14 / 20
するりするりと
しおりを挟む
「バッ、バブー!」
とうもみの腕の中で、急にベビーわたぐまが慌てだし、ちぎれ雲の下を指差した。
遥か下方に、風に飛ばされながら落ちていくトマトとじゅりの姿があるじゃないか。
ベビーは握力だけじゃなくて、視力も抜群なんだ。
とうもみは、ベビーを歩行器ぐもに乗せた。
「いいかい、ベビーは、ここから動くんじゃないよ」
「バブ」
「ぼくは、これから、じゅりを助けに行くから。じっとしているんだよ」
「バブ」
とうもみはベビーに言い聞かすと、ちぎれ雲から飛び降りた。
とうもみだって空を飛べる。
雲の上にいる以上、飛行は必須スキルだ。
そう考えると、じゅりはある意味スゴいのかもしれないよ。
8cmしか高く飛べないのに地上から遥か10000mの上空で、ベビーシッターとカフェバイトの掛け持ちをしている。
もっとも、だから、こんなことになったとも言えるわけだけど。
とうもみが猛スピードで飛んでいくと、やはり、じゅりに向かって急降下していくB・Vと鉢合わせになった。
B・Vの跡をウェイ・ライも追ってくる。
とうもみとB・Vは、すぐに落下して行くじゅりに追いついた。
「じゅり!」
だが、じゅりは風に流され、ふたりの間をするりするりと抜けて落ちてゆく。
わざとじゃないかと思うくらい、見事にだ。
だが、じゅりは恐怖のあまり、顔を両手でおおったまま気を失っている。
そりゃそうだ。足が何かに付いていないと身長より高いところが怖いんだもの、こんな空の中じゃ、気絶だってするだろうさ。
とうもみの腕の中で、急にベビーわたぐまが慌てだし、ちぎれ雲の下を指差した。
遥か下方に、風に飛ばされながら落ちていくトマトとじゅりの姿があるじゃないか。
ベビーは握力だけじゃなくて、視力も抜群なんだ。
とうもみは、ベビーを歩行器ぐもに乗せた。
「いいかい、ベビーは、ここから動くんじゃないよ」
「バブ」
「ぼくは、これから、じゅりを助けに行くから。じっとしているんだよ」
「バブ」
とうもみはベビーに言い聞かすと、ちぎれ雲から飛び降りた。
とうもみだって空を飛べる。
雲の上にいる以上、飛行は必須スキルだ。
そう考えると、じゅりはある意味スゴいのかもしれないよ。
8cmしか高く飛べないのに地上から遥か10000mの上空で、ベビーシッターとカフェバイトの掛け持ちをしている。
もっとも、だから、こんなことになったとも言えるわけだけど。
とうもみが猛スピードで飛んでいくと、やはり、じゅりに向かって急降下していくB・Vと鉢合わせになった。
B・Vの跡をウェイ・ライも追ってくる。
とうもみとB・Vは、すぐに落下して行くじゅりに追いついた。
「じゅり!」
だが、じゅりは風に流され、ふたりの間をするりするりと抜けて落ちてゆく。
わざとじゃないかと思うくらい、見事にだ。
だが、じゅりは恐怖のあまり、顔を両手でおおったまま気を失っている。
そりゃそうだ。足が何かに付いていないと身長より高いところが怖いんだもの、こんな空の中じゃ、気絶だってするだろうさ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
放生会のタコすくい
東郷しのぶ
キャラ文芸
「F県N市で毎年9月に行われている祭りは、非常にユニークだ」……そんな情報を耳にした私は、さっそく現地へ向かう。敏腕雑誌記者(自称)私が、その祭りで目にしたものとは!?
※ますこ様の「イラストのススメ」企画参加作品です。プロのアニメーターである、ますこ様のイラストを挿絵として使わせていただきました(イラストをもとに、お話を考えました)。ありがとうございます!
激熱 名作討論部
ビッグバン
キャラ文芸
ここは田舎町のとある学校。田舎町に引っ越してきた主人公奥田 祐朔は美少女に騙され、変人だらけの部活名作部に強引に入部させられてしまう。・・・「桃太郎ってただの侵略者じゃない」、「ジャックの豆の木のジャックって馬鹿な上に犯罪者でしょ」...桃太郎、、ジャックと豆の木、シンデレラ、こうして、数々の名作の疑問にツッコミ続ける名作部の活動が始まった。
小河内ムーンライト
夢酔藤山
ライト文芸
戦争の臭いが近づく帝都。敵性音楽ジャズを指摘され、銀座から散り散りとなるバンドマンたち。宛てのない上寺智。手には一度も演奏したことのない「ムーンライトセレナーデ」の楽譜。上寺は考えもなしに、小河内へと流れていく。もうすぐ湖底に沈むと囁かれる鄙びた温泉地、そこはダムの作業員で活気に溢れていた。
「サックス奏者だった上寺智さん。ジョーさんですよね?」
ダム工事の若い男は、彼の演奏を覚えていた。ひょんなことから、二人はこの小河内で、一緒に演奏することとなる。
俺がママになるんだよ!!~母親のJK時代にタイムリープした少年の話~
美作美琴
キャラ文芸
高校生の早乙女有紀(さおとめゆき)は名前にコンプレックスのある高校生男子だ。
母親の真紀はシングルマザーで有紀を育て、彼は父親を知らないまま成長する。
しかし真紀は急逝し、葬儀が終わった晩に眠ってしまった有紀は目覚めるとそこは授業中の教室、しかも姿は真紀になり彼女の高校時代に来てしまった。
「あなたの父さんを探しなさい」という真紀の遺言を実行するため、有紀は母の親友の美沙と共に自分の父親捜しを始めるのだった。
果たして有紀は無事父親を探し出し元の身体に戻ることが出来るのだろうか?
失恋ファイブ
木村
キャラ文芸
酒場に集まる五人の男女。
幼馴染の親友(クズ)に片想いし続ける男子大学生、人類どころか無機物も抱くぶっとび技術者、恋人を恋人の元カレのところまで送り届ける陽キャ販売員、生徒から告白されまくるが倫理で断る苦労人教師、そうしてすきになった相手はみんなゲイの紅一点。
ここは【失恋ファイブ】。今日も今日とて失恋つまみに酒が進む地獄の宴を繰り広げていた。
あるときピンクこと一(にのまえ)の思い人であり幼馴染みであり親友が突発的に結婚をする。「死にたい」と嘆くピンクを失恋ファイブは決してひとりにせず、ひたすら酒を飲む。
「生き残るための集いってことだよ」
あるときレッドこと続木(つづき)が合コンに参加すると、酒に薬を混入される。レッドの残したネックレスやスマホの位置情報などから失恋ファイブは現場に駆け込んでいく。
「うるせええええええゲイはすっこんでな!!!!!!!!」
失恋と酒と片思いと酒の短編集。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる