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嘆く岩の真実
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フェールは驚きすぎて思考が停止し、口をパクパクと動かしていた。
「い、岩が!? 池が!? セルジオさんが人間に化け!? そ、それにオーさんの服が変わって、背も小さく!? えええええ!?」
理解が追い付かないようだ。
フェールの支離滅裂な言葉に気づいて、ラルは視線を向ける。
現在のラルの年齢は10歳くらいで、絶世の美形が神秘的な美形に変化している。
もはや雰囲気や佇まいが神々しくてなんだか目が潰れそうだ。
黒いローブが銀色に変化し見慣れない模様がローブの中を波打っていて、傍には少年の背丈の二倍ほどある杖が浮いていた。
「ああ、あのあの!? か、亀が!?」
駆け寄りたい気持ちはあるが、これ以上近づいてはいけないと感じて、フェールはその場から動かなかった。
鳥と魚は困ったようにお互いの顔を見合わせたが、少年は何事も無かったように笑いかけた。
「説明、したほうが良いかな?」
フェールは首を縦に振る。ブンブンと頭がもげそうなほど勢いがあった。
「それじゃ、嘆き岩から。あれは幻獣ヤミガメの卵。霧の中を移動する夜の世界を泳ぐ亀だね。普通なら海の中に暗い場所に産むんだけど、ちょっと今回は間違えて山の中に産んじゃったらしい」
「じじじじ、じゃ、今まで聞こえてきた声は!?」
「あれは孵化をしたいのに出来ない赤ちゃんの叫び声。ヤミガメの卵は新月の濃い霧の日でないと孵化できないんだ。この丘は霧なんて出なかったんだろうね。もう旅立ちの準備が出来ているのに出られなくて、苦しんでいた。もう少し遅かったら死んでいたよ。ふふふ、間に合ってよかった」
楽しそうに説明するラルの斜め後方で、マークとセルジオが身を寄せ合い、ひそひそと小声で話し合う。
「そうだったのですか。一目見ただけでその全容を把握する王。いやはや、流石です」
「私も気づかなかった」
セルジオの落ち込んだ呟きを聞いて、マークは呆れる。
「全く。貴方は海の管轄でしょう? どうして気づかなかったんですか?」
「いや、その、面目ない」
返す言葉もなく、セルジオはどんよりとした空気を纏って項垂れていた。
マークはツンツンと嘴を背中に突きさしながら、なじる。
「全く、肝心な所で使えない人ですね」
「面目ない……」
「……」
本気で落ち込んでいるセルジオに向かって、それ以上なじることはせず、マークは翼で魚の背中をやんわりと撫でた。
「元気だしなさい。肝心な事でうっかりすることもあります」
きつめの口調ながらもしっかり慰める。その様子は彼らの仲が良好な事を物語っていた。
「わかった?」
ラルが説明を終えると、フェールは自分なりに考えをまとめた。
「つまり、あれは亀の卵で、声は助けを求めてた。ってことで、それをオーさんが助けてあげたってことですよね?」
「そ」
少年が頷くと、少女は「ええと」と、どもりながらペコンとお辞儀をした。
「亀を助けてくれてありがとう」
「?」
「だ、だって、亀助かったし、嘆き岩もなくなったから。だから、ありがとうオーさん!」
屈託のないフェールの笑顔に、ラルも笑顔で応える。
「どういたしまして」
「でも……」とフェールは躊躇いがちに声を出した。
「い、岩が!? 池が!? セルジオさんが人間に化け!? そ、それにオーさんの服が変わって、背も小さく!? えええええ!?」
理解が追い付かないようだ。
フェールの支離滅裂な言葉に気づいて、ラルは視線を向ける。
現在のラルの年齢は10歳くらいで、絶世の美形が神秘的な美形に変化している。
もはや雰囲気や佇まいが神々しくてなんだか目が潰れそうだ。
黒いローブが銀色に変化し見慣れない模様がローブの中を波打っていて、傍には少年の背丈の二倍ほどある杖が浮いていた。
「ああ、あのあの!? か、亀が!?」
駆け寄りたい気持ちはあるが、これ以上近づいてはいけないと感じて、フェールはその場から動かなかった。
鳥と魚は困ったようにお互いの顔を見合わせたが、少年は何事も無かったように笑いかけた。
「説明、したほうが良いかな?」
フェールは首を縦に振る。ブンブンと頭がもげそうなほど勢いがあった。
「それじゃ、嘆き岩から。あれは幻獣ヤミガメの卵。霧の中を移動する夜の世界を泳ぐ亀だね。普通なら海の中に暗い場所に産むんだけど、ちょっと今回は間違えて山の中に産んじゃったらしい」
「じじじじ、じゃ、今まで聞こえてきた声は!?」
「あれは孵化をしたいのに出来ない赤ちゃんの叫び声。ヤミガメの卵は新月の濃い霧の日でないと孵化できないんだ。この丘は霧なんて出なかったんだろうね。もう旅立ちの準備が出来ているのに出られなくて、苦しんでいた。もう少し遅かったら死んでいたよ。ふふふ、間に合ってよかった」
楽しそうに説明するラルの斜め後方で、マークとセルジオが身を寄せ合い、ひそひそと小声で話し合う。
「そうだったのですか。一目見ただけでその全容を把握する王。いやはや、流石です」
「私も気づかなかった」
セルジオの落ち込んだ呟きを聞いて、マークは呆れる。
「全く。貴方は海の管轄でしょう? どうして気づかなかったんですか?」
「いや、その、面目ない」
返す言葉もなく、セルジオはどんよりとした空気を纏って項垂れていた。
マークはツンツンと嘴を背中に突きさしながら、なじる。
「全く、肝心な所で使えない人ですね」
「面目ない……」
「……」
本気で落ち込んでいるセルジオに向かって、それ以上なじることはせず、マークは翼で魚の背中をやんわりと撫でた。
「元気だしなさい。肝心な事でうっかりすることもあります」
きつめの口調ながらもしっかり慰める。その様子は彼らの仲が良好な事を物語っていた。
「わかった?」
ラルが説明を終えると、フェールは自分なりに考えをまとめた。
「つまり、あれは亀の卵で、声は助けを求めてた。ってことで、それをオーさんが助けてあげたってことですよね?」
「そ」
少年が頷くと、少女は「ええと」と、どもりながらペコンとお辞儀をした。
「亀を助けてくれてありがとう」
「?」
「だ、だって、亀助かったし、嘆き岩もなくなったから。だから、ありがとうオーさん!」
屈託のないフェールの笑顔に、ラルも笑顔で応える。
「どういたしまして」
「でも……」とフェールは躊躇いがちに声を出した。
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