、すげー良かったから。高瀬もオレのナカで、気持ちよくなってほしい」
「はい……いきますね」
 ぐっと腰が押し込まれ、解されたソコはすんなりと高瀬のモノを飲み込んだ。
「ん、うぁ……! 高瀬っ、おっきい……」
「ごめ、恭ちゃん……ゆっくり、するから……!」
 短いストロークで、奥へと奥へと進んでいく高瀬の性器は、ぐちゅぐちゅとオレのナカを甘く擦り上げていく。
 少しの動作でも爪先まで痺れるような感触が走り抜け、バラバラにならないようにと足でも腕でも目の前の高瀬にしがみついた。
「んん、あ、ぁ……」
 潤滑油のお陰でぬるぬると滑りながらオレのナカへと入ってくる高瀬の性器。固いモノが前立腺に押し当てられて、ずりずりと奥へ押し込まれていく刺激に堪えきれずに声が漏れ出た。
「っ、恭ちゃん……全部、入りました」
「たかせ……」
「いつもより、キツくて……俺、ちゃんと準備してあげれてない、ですね」
 目の前には申し訳無さそうな顔をする高瀬がいて、今にも泣き出しそうなその表情が愛しく思えたから、高瀬の唇へと触れるだけのキスをした。
「気持ちいい、から」
「恭ちゃん……」
「これから、もっとオレに触ってよ。高瀬となら、オレも……セックスが楽しいって、思えそうだから」
 好きになった相手に抱かれたい。それは、ずっと昔からオレの中にある欲望だった。
 実際に好きな相手に抱かれるようになってからは、嫌われたり面倒だと思われたくない気持ちのほうが強くなって、セックスを楽しいとは思えなくなっていた。
「俺、たくさん恭ちゃんのこと知っていきますね」
「あぁ」
 オレが頷くのを待って、高瀬はさっきまでゆっくりだった腰の動きを速めていく。
 結合部から溢れ出る水音と、抑えきれないオレの声。互いの肌を打ち付ける音と、余裕なくオレの名を呼び続ける高瀬の声とが混ざり合い、今オレは高瀬に抱かれているんだと改めて強く思い知らされる。
 しがみつく高瀬の肌も、オレの体も、汗や精液で濡れていた。もう、それがどちらのものかなんてわからない。
 耳元で囁かれる好きの二文字。答えようにも奥まで付かれて舌は上手く言葉を紡げない。
 全身で高瀬にしがみつくことしか出来なくて、きゅうきゅうとナカを締め付ければ高瀬は短な喘ぎ声とともにオレのナカで果てる。
「っあ……高瀬の、出てる……」
 ナカに直接出されたわけじゃないけれど、ゴムのナカに温かな精液が注がれていく感触に腹の奥がきゅうと疼いた。
 オレの方もぐずぐずに濡れていて、高瀬の腹まで白く汚れている。
「一緒にイけましたね」
 嬉しそうに目を細め、高瀬はオレの頬へとキスをした。
 まだオレのナカに埋めたままの高瀬のモノは、固さを失う様子はない。ほんの少し締め付けてみれば、高瀬は眉根を寄せてオレを見下ろす。
「なに、まだ足りない?」
「……はい」
「いいぜ。オレもお前とならもっとしたい」
 高瀬の背に回していた手を下へと下ろし、腰のあたりを押さえるように抱き締める。高瀬は頬を赤くすると、おずおずと再び最奥目指して腰を押し込んだ。
「なぁ、高瀬。オレさ、もう少しお前に甘えられるようにしてみるよ」
「え?」
「面倒臭がられたらとか、嫌われたらとか、そういうの考えないようにしたいって思ってる」
 だって、高瀬はそんなことでオレから離れるようなヤツじゃない。
 それは、よくわかっているから。
「俺は恭ちゃんのそういう面倒臭いとこも好きですから」
「生意気だなぁ」
 どちらともなくキスを交わし、再び高瀬は動き出す。
 それからはオレが動けなくなるまで高瀬と抱き合った。翌朝目覚めたら真っ青な顔をした高瀬に謝り倒され、オレは笑いながら高瀬へと二度寝を要求した。
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