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第一章/出席番号二十二番・中辻柊馬
(三)
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放課後、俊平に部活に遅れることを部長に伝えてほしいと頼んだら、聞き取れないくらいの「おー」を返された。今日一日ずっとこれだ。
今朝の件は思いの外、俺や本宮さんへの冷やかしよりも、俊平への風当たりが強かった。どうやらみんなも、俊平のいきすぎたお喋りにはハラハラしていたらしい。俊平なりに場を盛り上げようとしてくれたのはわかるけれど、これを機にもう少し考えてくれたら、とも思ってしまう。
図書室の扉を開ける。創立七十年を迎えたアカ高は、校舎のほとんどがリニューアルされているけれど、普段は使わない特別教室が集まったC棟の、一階端にある図書室は、年相応にくたびれていた。床も本棚も【貸出・返却】と書かれた札も、全て木製だ。唯一、数人の生徒が勉強している机と椅子だけがピカピカで、ここにも秩序を乱している存在がいるな、と笑ってしまう。
図書室に来るのは初めてだけれど、田舎のじいちゃんの家に来たような、不思議な懐かしさがある。時代に置いてけぼりにされてしまったもの悲しさと、人を簡単には寄せ付けない気高さが共存していて、孤高だ。これから時代がどれだけデジタル化していこうとも、図書室という存在は消えないのだろう。たとえば、十年後も。
辺りをきょろきょろしていると、運よくカウンターに知り合いを見つけた。といっても委員会を決める時に俺が一方的に名前を知っただけで、話しかけるのは初めてだ。
「巻島さん」
弾かれたように顔を上げた巻島さんは、読んでいた本を慌てて閉めた。『坊っちゃん』……夏目漱石だ。痛快で笑える、明るいストーリーだから読みやすいと、前に現代文の先生がすすめていた。
「な、中辻君……!?」
「あ、俺のこと知ってる? よかった」
巻島さんは何度も大きく頷いた。ボブと呼んでいいのかわからない、顎のラインで切り落とされた厚い黒髪が揺れる。心なしか、眼鏡の奥の瞳が潤んでいるような。
「今日は巻島さんが当番だったんだね。逢坂っている?」
「あ、逢坂君は毎日、書庫にいます……」
「そうなんだ。入ってもいいかな?」
「全然、いえっ、たぶん大丈夫です」
たぶん? 疑問が浮かんだけれど、おどおどと目を泳がせている彼女に、これ以上話しかけるのははばかられた。
「ありがとう。じゃあ、当番頑張ってね」
巻島さんはおでこがカウンターにつきそうなほど深くお辞儀を返した。かなりの人見知りのようだけれど、俺の名前も知っていてくれたし、悪い人ではなさそうだ。
書庫の扉をノックをする。返事はない。鍵はかかっていなかったので、おーさかーと呼びかけながら中に入る。湿気とは違う、むっとした空気に包まれた。本いきれとでもいうのだろうか。
スチールの安っぽい本棚は、西日を避けるように敷き詰められている。所蔵されているのはファイルやアルバムで、書庫というよりも資料庫といった印象だ。
「逢坂、読書中にごめん」
逢坂は部屋の隅で、あぐらをかいて本を読んでいた。今日もひどい猫背だ。目線が合うよう腰を下ろすと、逢坂はようやく顔を上げる。
「逢坂、今クラスでやってる日記って書いてる?」
「なんで」
「実はまだ日記を書いてない人がいるみたいでさ。ほら、逢坂はガラケーって言ってたから、うまく書けなかったのかもって思って」
反応はない。これは当たりということだろうか。
「もしそうなら、俺、使ってないタブレット端末があるから貸すよ。逢坂は本が好きなんだよね? なら文章もうまそうだし、俺、逢坂の日記読んでみたい」
逢坂は長い前髪の隙間から俺を見た。人をじっと見るのがクセなのだろうか。男同士で見つめ合う趣味はないので、俺は毎日ここにいるの? と立ち上がる。
「ポジションどこ?」
逢坂は俺のエナメルバッグを指差しながら言った。ようやく喋ってくれたかと思ったら、ずいぶんとぶつ切りな質問だ。
「一応、ボランチだよ」
一応とつけたのは、ともすると自慢のように思われるからだ。ボランチとはポルトガル語で『舵取り』を意味していて、一般的にはチームの大黒柱とされている。
