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第四話
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少年は速足になって先へ進む。
目指す家はいつの間にか木製の平屋に変化している。路地の隙間だった小道に砂利が増え、歩くたびに素直踏む音がしている。更にコンクリートだった壁に、レンガが混じり始めた。
景色が変化していくのを視界に入れているはずだが、早く帰りたい気持ちが強かった少年は、全く気にしなかった。
力強く歩く少年の肩に揺られているヒヨコは、落とされないように足の爪を服に沈みこませて、前方を眺める。
「はぁ。なんで迷い込んだんだろうねぇ」
「ひよこさん。どうして喋れるの?」
「どうしてって……それは」
「そうだ! 友達になろうよ!」
「唐突だなぁ。友達ねぇ。……弱肉強食ではあり得ない発言に吃驚だ。ダメって言っても押し通しそうだから……良いってことにしといてあげる」
「じゃぁ、僕たち友達?」
「友達」
「やったー!!」
少年は喜んで両手を上に挙げたので、ヒヨコは落とされまいと爪を服に食いこませた。分厚い生地だったので少年は気づかない。
ヒヨコから非難を受けるまで、少年は万歳を繰り返した。
「はぁ、はぁ、振り落とされるかと思った」
ヒヨコは肩に爪を食いこませたまま、しゃがんで丸くなった。黄色い毛糸のような姿に少年は人差し指でそっとヒヨコの頭を撫でる。撫で終わると、気持ちよさそうに目を細めていたヒヨコが、ゆっくり瞼を開く。
「で? 君はどうやって帰るのさ、ここから」
「だからこの道を」
路地を出た。
出たところで少年は歩みを止めて固まる。
「……え? どこ? ここ」
出たのは大通りではなく、山の谷間の河原だった。
目指す家はいつの間にか木製の平屋に変化している。路地の隙間だった小道に砂利が増え、歩くたびに素直踏む音がしている。更にコンクリートだった壁に、レンガが混じり始めた。
景色が変化していくのを視界に入れているはずだが、早く帰りたい気持ちが強かった少年は、全く気にしなかった。
力強く歩く少年の肩に揺られているヒヨコは、落とされないように足の爪を服に沈みこませて、前方を眺める。
「はぁ。なんで迷い込んだんだろうねぇ」
「ひよこさん。どうして喋れるの?」
「どうしてって……それは」
「そうだ! 友達になろうよ!」
「唐突だなぁ。友達ねぇ。……弱肉強食ではあり得ない発言に吃驚だ。ダメって言っても押し通しそうだから……良いってことにしといてあげる」
「じゃぁ、僕たち友達?」
「友達」
「やったー!!」
少年は喜んで両手を上に挙げたので、ヒヨコは落とされまいと爪を服に食いこませた。分厚い生地だったので少年は気づかない。
ヒヨコから非難を受けるまで、少年は万歳を繰り返した。
「はぁ、はぁ、振り落とされるかと思った」
ヒヨコは肩に爪を食いこませたまま、しゃがんで丸くなった。黄色い毛糸のような姿に少年は人差し指でそっとヒヨコの頭を撫でる。撫で終わると、気持ちよさそうに目を細めていたヒヨコが、ゆっくり瞼を開く。
「で? 君はどうやって帰るのさ、ここから」
「だからこの道を」
路地を出た。
出たところで少年は歩みを止めて固まる。
「……え? どこ? ここ」
出たのは大通りではなく、山の谷間の河原だった。
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