或る騎士たちの初体験事情

shino

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或る騎士たちの恋愛事情(完結)

15話(R18表現あり)

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窓から差し込む朝日に照らされて、眩しさにノクスが薄く目を開く。すると目の前にリカルドの寝顔があり、驚いて飛び起きる。
 そういえば昨日は一緒に寝たんだった。半分しかないスペースで碌に寝返りが打てなかったので体が痛い。時計を見ればまだ起床時間には早く、ノクスはまだ起きそうにもないリカルドの寝顔をそっと眺める。
 朝日に照らされて影を落とす顔を改めてみると堀が深く、鼻が高い。眉毛は濃くて男らしいのに、少し目じりが垂れていて愛嬌がある。目を閉じて黙っていれば結構な男前だなとノクスは思う。
 そっと鼻に触れようと手をのばすとパチッと深緑の目が開く。驚いて手を引っ込めるとぼんやりとした目でふにゃりとリカルドが微笑む。その笑顔がとても幸せそうでノクスの胸がドキンとときめく。

「おはよ」
「……お、おはよう……」
「よく眠れたか?」

 リカルドはまだ眠たそうな目で日の光を反射するノクスの金髪を一房摘まんで指先で弄ぶ。
 
「……暑くて、窮屈であまり寝られなかった……」

 いつも朝の挨拶はしていたがこんな甘い顔で挨拶されるのは初めてで、ノクスの心拍数が上がり、くるりと背中を向ける。

「ええ~、そんなつれないこと言うなよ~」

 リカルドが情けない声を上げながらノクスの背中に抱きつく。
 
「なあ、こっち向けって」
「嫌だ。私はもう少し寝る」

 寝起きだし、結局昨日はなかなか寝付けずあまり寝れてないからひどい顔をしているだろう。付き合い始めた恋人にこんな顔を至近距離で見られるのは嫌だった。何より昨日したことを様々と思い出して、ノクスは恥ずかしくてまともにリカルドの顔が見れそうになかった。

「ええ~。おはようのキスしようぜ」

 背を向けてもリカルドが後頭部や首筋にキスの雨を降らしてきてくすぐったい。
 いつの間にか抱きしめていた大きな手が寝間着の裾を割って胸を弄ってきた。
 
「お、おい、朝っぱらから何して……」

 ノクスが首をひねって振り返ると唇を塞がれる。
 ちゅっと音を立てて唇を離すとへらりとリカルドが笑う。

「挨拶のキスは、恋人同士の大切なコミュニケーションの一つだぜ?おはようと、お休みと、いってきますのチューはどうしてもできない理由がない限り、毎日すること。分かったか?」
「……世間一般ではそういうものなのか……?少なくとも私の両親がしているところを見たことがないんだが……」
 
 恋愛経験がなさ過ぎて何が普通なのかがノクスには良く分からなかった。砦の攻略方法などであればいくらでも浮かぶのだが。
 一般常識に合わせる必要もないと思うが、経験がない以上ノクスは経験豊富なリカルドのいう事を聞くしかなかった。

 「ああ、いつまでも仲良くするための秘訣だよ」

 そう言うとリカルドがもう一度ノクスの唇にキスをする。今度は触れるだけではなく、唇を舌で割り、口内に滑り込ませる。

「ん……んん……」

 昨日ノクスが覚えたばかりの深いキスをして、たっぷりと唇を堪能するとリカルドは満足げに顔を離す。
 ノクスは濡れた唇を拭いつつ、真っ赤な顔でリカルドをじろりと睨みつける。
 
「……これは挨拶のキスじゃないだろ」
「いいじゃねえか、まだ朝食には少し早いんだし。もう少しイチャイチャしようぜ」

 そう言うとノクスをぎゅっと抱きしめる。尻に硬いものが当たる感覚にノクスがギョッとする。

「お、おい、なんか硬いのが当たってるぞ……朝から何考えてるんだ!」
「朝だからだろ~。昨日一回しか出してないし……俺一晩に3回くらいは出さないとすっきりしねえんだよ」
「さ、三回?!多すぎないか?」
「そうか?体がでかいからかな?比例すんのかも」
「そんなわけないだろ!お前の性欲が強すぎるんだ!」
「さっきのキスで完璧起きちゃった。ちょっとだけいいだろ?」
「馬鹿!お前が勝手にしてきたんだろ!このスケベ!」

 リカルドは可愛く言うと硬くなった股間をノクスの尻に擦り付ける。
 ノクスは暴れて逃げようとするが、前は壁、後ろからリカルドの腕で体ががっちりホールドされているため逃げ場はない。

「じゃあ、足!足貸してくれるだけでいいから。お願いします!」
「……足?足でどうやるんだ?」

 想像がつかなくて興味の方が勝ってしまったノクスが動きを止める。

「ん?素股って聞いたことない?」
「素股?どういうことだ?」
「う~~ん口で説明するよりやってみた方が早いかな?」

 そういって、リカルドはノクスの寝間着のズボンに手を掛けると下着ごと一気に下ろす。
 上から布団を被っているとはいえ、いきなり尻を丸出しにされてノクスは心もとなかった。

「わっ!な、何をする」
「いいから、いいから。お前はそのまま脚閉じてて」

 リカルドの大きな掌が尻を撫でまわす。後ろから内股に手を差し入れられ、きわどいところを撫でられ、くすぐったいだけではない感覚がノクスの体に走る。
 
「お、おい!勝手に尻に触るな!」
「お前の尻すべすべしてて気持ちいいな。キュッとしまって、良い筋肉してる」
「……女性みたいに柔らかくなくて悪かったな……」
「別に悪いって言ってないだろ。俺は好きだぜ」