「なるほど、納得した。さすがだな」
「あ、ありがとう……」
まさか褒められるとは。逢坂には嫌われているんじゃないかと思ったけれど、そうでもなかったらしい。
「書くよ、日記」
「マジで! ありがとう! タブレット使う?」
「いい」
「わかった。必要になったらいつでも言って。逢坂の日記、楽しみしてるよ!」
じゃあ、と手を振ったら、逢坂は左手をすっと上げた。巻島さんにももう一度声をかけて、図書室をあとにする。
人とは話してみないとわからないものだ。巻島さんは教室では目立たないけれど、真面目そうないい人だし、逢坂は口下手だけど、きちんと向き合えば話してくれる。
こうして二人のいいところを知ることができたのも、日記のおかげだ。この企画がきっかけを与えてくれていなければ、もしかしたら二人とは一度も話すことなく進級を迎えていたかもしれない。やっぱりこの企画はやって正解だったのだ。
その日の夜、ハンドルネーム『ルイ』の日記が初めて更新された。内容は『今日も幸せだった』の投げやりなひと言だったけれど、これはこれで逢坂らしいと思った。
意図せず逢坂のハンドルネームを知ってしまったけれど、これは俺の中だけに留めておこう。
「本宮さんの首の絆創膏、見たぁ? 前もあったよねぇ!」
五月も半ばに入ったある日、学食で食事をしていると、向かいの席から高い声で囁き合う女子たちの会話が聞こえてきた。
「トーマ、今の話聞いた? 絶対キスマークのことだよな!」
「んー、かもね」
俺は格別うまくもまずくもない、塩ラーメンを啜る。
一瞬、不仲になりかけた俊平との関係は、すっかり元通りだ。男子は寝て起きれば大抵のことはリセットされるので、いざこざは基本的に引きずらない。
「本宮さんなら援交しててもおかしくないよねぇ。あとキャバクラとか!」
「あるあるー! でもツイッターは鍵かかってて見られないんだよねぇ」
男子がさっぱりした塩なら、女子はとんこつだ。こういう余計な脂たっぷりの噂話をされていたら、そりゃあ本宮さんもクラスの輪に入れないよな。
本宮さんは、俺がクラス全員を誘って作ったメッセージグループにかろうじて入っているくらいで、神林さん以外の女子と話しているところは見たことがない。本人がああだから仕方ないのかもしれないけれど、やはり気がかりではある。
俺は窓に目線を逸らす。グラウンドでは来週にせまった体育祭に向けて、女子が大縄飛びの練習をしていた。噂話に花を咲かせる粘度の高い笑顔より、砂まみれのすすけた笑顔のほうが、俺は好きだ。
「トーマは余裕あっていいよなぁ。一年の女子マネもトーマ狙いっぽいし?」
「ないない。単純に話しやすいとか、そういうのだよ」
「いや、絶対好きだって! でもさー、うちの学校の女子って全体的にレベル低くね? 神林さんはかわいいし頭もいいけど、あのギャルと一緒にいるせいで評価下がっちゃうっつーか。なんで仲良くしてるんだろうなー」
俊平は女子の容姿について熱く語った。俊平の皿だけが一向に片付かず、付け合わせのサラダがパサパサになっていく。向かいの席の女子たちの目も痛いし、俊平の舌の根もそろそろ乾いてくれないかな、と思ったところで話題が変わった。
「そういやランキング三位の日記あるじゃん? 俺、あれの面白さが全然わかんないんだけど。トーマわかる?」
「あぁ、最初の投稿の冒頭文が『僕は僕じゃない人の話をします』ってやつ?」
「そうそう。あれを男が書いてるって思ったらキモくね? 鼻につく表現も多いしさ。特に昨日更新されたやつなんか、いい具合にイラッとするんだよなぁ。トーマ読んでないなら今読んでみろよ。俺の言ってることがよくわかるから!」
一瞬ためらった。けれどここで断るのは不自然だと判断して、スマホを取り出す。
俺の日記は今、七位前後をさまよっている。開始から一ヶ月が経ち、上位レースから脱落する人が出てくる中、俺は三日に一回の更新ペースを保ってきた。
このまま努力を続ければ、一位がとれる日がくるかもしれない。そう考えた俺は、俺より上位の日記は読まないようにしていた。せこいことをしている自覚はあるけれど、四十一人のコミュニティでは、たった一の閲覧数でも時に順位を左右することがあるのだ。
