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~第二章~ 足跡の無い道
第八話
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大会の出場者の中から残った計十六人。
その全員が昨日と同じ広場に集まっていた。
何となく昨日より彼らの顔が怖い感じがする。
それに戦いの得意なタイプはポーカーで落ちてくれたと思ってたけど、そうでもなさそうだった。
それどころか、今まで見てきた中でもトップレベルの強さを持っている人達ばかりだと思う。
「ふぅ、緊張してきた」
思わず呟いてしまう。
「これより、ルールの確認をさせてもらう!」
昨日と同じ男が壇上の上からまた声を上げる。
「うぉーー」そんな風にしか聞き取れない観客の声が響き、まるで嵐の様な盛り上がりを見せる。
「静粛に!……」
その声と同時に嵐は収まり、小雨の様な少しの会話位しか聞こえなくなった。
「ルール説明を始める。次に行うのは決闘となっている。そしてこれにおけるルールは三つある。
一つ、ここにある二十五メートルかけ二十五メートルのステージを出た場合失格とする。
二つ、どちらかが降参した時点で試合は終了とし、それ以上の攻撃を禁ずる。
三つ、決闘者以外の決闘への参加は何人たりとも認めず、人質など決闘者がほかの者を巻き込む事も禁ずる。
これらをルールとし、どちらかが戦闘続行不可と判断されるか、以上のルールを破った時点で負けとする。以上!」
そのかけごえによってか、またさっき嵐がが戻ってくる。
「それでは対戦相手を決めるくじを引きます。参加者は皆さんこちらに来てください!」
さっきとは違う声で集められると僕達は全員、それぞれくじを引いて対戦相手を確認するように案内される。
「俺の相手はお前か……」
そんなふうに横から突然声をかけてきたのは、二メートルはありそうな長身で全身が太くでかい。
そんな奴だった、格好は盗賊のようにも見える物々しいものだった。
「そうですか……よろしくお願いします」
一応、頭下げとくか。
「おう!楽しみにしてるぜ!」
そう言うと大きく上品とは言い難い笑い声を周りに響かせて人混みへと歩いていった。
「どうなることやら……」
確か、試合の順番は僕らが一番はじめだけど……それでも一時間ぐらいあるな、エマ様は今日は来れないって言ってたしどうしようかな。
「とりあえず、ブラブラとしますか」
そう思って僕もほかの参加者同様に祭りの騒がしさの中に足を進めた。
しかし、それはすぐに後悔する事になった。
「動けない……」
明らかに昨日より人が多く、歩き出してすぐに身動きが制限されてしまったのだ。
「と、とりあえずあのカフェに入れれば……」
何とか脱出しようと身を捩りながら移動をすると何とか、カフェの入口にたどり着くことができた。
何とか、来れたけどこのまままた人混みに入る気にもなれないし少し休んでから戻るかな。
少し重たいドアを開けて中へと進む。
中はとても落ち着いた雰囲気で外とは逆に異世界に来たかのように静かだった。
「いらっしゃい」
そんな内装に合った落ち着いた雰囲気のマスターがカウンターから声をかけてくる。
「コーヒー貰えますか」
僕はカウンター席に腰を下ろし、コーヒーを注文する。
「はいよ」
少しするとコーヒーを作る作業の音が香りとともに店内に広がっていく。
待ち時間に何となく店内を見渡していた時だった。
入った時は気づかなかったが何人か先客がいたらしく、その内の二人組の会話がこっちにまで漏れていた。
「お前、知ってるかよ……」
「何だよ?」
「今回の大会が反乱抑制の為だって噂」
「あんなの嘘だろ?」
「そうなのか?でもよ、やってる内容は昔に騎士団なんかでやってた裏切り者探しと同じ内容らしいぜ」
「嘘だよ、ウソウソ」
「だよなーそんなことないか」
「そうだよ、それよりよ……」
そこで二人は会話を変えていたのでそれ以上は聞かないように善処する。
でも、今の話は聞いたことがあるな。
