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第一部 神殺しの陰謀 第二章 氷の国の王
ファーストインプレッション
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荘厳な扉の前で騒ぐ私たちを見かねたなまはげが声をかけてきた。
「つきましたよ。」
その一言だけで私たちは襟が正された思いであった。王との謁見、そんなこと生まれてこの方経験したことはない。
「東雲さん、王様に会う作法とか知らないですがどうしましょう。」
「私も知らないです…。確か顔を上げて良いって言われるまで顔を上げちゃいけないんでしたっけ。」
「私もわからない…。とりあえず、千暁さんの案で行こう。」
そう誰も礼儀作法などわかるはずもない、それっぽい話をしてくれた千暁の案を採用し私たちは覚悟を決めた。
なまはげが扉を開き私たちを迎え入れた後、王の隣に戻っていった。
私たちはまるで漫才師たちが腰を低くして舞台に入って行くかの様に、滑稽な格好で王座の前に侵入した。
いつまで床を見つめていれば良いのであろう…、磨かれ抜いた床には自分の顔が映り、そのどうすれば良いのかわからないといった表情の自分をもう10分は眺めている。
顔を上げて良いと言われるまで、顔を上げないのが正解なのか甚だ疑問であったが、粗相があってはいけないとの思いから顔を上げられずにいる。
周りには大勢の従者がいる、そんな気配を感じる…。そして、その従者から感じる視線というのか、念がひしひしと伝わってくる。
周りの人たちも王様が喋るまで話せないのであろう…、まるで体育会系の飲み会の様な地獄のパターンだ。
ここまで来ればもう根比だ…、30分でも1時間でも我慢してやる。そう思っていた矢先に近づいてくる、従者の気配を感じられた。
「いつまで頭を下げているんですか…。王も困惑しています…。」
「ぇ。」
「もう他の二人は頭上げていますよ…。」
ひそひそと私に耳打ちしてくれたのだ…。そして、早々に日出と千暁は顔を上げていた様だ…。
私が顔を上げた時、目の前の光景に愕然とした。
玉座には誰もいない、もしかして頭を上げなかったことで…粗相をしてしまったのか…、そう思った時に大きな轟音が鳴り響いた。
玉座に大きな稲妻が落ち、あたりをアストラル体の粒子が霧の様に包み込む。
全く周りが見えない…、そんな量の霧である。
「生者よ、何故こちらにこだわるのだ…。ここは死者の世界、死したる者こそこの世界にはふさわしい…死してみるか?」
霧散していたアストラル体の粒子が私たちにいてつく吹雪の如く襲いかかる。
私たちはその突風に飛ばされない様に体を屈め、手でその風を防ぐことしかできない。
霧散していたアストラル体粒子が飛ばされたことにより、王様の全貌が明らかとなった。
頭にはサークル状の兜を被っており、5本の大小の角が突き出ている。そして、赤みがかった身体には鎧を纏っている。
鎧は嵐と嵐により削り取られた大地の様な荒々しい印象の細工が施され、近寄る物全てを吹き飛ばしてしまいそうなそんな力強さを感じる。
それより奇抜で目を引くのは手に持った氷でできた大槌である。その氷でできた大槌にはどこか違和感を感じる…、まるで稲妻を纏っているかの様に氷の大槌を形成するアストラル体が揺れ動いている。
そして聞いていた通り、凶悪な面持ち…、なまはげなど比ではないその邪悪極まりない顔は一睨みで敵を萎縮させるであろう。
私たちは呆然と立ち尽くすしか無かった。蛇に睨まれたカエル、そんなレベルではない…。
頭を上げなかったのがそんなに悪かったのか…、他に王の怒りに触れる事があったのか…、そんな事がグルグルと頭を巡る。
「おい…。」
その低く、地を揺らす様な声はアストラル体に直接訴えかける様に響く。
その声で面と向かって何かを命令されたなら、自分の意思とは別にアストラル体が勝手に行動してしまう、そんな声色であった。
周りにいる従者ですら、王様の顔を見られない様子で…皆顔を下げている。
なまはげですら…、どこが焦っている様に感じる。
「丸…、怖すぎたか…?」
「そうですね…やりすぎかと…。」
