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九月
まんまるおつきさまとまんまる3にん
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「ミケちゃん、持ってきたよ」
きつねこちゃんが、ススキを抱えてやってきました。
「ススキ?」
「そう、ススキ。必需品でしょ?」
きつねこちゃんが当たり前のように、あたしにススキを渡します。
でも、あたしの頭の中は?????
だって、ススキなんて、きつねこちゃんに頼んだ覚えないんだもの。
今度は、クマパンちゃんが、いそいそとお菓子の包みを持ってやってきました。
「ミケちゃん、はい、お団子。それと、うさぎさんのおまんじゅう」
「ありがと、クマパンちゃん。猫のお菓子屋さんに行ってきたの?」
お団子やおまんじゅうなら、ススキより貰って嬉しいかも。
「うん、そうだよ。ネコのお菓子屋さんのスタンプカード、集めてんの」
「お茶いれるね。みんなでおやつにしよう」
「ダメだよ。ミケちゃんたら、食いしん坊なんだから」
クマパンちゃんに、言われたくないよ。
「クマパンちゃん、食べないなら、どうしてお団子やおまんじゅう持ってきたのよ」
「そんなの決まってるでしょ、ミケちゃん。食べるのはあと、あと。その前にすることあるでしょ」
食べる前に、すること???
「わぁ、ススキだ! きつねこちゃんが持ってきてくれたの? さっすが、きつねこちゃん!」
クマパンちゃんは、ススキを見つけると大喜び。
「まだ、ススキの季節には、ちょっと早いからね。きれいなススキ見つけるの、苦労したのよ」
きつねこちゃんは得意満面。
「うん! きれい、きれい! すごい、すごい!」
大感激のクマパンちゃん。
あたしは、目が点。
「もしもし、クマパンちゃん。そんなにススキ、嬉しいの?」
「当たり前でしょ、ミケちゃん。ススキは、必需品だもの。ねぇ、きつねこちゃん」
「あと、里芋よね」
「里芋のきぬかつぎ、ぼく、大好き!」
「味噌だれで食べると、美味しいよね」
「ぼく、お塩とゴマで食べるのも好き!」
「うん、うん、それも、美味しい!」
きつねこちゃんとクマパンちゃんは、ふたりで盛り上がっています。
「あれ?ミケちゃん、なに、お団子抱えて、ぼんやりしてるの?」
きつねこちゃんに、そう、言われましても。
「早く、飾りましょうよ」
飾る? 何を? まさか、ススキ?
「ミケちゃん、月見台、どこにするの?」
「月見台?」
「お月見するところよ」
「お月見?」
そうか、ススキもお団子もウサギのおまんじゅうも里芋も、お月見のお供えだものね。
あたしは、やっと、納得がいき……ません!
いくわけないよ!