いつだっけか、お客さんが言ってたんだよな、嘘をつくときの癖とか仲間の実力の把握とかギャンブルの仕方とかで、その人の情報を持っておいて裏切りや離反なんかをしにくくしとく方法があったって。
でも、結局はそれらを行える様な優秀な人が必要だし、時間もかかるからやる所が減って今じゃ知らない人の方が多いとも言ってたな。
第一、もしそれだったとしてもこんな風に行ったって意味は無いだろうけどね。
「コーヒー、お待たせしました」
「ありがとうございます」
いい香りが鼻腔をくすぐり、カップを口付ける。
「あっ美味しい」
コーヒーは本当に美味しかった。
試合が開始される五分前、僕は戦う舞台であるステージに立っていた。
まだ、相手は来てはいなかった。
しかし、周りには多くの観客が来ていて開始されるのを今か今かと待っているようだった。
「待たせたな、坊主」
そう言って開始時間直前なのにゆっくりとステージに上がってくる男。
「いいえ、僕が早かっただけなので」
よく見ると観客の中には彼の仲間と思われる人が多く混じっていた。
確かに彼が反乱起こしたら、ただでは済まなそうだけど、それとこれとは別だよな。
「お願いします」
「あぁよろしく」
壇上に立っていた男がステージの近くまで来ると少しの沈黙が広場全体を支配する。
確かに短い時間のはずなのに鼓動が早いからだろうか、妙に長く感じる。
「開始!」
掛け声と同時に男は僕に向けて強く地をけって距離を詰めてきた。
「悪いが、勝たせてもらうぞ!」
そう叫ぶように宣言すると握った拳を振り下ろす様に殴ってくる。
何とか、それは受け流せた。
「危ない……流石ですね、速さも威力も僕とは段違いですね」
そんな感想を漏らす僕へ彼は興味を持ったような目付きで楽しそうに笑う。
「ほぅラッキーで上がってきたガキでは無いらしな」
「えぇまぁ……」
彼は笑い声を高く響かせると獲物を狩る猛獣の様な目付きに変わる。
「いいね!楽しくなってきた!」
咆哮の様な言葉を叫び、再度突っ込んでくる。
彼は腰にある剣には手をかけず、拳を振るう。
長身から放たれるそれは速く強い。
「ほらほら!どうした!?」
「くっそ……」
攻撃を貰うつもりは無いがこうまで攻められるとこっちからやりにくいな。
「離……れろっ!」
「うぐっ」
何とか蹴りで距離を置けたが、あのラッシュは受けるのが意外とめんどくさい。
この際、剣で来てくれた方が楽なんだけどな。
「やるな……ガキ」
「剣は抜かないんですか?」
「抜くかよ、素手で決めようぜ」
やっぱりか、まぁしょうが無いか。
「じゃあ、次は僕から行きます!」
一直線に距離を詰める。
まぁ当然向こうは拳を振るうだろう。
しかし、それこそが僕の欲しかったものだった。
予想通り、拳を僕に叩きつけようとする男の伸ばした腕をとると体を捻り外へと逃げる。
そして、がら空きになった肘を本来とは逆の方向へと思いっきり突く。
突かれた肘は僕の思惑通りに本来とは逆の方向へと曲がる。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まず、左」
「貴様!殺す!!」
さっきよりも狂気に満ちたその目で僕を睨むと腰の剣を抜き、それを振り下ろす。
「バコンッ!」
そんな音と共に剣はステージである石畳を割る。
「危なかった……」
「コロス!!!」
もう完全に我を忘れて剣を振るう彼は既に人間では無く、猛獣と呼んで差し支えない状態だった。
周りの観客も一部を除いてはかなり恐れている様だった。
確かに恐ろしい猛獣だ、できれば戦いたくないなんて僕だって考える。
でも、僕に戦いを教えてくれたのって猟師何だよね。
狂気に支配された猛獣が距離を詰めてその凶器を振りかざす。
「だから……猛獣退治って専門分野なんだよね!」
その剣をスレスレでかわし、それを持っている腕を蹴り上げ剣を飛ばす。
その衝撃で体勢を崩した彼に片手を当て、そのまま突き飛ばす。
「ガハッ……」
そのまま頭でも打ったのか気を失ったその男が背をつけていたのは石畳では無く、広場の上だった。