とはいえ、たまには敵陣の偵察も必要。そう言い聞かせて、俺がまだ一度も獲得したことのない、銅色で三位と書かれたタイトルをタップした。
◆五月二十一日『太陽は自らが日陰を作ることを知らない』
太陽はその身を燃やして、みなに光を与えている。光を持たない大半は、その才能に焦がれることだろう。
しかし中には、きのこや苔など、日陰を好むものもいる。じめじめとしたコンクリートの片隅で、捨て鉢の身を真っ黒に染めて、この世の不幸を嘆き散らす。彼らは正しさに抗うことで初めて、自分の存在価値を見出だせるのだ。
しかし太陽は、それを許さない。暗くて息苦しいところにいるのは良くない。こちら側へおいで。一緒に美しい世界を作ろう。
果たしてその理想は、誰のためのものだろうか。
◆ハンドルネーム/時野旅人
「なっ? 腹立つだろ?」
俊平はサラダをかき込むと、早く戻ろうぜと立ち上がった。
内容に腹が立つかと言われたら、腹は立たない。けれどこの日記が、三位? 率直な感想はそれだった。
この日記は風刺だ。世の中の不出来な人をターゲットにして、遠回しに批判している。『太陽』はおそらく、周りが見えていない独裁者の比喩表現だろう。
『僕は僕じゃない人の話をします』は単なる詩的な表現ではなく、本当に自分ではない、誰かの話をするということだったのだ。
どうしてこーちゃんは、この日記を削除しないのだろう。特定の誰かを誹謗中傷しているわけではないけれど、明らかに企画の趣旨を逸脱している。体育祭の準備にかこつけて、管理をサボっているのだろうか。時を見て聞いてみることにしよう。
それにしても、ハンドルネーム『時野旅人』。彼は相当なひねくれ者だ。一体、中の人は誰なんだろう。
体育祭当日は天気に恵まれ、五月とは思えない夏日になった。女子たちがぶーぶー言いながら日焼け止めを塗りたくる中、各団の団長が前に出て、選手宣誓をする。
『我々選手一同は、己と、仲間のために、最後まで諦めることなく、一戦、一時が最高の思い出となるよう、全力で挑戦することをここに誓います』
蒼天に突き上げられた右腕、風になびくハチマキ。眩しくて、目を細めずにはいられない。
俺は一年に引き続き、今年も応援団に入った。来年は団長になって、彼らのように堂々と、公明正大を宣言したい。
昼休憩を終えると、プログラムはいよいよ終盤に差し掛かる。ドリンクを飲み干してしまった俺は自動販売機に走った。最後の種目の団対抗リレーは、万全のコンディションで臨みたい。
「あれ、本宮さん?」
自動販売機横の石段に一人で座って、スマホをいじっている本宮さんを見つけた。この暑い中、なぜか上下ジャージを着ている。
「神林さんは?」
「いずみは体育委員だから」
なるほど、と理解する。最近は要点だけを言う彼女との会話にも慣れてきた。
「髪下ろしてて暑くないの?」
「暑くない。それに首、見られたくないから」
ガコン、とペットボトルが落ちる音が響く。なんの気なしに選んだ言葉がまさかの地雷だった。これは俺が噂を知っているかどうかのカマかけなのだろうか。
「あー……いろいろ噂されてるみたいで、大変だね」
「勝手に言わせておけばいいよ」
「嫌じゃないの?」
「だって事実だし」
あ、事実なんだ。
取り出したポカリは補充されて間もないのか、全然冷えていなかった。他の商品にすればよかったかな、と商品の並びを見てふと思い立ち、小銭を投入する。落ちてきたピンク色の缶を拾うと、予想通りこちらはきんと冷たかった。
「はい。いつぞやのお詫び」
本宮さんは顔をしかめつつも、缶に手を伸ばす。ジャージの袖からちょこんと顔を出している細い指が、俺の手の甲に一瞬触れた。
俺は逡巡して、彼女の一段下に腰を下ろす。上に座ったら、髪に隠れて見えない彼女の首元を見てしまいそうだった。
「なんでよりによって桃のネクターなの。この暑いのに」
「なんだ、やっぱり暑いんじゃん」
ほんの仕返しのつもりで揚げ足を取るけれど、返事はない。怒らせただろうか。振り返ると、本宮さんは赤い頬を缶で隠しながら、
「見るな、バカ」
と呟いた。
うわ、やばい。これをツンデレというのだろうか。ちょっとかわいいと思ってしまった俺は、慌ててポカリを流し込む。胃に落ちる液体はぬるくて、体温は下がってくれない。