「きつねこちゃん! クマパンちゃん! まだ、9月になったばかりだよ!!」
「そうだよ」
きつねこちゃんもクマパンちゃんも、そろって、うなずきます。
「お月さまは、まだまだ、まんまるじゃないんだよ!」
「そうだよ」
「そうだよって、きつねこちゃん、クマパンちゃん……」
あたしは、次の言葉が出てきません。
「だから、ミケちゃん、予行練習じゃない」
「よ・こ・う・れ・ん・し・ゅ・う?」
「運動会だって、練習するじゃない?」
「そうだよ、ミケちゃん。ぶっつけ本番なんて、お月さまにも、月のうさぎさんにも失礼だよ。ちゃんと練習して、お祝いしなきゃ。ねぇ、きつねこちゃん」
「ねぇ、クマパンちゃん」
きつねこちゃんとクマパンちゃんは、顔を見合わせて、うなずき合います。
でも、おふたりとも、お月見と運動会は、違うと思うんですけれど……。
「ミケちゃん、お団子やおまんじゅうや、ホカホカ蒸し立てのきぬかつぎ、食べたくないの? ミケちゃんが食べたくないなら、ぼくときつねこちゃんで予行練習して、食べちゃうよ」
「……食べたい」
あたしのおなかが、グゥとなります。
それから、あたしときつねこちゃんとクマパンちゃんは、ススキを飾って、里芋できぬかつぎを作って、お団子とうさぎさんのおまんじゅうをお供えして、お月見の練習をしました。
練習が終わると、みんなで、お供えのお下がりを美味しく食べました。
今日のお団子はお醤油で食べたので、明日のお団子は、クリームあんみつにして食べることになりました。里芋はコロッケにして、うさぎのおまんじゅうの代わりに月餅を明日はお供えすることにしました。
だけど、この調子で、毎日、お月見の予行練習をしてたら、あたしも、きつねこちゃんも、クマパンちゃんも、十五夜までに、お月さまより、もっと、まんまるになっていそうな予感が……花より団子。月より団子。食欲の秋、怖いよ~((((;Φ△Φ))))
三毛猫 ミケ
***
九月の十五夜のお月見は、芋名月。
十月の十三夜のお月見は、栗名月。
秋の恵みを、お月さまにお供えして、収穫をお祝いします。
お供えを下げた後は、恵みをもたらしてくれる自然に感謝して、みんなで美味しくいただきます。
人間は、大きな自然の中では、ちっぽけな存在。
自然の脅威の前では、立ち竦むしかありません。
天災が避けられないのならば、せめて、人災は回避したいものですね。
***
ーお知らせー
そろそろ来年のカレンダーが気になる頃です。
2019年の三毛猫ミケちゃんカレンダーの発売が決まりました。
パチパチパチ(拍手)
今年のカレンダーは卓上のみでしたが、
なんと!
2019年は、壁掛けと卓上の2種類♪
パチパチパチ(拍手)
公益財団法人どうぶつ基金さんへの寄付金付きです。
パチパチパチ(拍手)
ということで、2019年も、ミケちゃん絵日記カレンダーは続きます。
どうぞ、皆様、よろしくお願い致しますm(*=^-^=*)m
きつねこちゃんが、ススキを抱えてやってきました。
「ススキ?」
「そう、ススキ。必需品でしょ?」
きつねこちゃんが当たり前のように、あたしにススキを渡します。
でも、あたしの頭の中は?????
だって、ススキなんて、きつねこちゃんに頼んだ覚えないんだもの。
今度は、クマパンちゃんが、いそいそとお菓子の包みを持ってやってきました。
「ミケちゃん、はい、お団子。それと、うさぎさんのおまんじゅう」
「ありがと、クマパンちゃん。猫のお菓子屋さんに行ってきたの?」
お団子やおまんじゅうなら、ススキより貰って嬉しいかも。
「うん、そうだよ。ネコのお菓子屋さんのスタンプカード、集めてんの」
「お茶いれるね。みんなでおやつにしよう」
「ダメだよ。ミケちゃんたら、食いしん坊なんだから」
クマパンちゃんに、言われたくないよ。
「クマパンちゃん、食べないなら、どうしてお団子やおまんじゅう持ってきたのよ」
「そんなの決まってるでしょ、ミケちゃん。食べるのはあと、あと。その前にすることあるでしょ」
食べる前に、すること???
「わぁ、ススキだ! きつねこちゃんが持ってきてくれたの? さっすが、きつねこちゃん!」
クマパンちゃんは、ススキを見つけると大喜び。
「まだ、ススキの季節には、ちょっと早いからね。きれいなススキ見つけるの、苦労したのよ」
きつねこちゃんは得意満面。
「うん! きれい、きれい! すごい、すごい!」
大感激のクマパンちゃん。
あたしは、目が点。
「もしもし、クマパンちゃん。そんなにススキ、嬉しいの?」
「当たり前でしょ、ミケちゃん。ススキは、必需品だもの。ねぇ、きつねこちゃん」
「あと、里芋よね」
「里芋のきぬかつぎ、ぼく、大好き!」
「味噌だれで食べると、美味しいよね」
「ぼく、お塩とゴマで食べるのも好き!」
「うん、うん、それも、美味しい!」
きつねこちゃんとクマパンちゃんは、ふたりで盛り上がっています。
「あれ?ミケちゃん、なに、お団子抱えて、ぼんやりしてるの?」
きつねこちゃんに、そう、言われましても。
「早く、飾りましょうよ」
飾る? 何を? まさか、ススキ?
