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第一章 荷台に棲む獣〈こども〉たち
#3:夢見る兎 - 2
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食事と片付けが終わった子供たちは、また退屈な昼を車の中で過ごした。朝が早かった分、一日はいつもより長めに感じられた。
サンドで機嫌を良くしたと思われたコシュカとクニークルスは、それでも口を利かず、互いの寝床で思い思いの時間を過ごしている。
陰鬱な荷台に耐えられないアステリオンは、天幕の下で雨音に耳を傾けながら椅子に座り、テーブルの上で頬杖をついて半分眠ってしまった。
しばらくした後、スクァーレルがいつの間にか横に座り、同じように机の上に身を預けて昼寝を始めた。
「おいおい、こんな所で何してんだ? 冷えるぞ」
デュランは大きめの外套をアステリオンとスクァーレルの肩にかけてやった。
アステリオンはうっすらと目を開ける。
「ああ……ぼく、うっかり寝てたみたいだ」
「飯を食えば緊張も解れる。昨晩は相当にお疲れだったようだな」
アステリオンは答える代わりにあくびをした。その様子にデュランは小さく笑う。
「街で聞いたが、砂漠は雨期に入ったそうだ。こいつは当分続くぞ」
「そんな気はしてたけど……それじゃあ、いつ頃出発できるか分からないじゃないか」
デュランは頭を掻いた。
「何とか出発するタイミングを見つけるさ。何せ、今日の雲は薄いし、一度ぐらいは止むだろう」
アステリオンはもう一度注意深く空を見上げた。
「……なら、多分、夜遅くになるよ」
「お前は空の様子が分かるんだな」
「うん。何故だか分からないけど、多分、ずっと暇つぶしに空を見てたせいだと思う」
「いい特技だ。特に俺たちのように旅をする者にはな」
そこへ、水の跳ねる音がした。コシュカだ。
「これだけ雨が降っても、砂漠は砂漠なんだな」
コシュカはそう言って手頃な席に座った。
「……こんなに降るなら、花の一つでも咲いてくれりゃいいのに」
「足下の砂が触れられるモノだったらその可能性はあっただろうな」
デュランは眠気覚ましのコーヒーを沸かしにかまどに火を点けた。
「お前らも飲むか?」
「ぼくはもらおうかな。ミルクがあるなら」
アステリオンは目を擦りながら言った。
「少しだが、まだ残ってる。……コシュカは?」
コシュカは歯を見せ、得意気に親指で自分の胸を指差した。
「オレ、ブラックでいいぜ」
「よく飲めるね?」
「んにゃ、飲めねーって。ちょっと試したいだけさ」
「いいのか? 結構苦いぞー?」デュランは意地悪そうに言った。「俺でもミルクは入れるんだがな」
するとコシュカは慌てて手を振った。
「わ、分かった! オレもミルク入れてくれ!」
「じゃあ三等分だな」
「いいえ、四等分よ」
サンドで機嫌を良くしたと思われたコシュカとクニークルスは、それでも口を利かず、互いの寝床で思い思いの時間を過ごしている。
陰鬱な荷台に耐えられないアステリオンは、天幕の下で雨音に耳を傾けながら椅子に座り、テーブルの上で頬杖をついて半分眠ってしまった。
しばらくした後、スクァーレルがいつの間にか横に座り、同じように机の上に身を預けて昼寝を始めた。
「おいおい、こんな所で何してんだ? 冷えるぞ」
デュランは大きめの外套をアステリオンとスクァーレルの肩にかけてやった。
アステリオンはうっすらと目を開ける。
「ああ……ぼく、うっかり寝てたみたいだ」
「飯を食えば緊張も解れる。昨晩は相当にお疲れだったようだな」
アステリオンは答える代わりにあくびをした。その様子にデュランは小さく笑う。
「街で聞いたが、砂漠は雨期に入ったそうだ。こいつは当分続くぞ」
「そんな気はしてたけど……それじゃあ、いつ頃出発できるか分からないじゃないか」
デュランは頭を掻いた。
「何とか出発するタイミングを見つけるさ。何せ、今日の雲は薄いし、一度ぐらいは止むだろう」
アステリオンはもう一度注意深く空を見上げた。
「……なら、多分、夜遅くになるよ」
「お前は空の様子が分かるんだな」
「うん。何故だか分からないけど、多分、ずっと暇つぶしに空を見てたせいだと思う」
「いい特技だ。特に俺たちのように旅をする者にはな」
そこへ、水の跳ねる音がした。コシュカだ。
「これだけ雨が降っても、砂漠は砂漠なんだな」
コシュカはそう言って手頃な席に座った。
「……こんなに降るなら、花の一つでも咲いてくれりゃいいのに」
「足下の砂が触れられるモノだったらその可能性はあっただろうな」
デュランは眠気覚ましのコーヒーを沸かしにかまどに火を点けた。
「お前らも飲むか?」
「ぼくはもらおうかな。ミルクがあるなら」
アステリオンは目を擦りながら言った。
「少しだが、まだ残ってる。……コシュカは?」
コシュカは歯を見せ、得意気に親指で自分の胸を指差した。
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「よく飲めるね?」
「んにゃ、飲めねーって。ちょっと試したいだけさ」
「いいのか? 結構苦いぞー?」デュランは意地悪そうに言った。「俺でもミルクは入れるんだがな」
するとコシュカは慌てて手を振った。
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「じゃあ三等分だな」
「いいえ、四等分よ」
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