遠くでわああ、と歓声が上がる。グラウンドは熱気で暑かったけれど、ここは蒸し暑さばかりで空気が沈んでいる。彼女はずっと一人で、ここにいるのだろうか。
「本宮さんもグラウンド行こうよ。せっかくのイベントだし、楽しまないと損だよ」
「あんたは運動得意そうだからいいけど、あたしは別に得意じゃないし。大して仲良くもない人たちと、こういうときだけ仲良しこよしするのも気持ち悪い」
「でも体育祭は楽しみにしてたんでしょ?」
「どこをどう見たらそうなるわけ」
「だって化粧、いつもよりかわいくしてるじゃん」
本宮さんは顔を引きつらせた。なんで……それ以上は聞こえなかった。
まったく崩れていない化粧はキラキラしていて、髪も手の込んだ編み込みがされている。時間をかけてやってきたのだろうとひと目でわかった。第一、本当に面倒なら学校を休めばいいだけの話だ。仲良しこよし発言も強がりだろう。
「俺、このあとリレー出るんだよね。応援してよ」
「どうして」
どうしてって。彼女をみんなの輪に引き込みたいがための建前だったけれど、馬鹿正直に伝えて応じてくれるとは思えない。
「えっと、本宮さんに応援してもらえたら、一位でバトンを繋げる気がするから?」
そう言ってポカリを流し込む。他に言葉が見つからなかったとはいえ、さすがに今のセリフはまずった、恥ずかしい。沈黙が苦しくてペコ、ペコ、とペットボトルを潰して間を持たせる。
「あんた、お節介ってよく言われるでしょ」
彼女は立ち上がり、グラウンドに向かって歩き出した。長い髪が風になびく。隙間から見えた首元には、二枚の絆創膏が貼られていた。
「もし一位でバトン繋げたら、これからは俺のこと名前で呼んでよ」
「は、なんで。その条件じゃあたしにメリットがない」
「そっか。じゃあ二位以下だったらガリガリ君奢るよ」
「ハーゲンダッツ」
さすがはブランド持ち。お高い女子だなぁと思いつつ了承すると。
「じゃ、あんたが一位にならないように応援してるわ」
本宮さんは八重歯を覗かせた。くそ、やられた。やっぱり女子には口では勝てない。
こうなったらぶっちぎりの一位でバトンを繋いで、意地でも名前を呼ばせてやる。トーマ、トーマ、トーマ……彼女の不機嫌な唇が俺の名前を呼ぶところを想像したら、なんだか恥ずかしくなってきた。この勝負、絶対に負けられない。
華々しいピストル音とともに始まった団対抗リレー。バトンを受け取った俺は、全力で疾走する。その結果は――二位。
カッコ悪い。カッコ悪すぎる。こんなことなら、せめて笑いが取れる四位になりたかった。頑張って届かなかった感じが、もろに順位に出てるじゃないか。
俺はタオルを頭から被り、グラウンドの隅でうなだれる。みんなは「四位から二位まで上げたじゃん!」「トーマの活躍で青団優勝だよ!」と褒めちぎってくれたけれど、俺個人が一位でなければ意味がない。
じゃり、と音がした。運動靴ではなくローファーのつま先が視界に映る。早速アイスをたかりに来たのだろう。観念して顔を上げた瞬間、額にひやっと冷たいものを押し付けられた。
「冷たッ! なに……」
「あたし喉乾いてないから、これ返す」
そう言って無理やり持たされたのは、桃のネクターの缶だった。
「返す、って。さっきあげたやつが、まだこんなに冷たいわけ――」
「うるさいっ、黙って飲め!」
本宮さんはきびすを返す。
「ハーゲンダッツ忘れないでよ、中辻トーマ」
まもなく閉会式です、というアナウンスを無視して、本宮さんはグラウンドを後にした。
俺は缶を開けて、振りあおぐ。びっくりするほど甘い。ねっとりした膜が喉に貼り付いて、それを流そうとさらにあおぐ。急激に胃が冷えて身震いするけれど、やっぱり体温は下がってくれない。
「フルネームは、ないだろ」
俺がそう言えば、二位だったやつがなに贅沢言ってんの、と返してくるに違いない。想像できすぎて、俺は人目もはばからずに吹き出した。
確信した。彼女は援交もキャバクラも、絶対にやっていない。確かに口も態度も悪いし、首にはキスマークをたくさん付けてくるような子だけれど、わざわざ自動販売機に行って、俺のために冷えた缶を買ってきてくれる子だ。
俊平がおーい、と駆け寄ってくる。俺はもう一度缶をあおいで飲み干した。
「閉会式行こうぜ……って、この暑いのに桃のネクター? トーマ趣味悪いぞ!」