「ミケちゃん、月見台、どこにするの?」
「月見台?」
「お月見するところよ」
「お月見?」
そうか、ススキもお団子もウサギのおまんじゅうも里芋も、お月見のお供えだものね。
あたしは、やっと、納得がいき……ません!
いくわけないよ!
「きつねこちゃん! クマパンちゃん! まだ、9月になったばかりだよ!!」
「そうだよ」
きつねこちゃんもクマパンちゃんも、そろって、うなずきます。
「お月さまは、まだまだ、まんまるじゃないんだよ!」
「そうだよ」
「そうだよって、きつねこちゃん、クマパンちゃん……」
あたしは、次の言葉が出てきません。
「だから、ミケちゃん、予行練習じゃない」
「よ・こ・う・れ・ん・し・ゅ・う?」
「運動会だって、練習するじゃない?」
「そうだよ、ミケちゃん。ぶっつけ本番なんて、お月さまにも、月のうさぎさんにも失礼だよ。ちゃんと練習して、お祝いしなきゃ。ねぇ、きつねこちゃん」
「ねぇ、クマパンちゃん」
きつねこちゃんとクマパンちゃんは、顔を見合わせて、うなずき合います。
でも、おふたりとも、お月見と運動会は、違うと思うんですけれど……。
「ミケちゃん、お団子やおまんじゅうや、ホカホカ蒸し立てのきぬかつぎ、食べたくないの? ミケちゃんが食べたくないなら、ぼくときつねこちゃんで予行練習して、食べちゃうよ」
「……食べたい」
あたしのおなかが、グゥとなります。
それから、あたしときつねこちゃんとクマパンちゃんは、ススキを飾って、里芋できぬかつぎを作って、お団子とうさぎさんのおまんじゅうをお供えして、お月見の練習をしました。
練習が終わると、みんなで、お供えのお下がりを美味しく食べました。
今日のお団子はお醤油で食べたので、明日のお団子は、クリームあんみつにして食べることになりました。里芋はコロッケにして、うさぎのおまんじゅうの代わりに月餅を明日はお供えすることにしました。
だけど、この調子で、毎日、お月見の予行練習をしてたら、あたしも、きつねこちゃんも、クマパンちゃんも、十五夜までに、お月さまより、もっと、まんまるになっていそうな予感が……花より団子。月より団子。食欲の秋、怖いよ~((((;Φ△Φ))))
三毛猫 ミケ
***
九月の十五夜のお月見は、芋名月。
十月の十三夜のお月見は、栗名月。
秋の恵みを、お月さまにお供えして、収穫をお祝いします。
お供えを下げた後は、恵みをもたらしてくれる自然に感謝して、みんなで美味しくいただきます。
人間は、大きな自然の中では、ちっぽけな存在。
自然の脅威の前では、立ち竦むしかありません。
天災が避けられないのならば、せめて、人災は回避したいものですね。
***
ーお知らせー
そろそろ来年のカレンダーが気になる頃です。
2019年の三毛猫ミケちゃんカレンダーの発売が決まりました。
パチパチパチ(拍手)
今年のカレンダーは卓上のみでしたが、
なんと!
2019年は、壁掛けと卓上の2種類♪
パチパチパチ(拍手)
公益財団法人どうぶつ基金さんへの寄付金付きです。
パチパチパチ(拍手)
ということで、2019年も、ミケちゃん絵日記カレンダーは続きます。
どうぞ、皆様、よろしくお願い致しますm(*=^-^=*)m
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