「勝った……」
そんな僕が直後浴びたのは絶賛と祝福の嵐だった。
その全員が昨日と同じ広場に集まっていた。
何となく昨日より彼らの顔が怖い感じがする。
それに戦いの得意なタイプはポーカーで落ちてくれたと思ってたけど、そうでもなさそうだった。
それどころか、今まで見てきた中でもトップレベルの強さを持っている人達ばかりだと思う。
「ふぅ、緊張してきた」
思わず呟いてしまう。
「これより、ルールの確認をさせてもらう!」
昨日と同じ男が壇上の上からまた声を上げる。
「うぉーー」そんな風にしか聞き取れない観客の声が響き、まるで嵐の様な盛り上がりを見せる。
「静粛に!……」
その声と同時に嵐は収まり、小雨の様な少しの会話位しか聞こえなくなった。
「ルール説明を始める。次に行うのは決闘となっている。そしてこれにおけるルールは三つある。
一つ、ここにある二十五メートルかけ二十五メートルのステージを出た場合失格とする。
二つ、どちらかが降参した時点で試合は終了とし、それ以上の攻撃を禁ずる。
三つ、決闘者以外の決闘への参加は何人たりとも認めず、人質など決闘者がほかの者を巻き込む事も禁ずる。
これらをルールとし、どちらかが戦闘続行不可と判断されるか、以上のルールを破った時点で負けとする。以上!」
そのかけごえによってか、またさっき嵐がが戻ってくる。
「それでは対戦相手を決めるくじを引きます。参加者は皆さんこちらに来てください!」
さっきとは違う声で集められると僕達は全員、それぞれくじを引いて対戦相手を確認するように案内される。
「俺の相手はお前か……」
そんなふうに横から突然声をかけてきたのは、二メートルはありそうな長身で全身が太くでかい。
そんな奴だった、格好は盗賊のようにも見える物々しいものだった。
「そうですか……よろしくお願いします」
一応、頭下げとくか。
「おう!楽しみにしてるぜ!」
そう言うと大きく上品とは言い難い笑い声を周りに響かせて人混みへと歩いていった。
「どうなることやら……」
確か、試合の順番は僕らが一番はじめだけど……それでも一時間ぐらいあるな、エマ様は今日は来れないって言ってたしどうしようかな。
「とりあえず、ブラブラとしますか」
そう思って僕もほかの参加者同様に祭りの騒がしさの中に足を進めた。
しかし、それはすぐに後悔する事になった。
「動けない……」
明らかに昨日より人が多く、歩き出してすぐに身動きが制限されてしまったのだ。
「と、とりあえずあのカフェに入れれば……」
何とか脱出しようと身を捩りながら移動をすると何とか、カフェの入口にたどり着くことができた。
何とか、来れたけどこのまままた人混みに入る気にもなれないし少し休んでから戻るかな。
少し重たいドアを開けて中へと進む。
中はとても落ち着いた雰囲気で外とは逆に異世界に来たかのように静かだった。
「いらっしゃい」
そんな内装に合った落ち着いた雰囲気のマスターがカウンターから声をかけてくる。
「コーヒー貰えますか」
僕はカウンター席に腰を下ろし、コーヒーを注文する。
「はいよ」
少しするとコーヒーを作る作業の音が香りとともに店内に広がっていく。
待ち時間に何となく店内を見渡していた時だった。
入った時は気づかなかったが何人か先客がいたらしく、その内の二人組の会話がこっちにまで漏れていた。
「お前、知ってるかよ……」
「何だよ?」
「今回の大会が反乱抑制の為だって噂」
「あんなの嘘だろ?」
「そうなのか?でもよ、やってる内容は昔に騎士団なんかでやってた裏切り者探しと同じ内容らしいぜ」
「嘘だよ、ウソウソ」
「だよなーそんなことないか」
「そうだよ、それよりよ……」
そこで二人は会話を変えていたのでそれ以上は聞かないように善処する。
でも、今の話は聞いたことがあるな。
いつだっけか、お客さんが言ってたんだよな、嘘をつくときの癖とか仲間の実力の把握とかギャンブルの仕方とかで、その人の情報を持っておいて裏切りや離反なんかをしにくくしとく方法があったって。