「飲んでみると結構うまいんだよ」
明日、本宮さんに好きなアイスの味を聞いてみよう。俺はまだ冷たさの残る缶を握りしめて、閉会式に向かった。
今朝の件は思いの外、俺や本宮さんへの冷やかしよりも、俊平への風当たりが強かった。どうやらみんなも、俊平のいきすぎたお喋りにはハラハラしていたらしい。俊平なりに場を盛り上げようとしてくれたのはわかるけれど、これを機にもう少し考えてくれたら、とも思ってしまう。
図書室の扉を開ける。創立七十年を迎えたアカ高は、校舎のほとんどがリニューアルされているけれど、普段は使わない特別教室が集まったC棟の、一階端にある図書室は、年相応にくたびれていた。床も本棚も【貸出・返却】と書かれた札も、全て木製だ。唯一、数人の生徒が勉強している机と椅子だけがピカピカで、ここにも秩序を乱している存在がいるな、と笑ってしまう。
図書室に来るのは初めてだけれど、田舎のじいちゃんの家に来たような、不思議な懐かしさがある。時代に置いてけぼりにされてしまったもの悲しさと、人を簡単には寄せ付けない気高さが共存していて、孤高だ。これから時代がどれだけデジタル化していこうとも、図書室という存在は消えないのだろう。たとえば、十年後も。
辺りをきょろきょろしていると、運よくカウンターに知り合いを見つけた。といっても委員会を決める時に俺が一方的に名前を知っただけで、話しかけるのは初めてだ。
「巻島さん」
弾かれたように顔を上げた巻島さんは、読んでいた本を慌てて閉めた。『坊っちゃん』……夏目漱石だ。痛快で笑える、明るいストーリーだから読みやすいと、前に現代文の先生がすすめていた。
「な、中辻君……!?」
「あ、俺のこと知ってる? よかった」
巻島さんは何度も大きく頷いた。ボブと呼んでいいのかわからない、顎のラインで切り落とされた厚い黒髪が揺れる。心なしか、眼鏡の奥の瞳が潤んでいるような。
「今日は巻島さんが当番だったんだね。逢坂っている?」
「あ、逢坂君は毎日、書庫にいます……」
「そうなんだ。入ってもいいかな?」
「全然、いえっ、たぶん大丈夫です」
たぶん? 疑問が浮かんだけれど、おどおどと目を泳がせている彼女に、これ以上話しかけるのははばかられた。
「ありがとう。じゃあ、当番頑張ってね」
巻島さんはおでこがカウンターにつきそうなほど深くお辞儀を返した。かなりの人見知りのようだけれど、俺の名前も知っていてくれたし、悪い人ではなさそうだ。
書庫の扉をノックをする。返事はない。鍵はかかっていなかったので、おーさかーと呼びかけながら中に入る。湿気とは違う、むっとした空気に包まれた。本いきれとでもいうのだろうか。
スチールの安っぽい本棚は、西日を避けるように敷き詰められている。所蔵されているのはファイルやアルバムで、書庫というよりも資料庫といった印象だ。
「逢坂、読書中にごめん」
逢坂は部屋の隅で、あぐらをかいて本を読んでいた。今日もひどい猫背だ。目線が合うよう腰を下ろすと、逢坂はようやく顔を上げる。
「逢坂、今クラスでやってる日記って書いてる?」
「なんで」
「実はまだ日記を書いてない人がいるみたいでさ。ほら、逢坂はガラケーって言ってたから、うまく書けなかったのかもって思って」
反応はない。これは当たりということだろうか。
「もしそうなら、俺、使ってないタブレット端末があるから貸すよ。逢坂は本が好きなんだよね? なら文章もうまそうだし、俺、逢坂の日記読んでみたい」
逢坂は長い前髪の隙間から俺を見た。人をじっと見るのがクセなのだろうか。男同士で見つめ合う趣味はないので、俺は毎日ここにいるの? と立ち上がる。
「ポジションどこ?」
逢坂は俺のエナメルバッグを指差しながら言った。ようやく喋ってくれたかと思ったら、ずいぶんとぶつ切りな質問だ。
「一応、ボランチだよ」
一応とつけたのは、ともすると自慢のように思われるからだ。ボランチとはポルトガル語で『舵取り』を意味していて、一般的にはチームの大黒柱とされている。
「なるほど、納得した。さすがだな」
「あ、ありがとう……」
まさか褒められるとは。逢坂には嫌われているんじゃないかと思ったけれど、そうでもなかったらしい。
「書くよ、日記」
「マジで! ありがとう! タブレット使う?」
「いい」
