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第一部 神殺しの陰謀 第二章 氷の国の王
氷の国の王
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なまはげは私たちに向かって耳を疑う言葉をつぶやいた。
「王は…常世のゲームが好きでして…、どうか魔王ごっこにお付き合いください…。」
魔王ごっこというなまはげに対して、どう対応すべきか全く持ってわからなかった…。
ごっこというよりは目の前にいるのは見た目、威圧感、すべてがそろった本物の魔王だ…。
日出と千暁も戸惑いを隠せない。そして、その王の従者たちもどう対応すべきかわからない様子でずっと下を向いているのだ…。
王が何かをこちらに求めていることは嫌でも感じる、この沈黙がいたい…。そして、何かをあきらめたように王が口を開いた。
「鉄板だと常世の漫画では読んだんだがなぁ…。まぁそんなことはもうよい、客人よよく来たな。」
先ほどとは打って変わり周囲のピリピリとした状況は一変し、和やかな雰囲気があたりを包んだ。私は何かを言わないと、という思いに駆られた。
「お招きいただきまして、ありがとうございます。しかし、王様の気迫と言いますか、その容姿から本当に魔王かと…。」
「こう面と向かって魔王とは呼ばれるとは、懐かしい。のう、丸よ。」
「私と王様が出会った時の呼び名でしたね。」
丸と呼ばれているなまはげと王様は過去の話で盛り上がっており、また三人は置いてけぼりになっていた。
王様は特に私たちを害しようとしていたわけではなく、緊張をほぐすために常世での鉄板ネタで緊張をほぐそうとしてくれていたようで、少し解放された様な気分になった。
「私の事はわかるかな?常世でも結構有名な神として通っておる。まぁ、ほかにも名前は2つ、3つあるがな。」
これは粗相ができない質問が来てしまった。下手に答えると…、機嫌を損なう可能性も十分に考えられる。
王様はこれ見よがしにアピールしていた、雷、魔王…、そこから導き出すのはさほど難しくない。
「雷神…。」
「ほう、雷神なにだ?」
「ぇ?」
「どうした続きは?」
妖怪として伝承されているの風神雷神の雷神ではないのか…、私は日出と千暁に助けを求める視線を送ったが二人ともあっけに取られている様子だ。
「風神…雷神…。」
「そうか…。私の知名度もその程度であったという事だな…。」
王様は私の回答にかなり意気消沈した様子を見せた…。
周りの従者からの視線もキツくなった様な気がして、アストラル体であるが胃が痛い気持ちになった。
「王様、申し訳ございません、この東雲はあまり神話の類には強くないものでして。雷を自在にあやつる力から推測するに。」
「おぉ、その者よ、推測するに?」
「北欧伝承の雷神トールではないかと推測いたします。」
「がはははは、よく分かったな!そうだそうだ!」
王様はトールという名前を聞くとたいそう喜びになり、巨大な玉座の肘置きが壊れそうなぐらい何度も叩いていた。
日出はうまく私の話から、王の求めている言葉を引き出したのだ。
「では、その者よ、私が悪魔と呼ばれていた時の名はわかるか?」
「悪魔ですか…。」
「ひどい話であった…、元は神として信仰されていたのだが、宗教弾圧とやらで、悪神すなわち悪魔と貶められた。」
「あまり、自信はないのですが…。神としての名と悪魔としての名双方持つもの…、モロク…、バアル…。」
「そうじゃ!バアルじゃ!」
王様は喜び玉座から立ち上がり私たちの方に歩いて来た。
遠目から見ていた時はわからなかったが、その姿はゆうに4メートルを超えるであろう、巨体であった。
歩くたびに地面は揺れ、王様の強さをひしひしと感じる。
「王様はこちら常世の伝承、伝説に名を残す神や悪魔とは…。そんな存在と会えるとは光栄でございます。」
日出はどこからそんなすらすらと言葉が出てくるのかと感心した。いつもだと直向きにデスクと実験室に齧り付きレポートが友達と言わんばかりの奴だと思っていたが、仕事を辞めて以来はかなり社交的になった。
