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第一部 神殺しの陰謀 第二章 氷の国の王
力あるもの
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やはり見間違いではなかった、千暁に近づくにつれ、その力強さは顕著になっていく。
「千暁さん…、なんというか…身長が少し伸びたんじゃないか?」
「そうなんですよ、いつもより高くなったように感じますね。」
千暁自身は幽世に来るのは初めてであり、その違和感に気づかないのであろうが、ほとばしるような力の波動は私のアストラル体を畏怖させる。千暁は現在、抜身のナイフといっても過言ではない。
「コンシェルジュさんが千暁さんのアストラル体は強いと言っていたが、それの影響だろう。肉体という殻で閉じ込められていたが、こちらではその制約がないからな。力の制御の仕方を学ぼうか。」
「はい、頑張ります。」
さっそく私たちは開けた原っぱに移動し、アストラル体の変化について千暁にレクチャーすることとした。
原っぱは色とりどりの奇妙な形をした草花が生えており、ただただそれらが千暁のアストラル体に当てられてか揺れ動いている。
ばねのようにくるくる巻かれた草やゼンマイのような形をした草、最も奇妙な形の花はまるで焼き鳥のハツのような奇妙で肉厚な花びらを持っている。幽世での独自の生態系がうかがい知れる。
アストラル体ではにおいや繊細な感覚が感じ取れないので、この原っぱがどんな香りがして、この花々はどんな手触りなのかがわからないのが悔しいところだ。
「見てください、東雲さん、この花、花びらが骸骨みたいでかわいいですね。」
「あぁ、そうだな…。」
千暁の言うことは理解できなかった、どちらかというとい持ち悪い部類に入るのであろう花を指さし微笑んでいる。
こういった感性を持つということは非常に重要だ。独自の世界観があり他人とは違う、それは物事に縛られないという裏返しでもあるからだ。
凝り固まった私のような者の想像力はテレビやゲーム、書物から形成される、そのあとその応用として生み出す、1から10を作り出すイメージだ。
一方で、天才、変わり者や子どもなどはゼロから10を生み出すことができる。そうまさに、日出と千暁だ…、なんともうらやましい。
「千暁さん、まずは自分のアストラル体を変化させることを学びましょう。まず、どのように変身したいかを想像してその想像を体に封じ込めるイメージをしてくれ。」
私はそういうと自分の両腕をいつもデモンストレーションで見せるドラゴンの腕に変化させた。
魚のうろこの3倍は大きな鱗に覆われ、肉食恐竜のような大きな爪をもったその腕を千暁に見せる。「龍人間だぞ!」と小声で発したが誰も聞いてはいない…。
「やってみます!」
千暁はそういうと全身に力を入れ始めた。まるでその光景は、ある漫画で見た某戦闘民族が気を練るようなポーズそのものであった。
「ち、千暁ちゃん…。やりすぎ…。」
達観し、微笑んでいた日出からもそんな言葉が飛び出るくらいであった。
千暁の変身した姿は常軌を逸していた。どれほどのエーテル体を消費したのかも想像できないその姿に私は唖然とした。
千暁は、私のドラゴンに即発されたのであろう。千暁の考えるドラゴンの姿に変身していた。
それは人のかけらが一片も見当たらないほど見事なドラゴンであったが、サイズは人のそれとあまり変わらないが、誰が見ようとそれはドラゴンそのものだ。
全身びっしりと覆われたうろこはピンクがかり、背中からは大空を飛び回れるのであろう大きな羽が生えている。そして人間など一噛みであろうというその口には大きな牙がびっしりと生えそろい、今にも炎でも吐き出しそうな勢いである。
胴体と顔は完璧な一方で尻尾は短い…、尻尾の想像まではしていなかったのであろう。
「やったぁー。東雲さん、日出さん、変身できました。」
「千暁さん…すごいね…。」
「ほんと、千暁ちゃんすごい…。」
私と日出はその光景に圧倒され、言葉を失っていた。いきなり全身をドラゴンに変身させるとは思いもよらないし、誰もやろうとは思わないであろう。
「今回の変身でエーテル体をかなり消費した可能性あるので、今回はこれだけにして帰ろう。」
そう千暁に告げたときには千暁は地上にはいなかった…大きな羽を広げ空を飛んでいた。
私も空を飛ぼうと鳥の羽を一時的にはやしたこともあったが、コントロールが難しくすぐにあきらめた。
日出は千暁と同じくらい自由に空を飛べる技量を持ち合わせているが、エーテル体の消費が激しすぎるということで二人とも断念した覚えがある。
「千暁ちゃーーん、降りてきて、危ないよ!!」
「東雲さん、日出さん、あそこの町少しおかしいんです。なんだか、歪みというか何かいびつな感じがするんです。」
千暁が指さした町はリリーたちが住む女王が統治しているというあの町だ。
目を凝らしてみると大きなアストラル体が幽世に還元されているそのようなときにおこる歪みのようなものが確認できた。
「千暁さん、今日は帰りましょう、さすがにこれ以上はエーテル体というか、現世での体への負担が心配です。」
「ええー。やっと慣れてきたところなのに。」
「千暁ちゃん、やばいってこれは2日酔いコースだよ!」
千暁は少し不貞腐れた様子で地上に落りたち元の姿に戻った。
戻り方も教えていないのに勝手に戻ったというところで、アストラル体の消耗が激しく、維持できなくなったのではないかと心配した。
「早く帰ろう。」
「急いだほうがよさそうですね。」
「えぇー。私はまだ元気なのに。」