「わかった。必要になったらいつでも言って。逢坂の日記、楽しみしてるよ!」
じゃあ、と手を振ったら、逢坂は左手をすっと上げた。巻島さんにももう一度声をかけて、図書室をあとにする。
人とは話してみないとわからないものだ。巻島さんは教室では目立たないけれど、真面目そうないい人だし、逢坂は口下手だけど、きちんと向き合えば話してくれる。
こうして二人のいいところを知ることができたのも、日記のおかげだ。この企画がきっかけを与えてくれていなければ、もしかしたら二人とは一度も話すことなく進級を迎えていたかもしれない。やっぱりこの企画はやって正解だったのだ。
その日の夜、ハンドルネーム『ルイ』の日記が初めて更新された。内容は『今日も幸せだった』の投げやりなひと言だったけれど、これはこれで逢坂らしいと思った。
意図せず逢坂のハンドルネームを知ってしまったけれど、これは俺の中だけに留めておこう。
「本宮さんの首の絆創膏、見たぁ? 前もあったよねぇ!」
五月も半ばに入ったある日、学食で食事をしていると、向かいの席から高い声で囁き合う女子たちの会話が聞こえてきた。
「トーマ、今の話聞いた? 絶対キスマークのことだよな!」
「んー、かもね」
俺は格別うまくもまずくもない、塩ラーメンを啜る。
一瞬、不仲になりかけた俊平との関係は、すっかり元通りだ。男子は寝て起きれば大抵のことはリセットされるので、いざこざは基本的に引きずらない。
「本宮さんなら援交しててもおかしくないよねぇ。あとキャバクラとか!」
「あるあるー! でもツイッターは鍵かかってて見られないんだよねぇ」
男子がさっぱりした塩なら、女子はとんこつだ。こういう余計な脂たっぷりの噂話をされていたら、そりゃあ本宮さんもクラスの輪に入れないよな。
本宮さんは、俺がクラス全員を誘って作ったメッセージグループにかろうじて入っているくらいで、神林さん以外の女子と話しているところは見たことがない。本人がああだから仕方ないのかもしれないけれど、やはり気がかりではある。
俺は窓に目線を逸らす。グラウンドでは来週にせまった体育祭に向けて、女子が大縄飛びの練習をしていた。噂話に花を咲かせる粘度の高い笑顔より、砂まみれのすすけた笑顔のほうが、俺は好きだ。
「トーマは余裕あっていいよなぁ。一年の女子マネもトーマ狙いっぽいし?」
「ないない。単純に話しやすいとか、そういうのだよ」
「いや、絶対好きだって! でもさー、うちの学校の女子って全体的にレベル低くね? 神林さんはかわいいし頭もいいけど、あのギャルと一緒にいるせいで評価下がっちゃうっつーか。なんで仲良くしてるんだろうなー」
俊平は女子の容姿について熱く語った。俊平の皿だけが一向に片付かず、付け合わせのサラダがパサパサになっていく。向かいの席の女子たちの目も痛いし、俊平の舌の根もそろそろ乾いてくれないかな、と思ったところで話題が変わった。
「そういやランキング三位の日記あるじゃん? 俺、あれの面白さが全然わかんないんだけど。トーマわかる?」
「あぁ、最初の投稿の冒頭文が『僕は僕じゃない人の話をします』ってやつ?」
「そうそう。あれを男が書いてるって思ったらキモくね? 鼻につく表現も多いしさ。特に昨日更新されたやつなんか、いい具合にイラッとするんだよなぁ。トーマ読んでないなら今読んでみろよ。俺の言ってることがよくわかるから!」
一瞬ためらった。けれどここで断るのは不自然だと判断して、スマホを取り出す。
俺の日記は今、七位前後をさまよっている。開始から一ヶ月が経ち、上位レースから脱落する人が出てくる中、俺は三日に一回の更新ペースを保ってきた。
このまま努力を続ければ、一位がとれる日がくるかもしれない。そう考えた俺は、俺より上位の日記は読まないようにしていた。せこいことをしている自覚はあるけれど、四十一人のコミュニティでは、たった一の閲覧数でも時に順位を左右することがあるのだ。
とはいえ、たまには敵陣の偵察も必要。そう言い聞かせて、俺がまだ一度も獲得したことのない、銅色で三位と書かれたタイトルをタップした。
◆五月二十一日『太陽は自らが日陰を作ることを知らない』
太陽はその身を燃やして、みなに光を与えている。光を持たない大半は、その才能に焦がれることだろう。
