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第一部 神殺しの陰謀 プロローグ
幽世での訓練
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テスターの訓練当日、私は新薬を開発した責任から少し緊張してしまっていた。新薬の有用性と危険性の双方の側面を知っている立場だからこその重圧を感じていた。用法容量を正しく守れば問題はないのだが、それを守る人はどれだけいるであろうか、そんなことが頭をめぐる。しかし、今は目の前のテスターに集中しなければならないと自分に言い聞かせ、テスターたちのいる部屋に足を踏み入れた。
「皆様、集まりいただきありがとうございます。この度は新薬のテスターに参加いただきありがとうございます。契約書にもある様に、このテストには危険が伴いますが、私の言うとおりにしてもらえれば安全は保証します。」
テスターとして集まった四人の男女に業務的な説明をしたのち本題に入った。どういった危険性があるかは伏せ、あくまでオブラートに包んだ表現をすることにした。
テスターの一部は危険なんて聞いていないという顔をしていた。やはりこういった説明書や契約書といった類のものをしっかりと読まない人は一定数いるということがここでも浮き彫りになり、私の中の不安は増す一方であった。
「今から貴方達はこの新薬によって仮死状態を作ります。そして、あなたたちの精神体であるアストラル体が体から抜け出します。そのアストラル体が死後の世界である幽世とこちらの世界である常世を行き来できる様にする薬がこの新薬です。」
突然の突拍子もない話にテスター達は不安の顔を隠さないでいた。
それもそのはずだ、死後の世界やらアストラル体やら、かなり胡散臭い話だ…。話している私がもしテスターの立場であったら、やばい奴に絡まれたのではないかと不安になる。そして、こう話しているが原理はまだ解明できていないのだ…、たまたまこの結果にいたったということで原理の過程は全くわからない…。
「あ…あ、…の。死後の世界とはなんでしょうか?」
「ありがとうございます。今貴方の思い浮かべているものそのものと思っていただければと思います。天国、煉獄、地獄、その様な概念的な世界ですが、実在します。」
「ぇ、地獄に行くってことですか?」
「あくまで、天国と地獄など人が考えた概念であり、幽世はそうではありません。こればかりは体験してもらった方が早いですね。」
私はそういうと、カップに入った錠剤を各テスターに渡しベッドに入る様に指示をした。テスターたちはカップに入った錠剤をまじまじと見つめ、本当に飲んでよい物なのかと懸念しているようにも見える。
「まず向こうでのルールを説明します。私の言うことは絶対です、私から離れないで下さい。向こうで食べ物を差し出されても食べないで下さい。自分が生きているや生者であると話さない、悟られないこと。向こうに着くと扉があると思いますが、決してその扉で向こうの住人や物を連れ帰らないこと。これらを確実に守ってください。」
そう説明し、まずはテスターたちにこの薬剤は安全であるということを示すためにも自らがまず錠剤を飲み込みベッドに入った。
目を閉じると、カラフルな光の輪がなん度もなん度も流れ…、体が宙を舞う様な浮遊感を覚える。いつもの光景だ、このカラフルな光の輪は何なのだろうと考えたこともあったが、考えても結論には至れなかったので、もう思考を止めた。そして、いつの間にかこの幽世に降り立っている。
「皆様、目を開けてください。」
目の前には常世ではありえない光景が広がっている。
赤色に燃え上がるように色づいた森、宙を舞い泳ぐような岩や石、意志を持つかのように動き回る花…。人や動物…、そして、常世では怪物や妖怪などと揶揄されるような異形の者たち。
「さっきまでベッドにいたはずでは…。」
「ここはどこなのですか…?」
「皆様、落ち着いてください。ここは死後の世界です。」
皆ポカンとした顔をしており、まだ現実を受け入れられていない様だ。肉体という器から抜け出したアストラル体、はじめは私も困惑した。しかし、アストラル体(精神体)と言えど結局のところ常世の肉体とそうそう変わらない。