でも、結局はそれらを行える様な優秀な人が必要だし、時間もかかるからやる所が減って今じゃ知らない人の方が多いとも言ってたな。
第一、もしそれだったとしてもこんな風に行ったって意味は無いだろうけどね。
「コーヒー、お待たせしました」
「ありがとうございます」
いい香りが鼻腔をくすぐり、カップを口付ける。
「あっ美味しい」
コーヒーは本当に美味しかった。
試合が開始される五分前、僕は戦う舞台であるステージに立っていた。
まだ、相手は来てはいなかった。
しかし、周りには多くの観客が来ていて開始されるのを今か今かと待っているようだった。
「待たせたな、坊主」
そう言って開始時間直前なのにゆっくりとステージに上がってくる男。
「いいえ、僕が早かっただけなので」
よく見ると観客の中には彼の仲間と思われる人が多く混じっていた。
確かに彼が反乱起こしたら、ただでは済まなそうだけど、それとこれとは別だよな。
「お願いします」
「あぁよろしく」
壇上に立っていた男がステージの近くまで来ると少しの沈黙が広場全体を支配する。
確かに短い時間のはずなのに鼓動が早いからだろうか、妙に長く感じる。
「開始!」
掛け声と同時に男は僕に向けて強く地をけって距離を詰めてきた。
「悪いが、勝たせてもらうぞ!」
そう叫ぶように宣言すると握った拳を振り下ろす様に殴ってくる。
何とか、それは受け流せた。
「危ない……流石ですね、速さも威力も僕とは段違いですね」
そんな感想を漏らす僕へ彼は興味を持ったような目付きで楽しそうに笑う。
「ほぅラッキーで上がってきたガキでは無いらしな」
「えぇまぁ……」
彼は笑い声を高く響かせると獲物を狩る猛獣の様な目付きに変わる。
「いいね!楽しくなってきた!」
咆哮の様な言葉を叫び、再度突っ込んでくる。
彼は腰にある剣には手をかけず、拳を振るう。
長身から放たれるそれは速く強い。
「ほらほら!どうした!?」
「くっそ……」
攻撃を貰うつもりは無いがこうまで攻められるとこっちからやりにくいな。
「離……れろっ!」
「うぐっ」
何とか蹴りで距離を置けたが、あのラッシュは受けるのが意外とめんどくさい。
この際、剣で来てくれた方が楽なんだけどな。
「やるな……ガキ」
「剣は抜かないんですか?」
「抜くかよ、素手で決めようぜ」
やっぱりか、まぁしょうが無いか。
「じゃあ、次は僕から行きます!」
一直線に距離を詰める。
まぁ当然向こうは拳を振るうだろう。
しかし、それこそが僕の欲しかったものだった。
予想通り、拳を僕に叩きつけようとする男の伸ばした腕をとると体を捻り外へと逃げる。
そして、がら空きになった肘を本来とは逆の方向へと思いっきり突く。
突かれた肘は僕の思惑通りに本来とは逆の方向へと曲がる。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「まず、左」
「貴様!殺す!!」
さっきよりも狂気に満ちたその目で僕を睨むと腰の剣を抜き、それを振り下ろす。
「バコンッ!」
そんな音と共に剣はステージである石畳を割る。
「危なかった……」
「コロス!!!」
もう完全に我を忘れて剣を振るう彼は既に人間では無く、猛獣と呼んで差し支えない状態だった。
周りの観客も一部を除いてはかなり恐れている様だった。
確かに恐ろしい猛獣だ、できれば戦いたくないなんて僕だって考える。
でも、僕に戦いを教えてくれたのって猟師何だよね。
狂気に支配された猛獣が距離を詰めてその凶器を振りかざす。
「だから……猛獣退治って専門分野なんだよね!」
その剣をスレスレでかわし、それを持っている腕を蹴り上げ剣を飛ばす。
その衝撃で体勢を崩した彼に片手を当て、そのまま突き飛ばす。
「ガハッ……」
そのまま頭でも打ったのか気を失ったその男が背をつけていたのは石畳では無く、広場の上だった。
「勝った……」
そんな僕が直後浴びたのは絶賛と祝福の嵐だった。
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