しかし中には、きのこや苔など、日陰を好むものもいる。じめじめとしたコンクリートの片隅で、捨て鉢の身を真っ黒に染めて、この世の不幸を嘆き散らす。彼らは正しさに抗うことで初めて、自分の存在価値を見出だせるのだ。
しかし太陽は、それを許さない。暗くて息苦しいところにいるのは良くない。こちら側へおいで。一緒に美しい世界を作ろう。
果たしてその理想は、誰のためのものだろうか。
◆ハンドルネーム/時野旅人
「なっ? 腹立つだろ?」
俊平はサラダをかき込むと、早く戻ろうぜと立ち上がった。
内容に腹が立つかと言われたら、腹は立たない。けれどこの日記が、三位? 率直な感想はそれだった。
この日記は風刺だ。世の中の不出来な人をターゲットにして、遠回しに批判している。『太陽』はおそらく、周りが見えていない独裁者の比喩表現だろう。
『僕は僕じゃない人の話をします』は単なる詩的な表現ではなく、本当に自分ではない、誰かの話をするということだったのだ。
どうしてこーちゃんは、この日記を削除しないのだろう。特定の誰かを誹謗中傷しているわけではないけれど、明らかに企画の趣旨を逸脱している。体育祭の準備にかこつけて、管理をサボっているのだろうか。時を見て聞いてみることにしよう。
それにしても、ハンドルネーム『時野旅人』。彼は相当なひねくれ者だ。一体、中の人は誰なんだろう。
体育祭当日は天気に恵まれ、五月とは思えない夏日になった。女子たちがぶーぶー言いながら日焼け止めを塗りたくる中、各団の団長が前に出て、選手宣誓をする。
『我々選手一同は、己と、仲間のために、最後まで諦めることなく、一戦、一時が最高の思い出となるよう、全力で挑戦することをここに誓います』
蒼天に突き上げられた右腕、風になびくハチマキ。眩しくて、目を細めずにはいられない。
俺は一年に引き続き、今年も応援団に入った。来年は団長になって、彼らのように堂々と、公明正大を宣言したい。
昼休憩を終えると、プログラムはいよいよ終盤に差し掛かる。ドリンクを飲み干してしまった俺は自動販売機に走った。最後の種目の団対抗リレーは、万全のコンディションで臨みたい。
「あれ、本宮さん?」
自動販売機横の石段に一人で座って、スマホをいじっている本宮さんを見つけた。この暑い中、なぜか上下ジャージを着ている。
「神林さんは?」
「いずみは体育委員だから」
なるほど、と理解する。最近は要点だけを言う彼女との会話にも慣れてきた。
「髪下ろしてて暑くないの?」
「暑くない。それに首、見られたくないから」
ガコン、とペットボトルが落ちる音が響く。なんの気なしに選んだ言葉がまさかの地雷だった。これは俺が噂を知っているかどうかのカマかけなのだろうか。
「あー……いろいろ噂されてるみたいで、大変だね」
「勝手に言わせておけばいいよ」
「嫌じゃないの?」
「だって事実だし」
あ、事実なんだ。
取り出したポカリは補充されて間もないのか、全然冷えていなかった。他の商品にすればよかったかな、と商品の並びを見てふと思い立ち、小銭を投入する。落ちてきたピンク色の缶を拾うと、予想通りこちらはきんと冷たかった。
「はい。いつぞやのお詫び」
本宮さんは顔をしかめつつも、缶に手を伸ばす。ジャージの袖からちょこんと顔を出している細い指が、俺の手の甲に一瞬触れた。
俺は逡巡して、彼女の一段下に腰を下ろす。上に座ったら、髪に隠れて見えない彼女の首元を見てしまいそうだった。
「なんでよりによって桃のネクターなの。この暑いのに」
「なんだ、やっぱり暑いんじゃん」
ほんの仕返しのつもりで揚げ足を取るけれど、返事はない。怒らせただろうか。振り返ると、本宮さんは赤い頬を缶で隠しながら、
「見るな、バカ」
と呟いた。
うわ、やばい。これをツンデレというのだろうか。ちょっとかわいいと思ってしまった俺は、慌ててポカリを流し込む。胃に落ちる液体はぬるくて、体温は下がってくれない。
遠くでわああ、と歓声が上がる。グラウンドは熱気で暑かったけれど、ここは蒸し暑さばかりで空気が沈んでいる。彼女はずっと一人で、ここにいるのだろうか。
「本宮さんもグラウンド行こうよ。せっかくのイベントだし、楽しまないと損だよ」
