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1.片翼の小鳥
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「硬くなってるって書いてあったから……指先で擦れば見つかるはず……」
奥から、そっと、音斗は指の先端でのどかの直腸内の天井を撫で上げていく。今まで感じたことのない異物感はのどかにとっては快楽とは遠く、音斗の気遣いのお陰で痛みは無いが違和感以外の感想を抱きようがなかった。
「んっ……」
ところが、音斗の指先がある場所を撫でた時、のどかは思わず小さく声を漏らしてしまった。そして音斗も、指先に他の場所とは違う硬さを感じて動きを止める。
「ここ、かな。のどかさん、もう少し触っていいですか?」
「……お願い」
身体の異変を感じたのはのどかも同じだった。許可を得たことで、音斗は先程は指先で掠めただけだったその場所を指の腹でぐっと押し込んでみた。
「ぅあっ!」
のどかの喉から飛び出してきた甲高い悲鳴のような声。のどかは目を丸くして口元を押さえると、すぐに音斗へと顔を向けた。
信じられないものを目にしたような顔をして、音斗ものどかを見つめ返す。
「今……声、出てた?」
一瞬だったからはっきりとはわからないが、普段ののどかの話し声よりはずっと高い声だった。
「もう一回、試します?」
「やってほしい」
「さっきより強くしますね」
不安と期待の混ざった眼差しで、のどかは音斗の指を飲み込んでいる結合部に目を向けている。
音斗は前立腺らしきしこりを再び指先で押し込むと、指先で円を描くようにして擽ってみた。
「あァっ! や、んぁっ、やだ、まって……!」
先程より強い刺激を与えられ、一際高く鳴いたのどかは背中を弓なりに反らすと勃ち上がっていた性器の先っぽからこぷりと白濁を溢した。
懸命な制止の言葉を受け、音斗は熱っぽい息を吐きながらその手を止め、のどかのナカから指先を引き抜いた。
ぎゅっと唇を噛んで、音斗が顔を上げる。自分を見つめるのどかの震える眼差しと、真正面から視線がぶつかった。
「のどかさん、今の……」
普段よりずっと高くて可愛らしい声を震わせた喉を、のどかはひどくゆっくりとした動作で撫でた。本当にそこに自分の喉があるのかを確かめるように、何度も、のどかははっきりと浮き出た喉仏に触れる。
「声……出てた……?」
「は、はい……いつもより、もっと高い……」
のどかの瞳に涙が滲む。驚いて言葉を失った音斗の首に、のどかの両腕が回された。
「……ありがとう、音斗」
熱を出していた自分よりも熱いのどかの素肌が、音斗の胸にぴったりと貼り付いた。そこで初めて、音斗はのどかの喉を震わせたものの正体が快楽だったと気付く。
のどかから抱き着いてきたから、と心の中で言い訳をして、音斗は恐る恐るのどかの体を抱きしめ返した。
自分よりも年上で、引き締まったのどかの肩が子供のように震えている。
「もう駄目なんだと思ってた……」
「のどかさん……」
「自分の価値は消えてなくなったんだと、認めるのが、怖かった……」
震えるのどかの肩を撫で、音斗はただ頷いた。
のどかの価値は、声変わり前の天使のようなソプラノボイスだけではない。共に過ごすようになりまだ短い間しかのどかの様子を見ていない。それでも、音斗は今ののどかの持つ魅力と何度も出会っている。
「大丈夫です、のどかさんの声は消えてなんかないですよ」
けれど、音斗はのどかを安心させるための言葉を口にした。のどかの価値は、それだけじゃない。そう信じているけれど、目の前で涙を落とすのどかの心に触れたいと願ってしまった。
奥から、そっと、音斗は指の先端でのどかの直腸内の天井を撫で上げていく。今まで感じたことのない異物感はのどかにとっては快楽とは遠く、音斗の気遣いのお陰で痛みは無いが違和感以外の感想を抱きようがなかった。
「んっ……」
ところが、音斗の指先がある場所を撫でた時、のどかは思わず小さく声を漏らしてしまった。そして音斗も、指先に他の場所とは違う硬さを感じて動きを止める。
「ここ、かな。のどかさん、もう少し触っていいですか?」
「……お願い」
身体の異変を感じたのはのどかも同じだった。許可を得たことで、音斗は先程は指先で掠めただけだったその場所を指の腹でぐっと押し込んでみた。
「ぅあっ!」
のどかの喉から飛び出してきた甲高い悲鳴のような声。のどかは目を丸くして口元を押さえると、すぐに音斗へと顔を向けた。
信じられないものを目にしたような顔をして、音斗ものどかを見つめ返す。
「今……声、出てた?」
一瞬だったからはっきりとはわからないが、普段ののどかの話し声よりはずっと高い声だった。
「もう一回、試します?」
「やってほしい」
「さっきより強くしますね」
不安と期待の混ざった眼差しで、のどかは音斗の指を飲み込んでいる結合部に目を向けている。
音斗は前立腺らしきしこりを再び指先で押し込むと、指先で円を描くようにして擽ってみた。
「あァっ! や、んぁっ、やだ、まって……!」
先程より強い刺激を与えられ、一際高く鳴いたのどかは背中を弓なりに反らすと勃ち上がっていた性器の先っぽからこぷりと白濁を溢した。
懸命な制止の言葉を受け、音斗は熱っぽい息を吐きながらその手を止め、のどかのナカから指先を引き抜いた。
ぎゅっと唇を噛んで、音斗が顔を上げる。自分を見つめるのどかの震える眼差しと、真正面から視線がぶつかった。
「のどかさん、今の……」
普段よりずっと高くて可愛らしい声を震わせた喉を、のどかはひどくゆっくりとした動作で撫でた。本当にそこに自分の喉があるのかを確かめるように、何度も、のどかははっきりと浮き出た喉仏に触れる。
「声……出てた……?」
「は、はい……いつもより、もっと高い……」
のどかの瞳に涙が滲む。驚いて言葉を失った音斗の首に、のどかの両腕が回された。
「……ありがとう、音斗」
熱を出していた自分よりも熱いのどかの素肌が、音斗の胸にぴったりと貼り付いた。そこで初めて、音斗はのどかの喉を震わせたものの正体が快楽だったと気付く。
のどかから抱き着いてきたから、と心の中で言い訳をして、音斗は恐る恐るのどかの体を抱きしめ返した。
自分よりも年上で、引き締まったのどかの肩が子供のように震えている。
「もう駄目なんだと思ってた……」
「のどかさん……」
「自分の価値は消えてなくなったんだと、認めるのが、怖かった……」
震えるのどかの肩を撫で、音斗はただ頷いた。
のどかの価値は、声変わり前の天使のようなソプラノボイスだけではない。共に過ごすようになりまだ短い間しかのどかの様子を見ていない。それでも、音斗は今ののどかの持つ魅力と何度も出会っている。
「大丈夫です、のどかさんの声は消えてなんかないですよ」
けれど、音斗はのどかを安心させるための言葉を口にした。のどかの価値は、それだけじゃない。そう信じているけれど、目の前で涙を落とすのどかの心に触れたいと願ってしまった。
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