 そういって内股を撫でていた手がするりと前に回される。

「あれ?お前も少し勃ってるじゃん」
「お前がいやらしい触り方するからだ!」
「じゃあ、責任取らなきゃな」

 そう言いつつごそごそと背中でリカルドが自分のズボンを下す気配を感じる。
 何をするんだろうとノクスは首をひねって見るが、下半身の方までは見えない。するとリカルドが背中に密着してきて、足の間に熱くて硬い物が差し込まれる。
 そのまま何度か足の間を行き来して、尻にあたる下生えの感覚、リカルドの荒い息づかいからそれがリカルドの性器であることに気が付く。
 抜き差しされる熱い昂ぶりにノクスの性器の裏筋が摺り上げられ、腰が尻にぶつかるたびに肌を叩く音がする。これではまるでセックスをしているようではないかとノクスの顔が赤くなる。
 昨夜の行為は自慰の延長のようだったが、こうして腰を使われるとあからさまに性行為という感じがして緊張のあまりノクスの足に力が入る。

「うっ……いい締め付け……お前の足すごいすべすべして気持ちいい……」

 リカルドがノクスの足をいやらしく撫でながらの腰を打ち付ける。先からあふれ出る液体がノクスの太ももを濡らす。
 足を撫でていたリカルドの手がするりとノクスの性器にのびて、腰の動きのリズムに合わせて一緒に摺り上げる。もう片方の手で胸の突起を弄るのも忘れない。
 肌を叩く音と、リカルドの荒い息づかいに耳を犯され、胸と性器への直接的な刺激でノクスの陰茎は立ち上がり、息が熱くなる。

「ん……んん……もう、やだ……」
「ん?ホントにやだ?だったらやめるけど?」

 動きをとめリカルドがノクスの顔を覗き込み、ニヤニヤと笑う。分かっているくせに意地悪をする男にノクスはぎりっと歯噛みして睨みつける。この状態で放置されるのもつらい。

「…………さっさと済ませろ……」
「ん、了解」

 絞り出した小さな了承にリカルドは嬉しくなってこめかみにキスを落とすと再び腰を振り始める。
 後ろから犯されて自分が女になった様な気分になってノクスはひどく屈辱的だったが、今は少しでも早く楽になりたかった。

「あ……ああ……ん……んっ……」
「う……あ、あと少し……」
「は、早くいけ……遅漏め……」
「口が悪りぃなあ……」

 リカルドの腰と手の動きのピッチが上がりさらに激しくなる。リカルドの荒い息とノクスの短い嬌声が混じりあう。
 
「んあっ!」
「ぐっ……」

 ほぼ二人同時に白濁を吐き出し、リカルドの放ったものがノクスの内股と布団を汚す。
 はあはあと呼吸を整えつつリカルドがノクスの頬にキスをする。

「はあ、気持ちよかった……ありがとな」
「……布団が汚れた……このスケベ」
「ごめん、ごめん。今度はちゃんと拭くもの用意するからさ」
 
 不機嫌に言うノクスにリカルドが苦笑いし、ノクスは呆れて大きなため息をつく。
 
「洗濯係になんていうんだ……」
「おねしょした、とか?」
「馬鹿!お前が責任取れ!」
「はーい。夜こそっと洗っておきます……」

 ノクスはベットから起き上がりズボンと下着を脱ぐと精液で汚れた下半身をリネンでぬぐった。
 性欲が強そうだとは思っていたがここまでだとは思っていなかった。これからこの男と同じ部屋で毎日過ごすのかと思うとノクスは少し頭が痛くなってきた。
 昨日から床に放置されたままのリカルドのシャツと一緒に汚れ物をまとめる。これを洗濯係に洗ってもらうのは恥ずかしすぎるので、あとでリカルドに洗わせようとノクスは思った。
 ノクスは新しい下着に着替えると制服のズボンを履き、シャツを羽織る。

 「そういやさ、もしかして、初恋も俺だったりする?」

 ノクスのベットにだらしなく寝そべったままのリカルドが尋ねる。
 
「残念だったな。初恋は別の人だ」
「なーんだ、残念。ノクスの初めて全部コンプリートかと思ったのに」

 リカルドには昨日から翻弄されてばかりだったから、やっと少し勝った気分になってノクスが鼻を鳴らす。
 それを聞いたリカルドは不満げにむくれるて、その顔が子供っぽくてノクスがふっと笑う。
 
「なんだ、妬いているのか?」
「べっつに~。なあ、どんな奴?」
「別にいいだろ。そんなの。昔の話だ。もう忘れた」
「いやいや、初恋ってそんな忘れられるもんじゃないだろ?俺なんて今でもばっちり覚えてるぜ」
「ほう?どんな人だ?」
「あれ?気になっちゃう感じ?俺の初恋は9歳の時で……」
「ああ、やっぱりいい。ほら、そろそろ朝食の時間だ。いつまでも寝転がってないでさっさと着替えろ」
「ええ~聞いてくれよ!」

 ノクスはいつも通り隙の無い完璧な身だしなみを整えると、食堂に向かって歩き出す。
 だがその足取りは心なしかいつもより軽快だ。
 リカルドも慌てて制服に着替えると、つれない金髪の恋人の背中を楽しそうに追いかけた。
 

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