王様はため息をつき、なまはげを側まで呼び付け、何か耳打ちをした。
するとなまはげは急に、私たちの前に立ちはだかり、小声で話し始めた…。
「つきましたよ。」
その一言だけで私たちは襟が正された思いであった。王との謁見、そんなこと生まれてこの方経験したことはない。
「東雲さん、王様に会う作法とか知らないですがどうしましょう。」
「私も知らないです…。確か顔を上げて良いって言われるまで顔を上げちゃいけないんでしたっけ。」
「私もわからない…。とりあえず、千暁さんの案で行こう。」
そう誰も礼儀作法などわかるはずもない、それっぽい話をしてくれた千暁の案を採用し私たちは覚悟を決めた。
なまはげが扉を開き私たちを迎え入れた後、王の隣に戻っていった。
私たちはまるで漫才師たちが腰を低くして舞台に入って行くかの様に、滑稽な格好で王座の前に侵入した。
いつまで床を見つめていれば良いのであろう…、磨かれ抜いた床には自分の顔が映り、そのどうすれば良いのかわからないといった表情の自分をもう10分は眺めている。
顔を上げて良いと言われるまで、顔を上げないのが正解なのか甚だ疑問であったが、粗相があってはいけないとの思いから顔を上げられずにいる。
周りには大勢の従者がいる、そんな気配を感じる…。そして、その従者から感じる視線というのか、念がひしひしと伝わってくる。
周りの人たちも王様が喋るまで話せないのであろう…、まるで体育会系の飲み会の様な地獄のパターンだ。
ここまで来ればもう根比だ…、30分でも1時間でも我慢してやる。そう思っていた矢先に近づいてくる、従者の気配を感じられた。
「いつまで頭を下げているんですか…。王も困惑しています…。」
「ぇ。」
「もう他の二人は頭上げていますよ…。」
ひそひそと私に耳打ちしてくれたのだ…。そして、早々に日出と千暁は顔を上げていた様だ…。
私が顔を上げた時、目の前の光景に愕然とした。
玉座には誰もいない、もしかして頭を上げなかったことで…粗相をしてしまったのか…、そう思った時に大きな轟音が鳴り響いた。
玉座に大きな稲妻が落ち、あたりをアストラル体の粒子が霧の様に包み込む。
全く周りが見えない…、そんな量の霧である。
「生者よ、何故こちらにこだわるのだ…。ここは死者の世界、死したる者こそこの世界にはふさわしい…死してみるか?」
霧散していたアストラル体の粒子が私たちにいてつく吹雪の如く襲いかかる。
私たちはその突風に飛ばされない様に体を屈め、手でその風を防ぐことしかできない。
霧散していたアストラル体粒子が飛ばされたことにより、王様の全貌が明らかとなった。
頭にはサークル状の兜を被っており、5本の大小の角が突き出ている。そして、赤みがかった身体には鎧を纏っている。
鎧は嵐と嵐により削り取られた大地の様な荒々しい印象の細工が施され、近寄る物全てを吹き飛ばしてしまいそうなそんな力強さを感じる。
それより奇抜で目を引くのは手に持った氷でできた大槌である。その氷でできた大槌にはどこか違和感を感じる…、まるで稲妻を纏っているかの様に氷の大槌を形成するアストラル体が揺れ動いている。
そして聞いていた通り、凶悪な面持ち…、なまはげなど比ではないその邪悪極まりない顔は一睨みで敵を萎縮させるであろう。
私たちは呆然と立ち尽くすしか無かった。蛇に睨まれたカエル、そんなレベルではない…。
頭を上げなかったのがそんなに悪かったのか…、他に王の怒りに触れる事があったのか…、そんな事がグルグルと頭を巡る。
「おい…。」
その低く、地を揺らす様な声はアストラル体に直接訴えかける様に響く。
その声で面と向かって何かを命令されたなら、自分の意思とは別にアストラル体が勝手に行動してしまう、そんな声色であった。
周りにいる従者ですら、王様の顔を見られない様子で…皆顔を下げている。
なまはげですら…、どこが焦っている様に感じる。
「丸…、怖すぎたか…?」
「そうですね…やりすぎかと…。」
王様はため息をつき、なまはげを側まで呼び付け、何か耳打ちをした。
するとなまはげは急に、私たちの前に立ちはだかり、小声で話し始めた…。
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