「では、少し歩いてみましょうか。我々がこちらで活動するためには生命エネルギーであるエーテル体を消費するので気をつけて下さい。エーテル体はアストラル体の充電装置のようなものだと思ってください、いわば常世でいう体力ですね。」
テスター達は恐る恐るこの死後の世界を歩き始めた、郷に入っては郷に従えと考えているのか、夢ならとことんやってやるぞという気持ちなのかはわからないが思い思いに行動している。
初めは足元がおぼつかない感じであったが皆一同慣れてくると、走ったり、ジャンプしたりし始めた。
「皆様、慣れてきた様ですね。この世界のではエーテル体を消費して空を飛んだり、体の形状も慣れれば変えたりできる様になります。しかし、消耗も激しいのでそれは後日にしましょう。」
私は自分の体の一部を変化させて見せた。見ごたえがあるように自分の腕を恐竜やドラゴンの鋭い爪のように変化させ、テスターに披露した。
「すごい!こんなこともこの世界ではできるのですね!」
「そうなのです…、この世界の全てはわかりませんが、想像力がエーテル体を消費しアストラル体に変化をもたらしていると推測しています。」
私の話は理解されなかった。しかし、なんとなくの雰囲気は伝わった様で、納得はしていなさそうな顔ではあったが、頷いていてくれた。
本当は話している、私もはっきり言ってよくわかっていない…。
「では、今日はこの辺りにしましょうか。あまり長居すると、現実に戻った時の疲労感がすごいので…。初めは違和感を覚えると思いますがなれます。」
そう言うと私たちは朧げに浮かび上がる扉に手を触れた。またもや、こちらに来た時と同様の浮遊感が体を支配したと思った矢先、急に地面に叩きつけられる様な衝撃と共にベッドから飛び起きる。
「皆様お疲れ様です。いかがでしたか?」
「あれは、本当の出来事ですか?何か脳に直接映像を投影したとかなんじゃないのですか?」
「疑う気持ちもよくわかります。しかし、現実です!メカニズムの解明は完全にはできていませんが…。また明日も訓練したいと思いますので、皆様はこのままゆっくりお休み下さい。」
皆一同、夢の体験の反動からか、かなり疲れた様子であった。それもそのはずで、現実世界では消耗しない力を消耗しており、その反動は凄まじいものがある。
当の私も初めて向こうの世界に行った時は勝手もわからず向こうの世界で消耗し、現実世界で2日寝込んだくらいだ…。
明日の訓練は死者の街へ入るということを考えている…。そして、それはリスクも跳ね上がることも…。
「皆様、集まりいただきありがとうございます。この度は新薬のテスターに参加いただきありがとうございます。契約書にもある様に、このテストには危険が伴いますが、私の言うとおりにしてもらえれば安全は保証します。」
テスターとして集まった四人の男女に業務的な説明をしたのち本題に入った。どういった危険性があるかは伏せ、あくまでオブラートに包んだ表現をすることにした。
テスターの一部は危険なんて聞いていないという顔をしていた。やはりこういった説明書や契約書といった類のものをしっかりと読まない人は一定数いるということがここでも浮き彫りになり、私の中の不安は増す一方であった。
「今から貴方達はこの新薬によって仮死状態を作ります。そして、あなたたちの精神体であるアストラル体が体から抜け出します。そのアストラル体が死後の世界である幽世とこちらの世界である常世を行き来できる様にする薬がこの新薬です。」
突然の突拍子もない話にテスター達は不安の顔を隠さないでいた。
それもそのはずだ、死後の世界やらアストラル体やら、かなり胡散臭い話だ…。話している私がもしテスターの立場であったら、やばい奴に絡まれたのではないかと不安になる。そして、こう話しているが原理はまだ解明できていないのだ…、たまたまこの結果にいたったということで原理の過程は全くわからない…。
「あ…あ、…の。死後の世界とはなんでしょうか?」
「ありがとうございます。今貴方の思い浮かべているものそのものと思っていただければと思います。天国、煉獄、地獄、その様な概念的な世界ですが、実在します。」
「ぇ、地獄に行くってことですか?」
「あくまで、天国と地獄など人が考えた概念であり、幽世はそうではありません。こればかりは体験してもらった方が早いですね。」