「おお、そうだその者よ、私の日本での名はわかるか?ヒントはそこにおる、丸だ。丸よ、そろそろ、その姿はやめて良いぞ。」
「王様、ありがとうございます。このお面では喋りにくくてキツかったんですよ。」
お面をとると武人の様な顔立ちをした凛々しい男がそこには現れた。眼光の鋭さ、鍛えられたそのアストラル体からすると、かなりの武芸の達人であると見受けられた。
「ご紹介が遅れまして申し訳ない。私は坂上田村麻呂、いや田村丸でございます。」
先程のなまはげのお面をかぶっていた時からの変わり様に私と千暁は開いた口が塞がらない思い出あった。
日出はというと、お面に興味津々であった…。なまはげの大きな面が紐もなくどの様に顔にフィットしていたのかが気になるようで…、田村丸が脱いだお面をまじまじと見ている。
「田村丸伝説といえば、大嶽丸討伐の…。という事は、王様は大嶽丸なのですか?」
「さすがよのう、よく存じ上げておるな。大嶽丸もとい、鬼神魔王とは私のことよ。」
歴史や宗教学など私は全然勉強してこなかった。しかし、日出はゾンビパウダー作成の際にシャーマンの知見が必要だという事で、神秘的な伝承や伝説などを調べていた。
それは今役に立ったのだ…。一見、はたから見ると無駄と言われる知識もいつかは役に立つのだ。
「この田村丸が私の事を討伐しにきよってなぁ、もうどれほど前のとこになるか…。」
「王様、あの時は大変申し訳ございませんでした。」
「いやいや。あの時代では嵐を呼び起こし、雷を操る…、妖や魔王と呼ばれても仕方がなかろう。今ではその者が私の従者をしているとわな、わからんものよ。」
自分の名が現世である常世に残っている事がよほど嬉しいのであろう。
すっかりと上機嫌の王様は周りの従者に宥められ、玉座に戻っていった。
「本題にもどろうか。私が常世で住んでいたあの部屋についてだな。事前に聞いておる。」
「はい、あの部屋は常世にある幽世という事で良いのでしょうか。」
「あぁ、そうだ。常世でもあの様な幽世は点在している。お前たちが聞きたがっている場所は少々特殊であるがな。」
「特殊とはどういう事でしょう?」
私の最後の質問に対して、王様は顔を顰めた…。
「王は…常世のゲームが好きでして…、どうか魔王ごっこにお付き合いください…。」
魔王ごっこというなまはげに対して、どう対応すべきか全く持ってわからなかった…。
ごっこというよりは目の前にいるのは見た目、威圧感、すべてがそろった本物の魔王だ…。
日出と千暁も戸惑いを隠せない。そして、その王の従者たちもどう対応すべきかわからない様子でずっと下を向いているのだ…。
王が何かをこちらに求めていることは嫌でも感じる、この沈黙がいたい…。そして、何かをあきらめたように王が口を開いた。
「鉄板だと常世の漫画では読んだんだがなぁ…。まぁそんなことはもうよい、客人よよく来たな。」
先ほどとは打って変わり周囲のピリピリとした状況は一変し、和やかな雰囲気があたりを包んだ。私は何かを言わないと、という思いに駆られた。
「お招きいただきまして、ありがとうございます。しかし、王様の気迫と言いますか、その容姿から本当に魔王かと…。」
「こう面と向かって魔王とは呼ばれるとは、懐かしい。のう、丸よ。」
「私と王様が出会った時の呼び名でしたね。」
丸と呼ばれているなまはげと王様は過去の話で盛り上がっており、また三人は置いてけぼりになっていた。
王様は特に私たちを害しようとしていたわけではなく、緊張をほぐすために常世での鉄板ネタで緊張をほぐそうとしてくれていたようで、少し解放された様な気分になった。
「私の事はわかるかな?常世でも結構有名な神として通っておる。まぁ、ほかにも名前は2つ、3つあるがな。」
これは粗相ができない質問が来てしまった。下手に答えると…、機嫌を損なう可能性も十分に考えられる。
王様はこれ見よがしにアピールしていた、雷、魔王…、そこから導き出すのはさほど難しくない。
「雷神…。」
「ほう、雷神なにだ?」
「ぇ?」
「どうした続きは?」
妖怪として伝承されているの風神雷神の雷神ではないのか…、私は日出と千暁に助けを求める視線を送ったが二人ともあっけに取られている様子だ。