「あんたは運動得意そうだからいいけど、あたしは別に得意じゃないし。大して仲良くもない人たちと、こういうときだけ仲良しこよしするのも気持ち悪い」
「でも体育祭は楽しみにしてたんでしょ?」
「どこをどう見たらそうなるわけ」
「だって化粧、いつもよりかわいくしてるじゃん」
本宮さんは顔を引きつらせた。なんで……それ以上は聞こえなかった。
まったく崩れていない化粧はキラキラしていて、髪も手の込んだ編み込みがされている。時間をかけてやってきたのだろうとひと目でわかった。第一、本当に面倒なら学校を休めばいいだけの話だ。仲良しこよし発言も強がりだろう。
「俺、このあとリレー出るんだよね。応援してよ」
「どうして」
どうしてって。彼女をみんなの輪に引き込みたいがための建前だったけれど、馬鹿正直に伝えて応じてくれるとは思えない。
「えっと、本宮さんに応援してもらえたら、一位でバトンを繋げる気がするから?」
そう言ってポカリを流し込む。他に言葉が見つからなかったとはいえ、さすがに今のセリフはまずった、恥ずかしい。沈黙が苦しくてペコ、ペコ、とペットボトルを潰して間を持たせる。
「あんた、お節介ってよく言われるでしょ」
彼女は立ち上がり、グラウンドに向かって歩き出した。長い髪が風になびく。隙間から見えた首元には、二枚の絆創膏が貼られていた。
「もし一位でバトン繋げたら、これからは俺のこと名前で呼んでよ」
「は、なんで。その条件じゃあたしにメリットがない」
「そっか。じゃあ二位以下だったらガリガリ君奢るよ」
「ハーゲンダッツ」
さすがはブランド持ち。お高い女子だなぁと思いつつ了承すると。
「じゃ、あんたが一位にならないように応援してるわ」
本宮さんは八重歯を覗かせた。くそ、やられた。やっぱり女子には口では勝てない。
こうなったらぶっちぎりの一位でバトンを繋いで、意地でも名前を呼ばせてやる。トーマ、トーマ、トーマ……彼女の不機嫌な唇が俺の名前を呼ぶところを想像したら、なんだか恥ずかしくなってきた。この勝負、絶対に負けられない。
華々しいピストル音とともに始まった団対抗リレー。バトンを受け取った俺は、全力で疾走する。その結果は――二位。
カッコ悪い。カッコ悪すぎる。こんなことなら、せめて笑いが取れる四位になりたかった。頑張って届かなかった感じが、もろに順位に出てるじゃないか。
俺はタオルを頭から被り、グラウンドの隅でうなだれる。みんなは「四位から二位まで上げたじゃん!」「トーマの活躍で青団優勝だよ!」と褒めちぎってくれたけれど、俺個人が一位でなければ意味がない。
じゃり、と音がした。運動靴ではなくローファーのつま先が視界に映る。早速アイスをたかりに来たのだろう。観念して顔を上げた瞬間、額にひやっと冷たいものを押し付けられた。
「冷たッ! なに……」
「あたし喉乾いてないから、これ返す」
そう言って無理やり持たされたのは、桃のネクターの缶だった。
「返す、って。さっきあげたやつが、まだこんなに冷たいわけ――」
「うるさいっ、黙って飲め!」
本宮さんはきびすを返す。
「ハーゲンダッツ忘れないでよ、中辻トーマ」
まもなく閉会式です、というアナウンスを無視して、本宮さんはグラウンドを後にした。
俺は缶を開けて、振りあおぐ。びっくりするほど甘い。ねっとりした膜が喉に貼り付いて、それを流そうとさらにあおぐ。急激に胃が冷えて身震いするけれど、やっぱり体温は下がってくれない。
「フルネームは、ないだろ」
俺がそう言えば、二位だったやつがなに贅沢言ってんの、と返してくるに違いない。想像できすぎて、俺は人目もはばからずに吹き出した。
確信した。彼女は援交もキャバクラも、絶対にやっていない。確かに口も態度も悪いし、首にはキスマークをたくさん付けてくるような子だけれど、わざわざ自動販売機に行って、俺のために冷えた缶を買ってきてくれる子だ。
俊平がおーい、と駆け寄ってくる。俺はもう一度缶をあおいで飲み干した。
「閉会式行こうぜ……って、この暑いのに桃のネクター? トーマ趣味悪いぞ!」
「飲んでみると結構うまいんだよ」
明日、本宮さんに好きなアイスの味を聞いてみよう。俺はまだ冷たさの残る缶を握りしめて、閉会式に向かった。
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