私はそういうと、カップに入った錠剤を各テスターに渡しベッドに入る様に指示をした。テスターたちはカップに入った錠剤をまじまじと見つめ、本当に飲んでよい物なのかと懸念しているようにも見える。
「まず向こうでのルールを説明します。私の言うことは絶対です、私から離れないで下さい。向こうで食べ物を差し出されても食べないで下さい。自分が生きているや生者であると話さない、悟られないこと。向こうに着くと扉があると思いますが、決してその扉で向こうの住人や物を連れ帰らないこと。これらを確実に守ってください。」
そう説明し、まずはテスターたちにこの薬剤は安全であるということを示すためにも自らがまず錠剤を飲み込みベッドに入った。
目を閉じると、カラフルな光の輪がなん度もなん度も流れ…、体が宙を舞う様な浮遊感を覚える。いつもの光景だ、このカラフルな光の輪は何なのだろうと考えたこともあったが、考えても結論には至れなかったので、もう思考を止めた。そして、いつの間にかこの幽世に降り立っている。
「皆様、目を開けてください。」
目の前には常世ではありえない光景が広がっている。
赤色に燃え上がるように色づいた森、宙を舞い泳ぐような岩や石、意志を持つかのように動き回る花…。人や動物…、そして、常世では怪物や妖怪などと揶揄されるような異形の者たち。
「さっきまでベッドにいたはずでは…。」
「ここはどこなのですか…?」
「皆様、落ち着いてください。ここは死後の世界です。」
皆ポカンとした顔をしており、まだ現実を受け入れられていない様だ。肉体という器から抜け出したアストラル体、はじめは私も困惑した。しかし、アストラル体(精神体)と言えど結局のところ常世の肉体とそうそう変わらない。
「では、少し歩いてみましょうか。我々がこちらで活動するためには生命エネルギーであるエーテル体を消費するので気をつけて下さい。エーテル体はアストラル体の充電装置のようなものだと思ってください、いわば常世でいう体力ですね。」
テスター達は恐る恐るこの死後の世界を歩き始めた、郷に入っては郷に従えと考えているのか、夢ならとことんやってやるぞという気持ちなのかはわからないが思い思いに行動している。
初めは足元がおぼつかない感じであったが皆一同慣れてくると、走ったり、ジャンプしたりし始めた。
「皆様、慣れてきた様ですね。この世界のではエーテル体を消費して空を飛んだり、体の形状も慣れれば変えたりできる様になります。しかし、消耗も激しいのでそれは後日にしましょう。」
私は自分の体の一部を変化させて見せた。見ごたえがあるように自分の腕を恐竜やドラゴンの鋭い爪のように変化させ、テスターに披露した。
「すごい!こんなこともこの世界ではできるのですね!」
「そうなのです…、この世界の全てはわかりませんが、想像力がエーテル体を消費しアストラル体に変化をもたらしていると推測しています。」
私の話は理解されなかった。しかし、なんとなくの雰囲気は伝わった様で、納得はしていなさそうな顔ではあったが、頷いていてくれた。
本当は話している、私もはっきり言ってよくわかっていない…。
「では、今日はこの辺りにしましょうか。あまり長居すると、現実に戻った時の疲労感がすごいので…。初めは違和感を覚えると思いますがなれます。」
そう言うと私たちは朧げに浮かび上がる扉に手を触れた。またもや、こちらに来た時と同様の浮遊感が体を支配したと思った矢先、急に地面に叩きつけられる様な衝撃と共にベッドから飛び起きる。
「皆様お疲れ様です。いかがでしたか?」
「あれは、本当の出来事ですか?何か脳に直接映像を投影したとかなんじゃないのですか?」
「疑う気持ちもよくわかります。しかし、現実です!メカニズムの解明は完全にはできていませんが…。また明日も訓練したいと思いますので、皆様はこのままゆっくりお休み下さい。」
皆一同、夢の体験の反動からか、かなり疲れた様子であった。それもそのはずで、現実世界では消耗しない力を消耗しており、その反動は凄まじいものがある。
当の私も初めて向こうの世界に行った時は勝手もわからず向こうの世界で消耗し、現実世界で2日寝込んだくらいだ…。
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