私も日出も同じ思いであったのであろう、2人で酸いも甘いもこの世界で経験した。そして、帰った後の体の怠さも…。
こちらの世界でピンピンしていても帰ったら酷い目に会う、これはあるあるなのだ。
「千暁さん…、なんというか…身長が少し伸びたんじゃないか?」
「そうなんですよ、いつもより高くなったように感じますね。」
千暁自身は幽世に来るのは初めてであり、その違和感に気づかないのであろうが、ほとばしるような力の波動は私のアストラル体を畏怖させる。千暁は現在、抜身のナイフといっても過言ではない。
「コンシェルジュさんが千暁さんのアストラル体は強いと言っていたが、それの影響だろう。肉体という殻で閉じ込められていたが、こちらではその制約がないからな。力の制御の仕方を学ぼうか。」
「はい、頑張ります。」
さっそく私たちは開けた原っぱに移動し、アストラル体の変化について千暁にレクチャーすることとした。
原っぱは色とりどりの奇妙な形をした草花が生えており、ただただそれらが千暁のアストラル体に当てられてか揺れ動いている。
ばねのようにくるくる巻かれた草やゼンマイのような形をした草、最も奇妙な形の花はまるで焼き鳥のハツのような奇妙で肉厚な花びらを持っている。幽世での独自の生態系がうかがい知れる。
アストラル体ではにおいや繊細な感覚が感じ取れないので、この原っぱがどんな香りがして、この花々はどんな手触りなのかがわからないのが悔しいところだ。
「見てください、東雲さん、この花、花びらが骸骨みたいでかわいいですね。」
「あぁ、そうだな…。」
千暁の言うことは理解できなかった、どちらかというとい持ち悪い部類に入るのであろう花を指さし微笑んでいる。
こういった感性を持つということは非常に重要だ。独自の世界観があり他人とは違う、それは物事に縛られないという裏返しでもあるからだ。
凝り固まった私のような者の想像力はテレビやゲーム、書物から形成される、そのあとその応用として生み出す、1から10を作り出すイメージだ。
一方で、天才、変わり者や子どもなどはゼロから10を生み出すことができる。そうまさに、日出と千暁だ…、なんともうらやましい。
「千暁さん、まずは自分のアストラル体を変化させることを学びましょう。まず、どのように変身したいかを想像してその想像を体に封じ込めるイメージをしてくれ。」
私はそういうと自分の両腕をいつもデモンストレーションで見せるドラゴンの腕に変化させた。
魚のうろこの3倍は大きな鱗に覆われ、肉食恐竜のような大きな爪をもったその腕を千暁に見せる。「龍人間だぞ!」と小声で発したが誰も聞いてはいない…。
「やってみます!」
千暁はそういうと全身に力を入れ始めた。まるでその光景は、ある漫画で見た某戦闘民族が気を練るようなポーズそのものであった。
「ち、千暁ちゃん…。やりすぎ…。」
達観し、微笑んでいた日出からもそんな言葉が飛び出るくらいであった。
千暁の変身した姿は常軌を逸していた。どれほどのエーテル体を消費したのかも想像できないその姿に私は唖然とした。
千暁は、私のドラゴンに即発されたのであろう。千暁の考えるドラゴンの姿に変身していた。
それは人のかけらが一片も見当たらないほど見事なドラゴンであったが、サイズは人のそれとあまり変わらないが、誰が見ようとそれはドラゴンそのものだ。
全身びっしりと覆われたうろこはピンクがかり、背中からは大空を飛び回れるのであろう大きな羽が生えている。そして人間など一噛みであろうというその口には大きな牙がびっしりと生えそろい、今にも炎でも吐き出しそうな勢いである。
胴体と顔は完璧な一方で尻尾は短い…、尻尾の想像まではしていなかったのであろう。
「やったぁー。東雲さん、日出さん、変身できました。」
「千暁さん…すごいね…。」
「ほんと、千暁ちゃんすごい…。」
私と日出はその光景に圧倒され、言葉を失っていた。いきなり全身をドラゴンに変身させるとは思いもよらないし、誰もやろうとは思わないであろう。
「今回の変身でエーテル体をかなり消費した可能性あるので、今回はこれだけにして帰ろう。」
そう千暁に告げたときには千暁は地上にはいなかった…大きな羽を広げ空を飛んでいた。
私も空を飛ぼうと鳥の羽を一時的にはやしたこともあったが、コントロールが難しくすぐにあきらめた。
日出は千暁と同じくらい自由に空を飛べる技量を持ち合わせているが、エーテル体の消費が激しすぎるということで二人とも断念した覚えがある。
「千暁ちゃーーん、降りてきて、危ないよ!!」
「東雲さん、日出さん、あそこの町少しおかしいんです。なんだか、歪みというか何かいびつな感じがするんです。」
千暁が指さした町はリリーたちが住む女王が統治しているというあの町だ。
目を凝らしてみると大きなアストラル体が幽世に還元されているそのようなときにおこる歪みのようなものが確認できた。
「千暁さん、今日は帰りましょう、さすがにこれ以上はエーテル体というか、現世での体への負担が心配です。」
「ええー。やっと慣れてきたところなのに。」
「千暁ちゃん、やばいってこれは2日酔いコースだよ!」
千暁は少し不貞腐れた様子で地上に落りたち元の姿に戻った。
戻り方も教えていないのに勝手に戻ったというところで、アストラル体の消耗が激しく、維持できなくなったのではないかと心配した。
「早く帰ろう。」
「急いだほうがよさそうですね。」
「えぇー。私はまだ元気なのに。」
私も日出も同じ思いであったのであろう、2人で酸いも甘いもこの世界で経験した。そして、帰った後の体の怠さも…。
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