「風神…雷神…。」
「そうか…。私の知名度もその程度であったという事だな…。」
王様は私の回答にかなり意気消沈した様子を見せた…。
周りの従者からの視線もキツくなった様な気がして、アストラル体であるが胃が痛い気持ちになった。
「王様、申し訳ございません、この東雲はあまり神話の類には強くないものでして。雷を自在にあやつる力から推測するに。」
「おぉ、その者よ、推測するに?」
「北欧伝承の雷神トールではないかと推測いたします。」
「がはははは、よく分かったな!そうだそうだ!」
王様はトールという名前を聞くとたいそう喜びになり、巨大な玉座の肘置きが壊れそうなぐらい何度も叩いていた。
日出はうまく私の話から、王の求めている言葉を引き出したのだ。
「では、その者よ、私が悪魔と呼ばれていた時の名はわかるか?」
「悪魔ですか…。」
「ひどい話であった…、元は神として信仰されていたのだが、宗教弾圧とやらで、悪神すなわち悪魔と貶められた。」
「あまり、自信はないのですが…。神としての名と悪魔としての名双方持つもの…、モロク…、バアル…。」
「そうじゃ!バアルじゃ!」
王様は喜び玉座から立ち上がり私たちの方に歩いて来た。
遠目から見ていた時はわからなかったが、その姿はゆうに4メートルを超えるであろう、巨体であった。
歩くたびに地面は揺れ、王様の強さをひしひしと感じる。
「王様はこちら常世の伝承、伝説に名を残す神や悪魔とは…。そんな存在と会えるとは光栄でございます。」
日出はどこからそんなすらすらと言葉が出てくるのかと感心した。いつもだと直向きにデスクと実験室に齧り付きレポートが友達と言わんばかりの奴だと思っていたが、仕事を辞めて以来はかなり社交的になった。
「おお、そうだその者よ、私の日本での名はわかるか?ヒントはそこにおる、丸だ。丸よ、そろそろ、その姿はやめて良いぞ。」
「王様、ありがとうございます。このお面では喋りにくくてキツかったんですよ。」
お面をとると武人の様な顔立ちをした凛々しい男がそこには現れた。眼光の鋭さ、鍛えられたそのアストラル体からすると、かなりの武芸の達人であると見受けられた。
「ご紹介が遅れまして申し訳ない。私は坂上田村麻呂、いや田村丸でございます。」
先程のなまはげのお面をかぶっていた時からの変わり様に私と千暁は開いた口が塞がらない思い出あった。
日出はというと、お面に興味津々であった…。なまはげの大きな面が紐もなくどの様に顔にフィットしていたのかが気になるようで…、田村丸が脱いだお面をまじまじと見ている。
「田村丸伝説といえば、大嶽丸討伐の…。という事は、王様は大嶽丸なのですか?」
「さすがよのう、よく存じ上げておるな。大嶽丸もとい、鬼神魔王とは私のことよ。」
歴史や宗教学など私は全然勉強してこなかった。しかし、日出はゾンビパウダー作成の際にシャーマンの知見が必要だという事で、神秘的な伝承や伝説などを調べていた。
それは今役に立ったのだ…。一見、はたから見ると無駄と言われる知識もいつかは役に立つのだ。
「この田村丸が私の事を討伐しにきよってなぁ、もうどれほど前のとこになるか…。」
「王様、あの時は大変申し訳ございませんでした。」
「いやいや。あの時代では嵐を呼び起こし、雷を操る…、妖や魔王と呼ばれても仕方がなかろう。今ではその者が私の従者をしているとわな、わからんものよ。」
自分の名が現世である常世に残っている事がよほど嬉しいのであろう。
すっかりと上機嫌の王様は周りの従者に宥められ、玉座に戻っていった。
「本題にもどろうか。私が常世で住んでいたあの部屋についてだな。事前に聞いておる。」
「はい、あの部屋は常世にある幽世という事で良いのでしょうか。」
「あぁ、そうだ。常世でもあの様な幽世は点在している。お前たちが聞きたがっている場所は少々特殊であるがな。」
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私の最後の質問に対して、王様は顔を顰めた…。
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