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俺のパンツが跳んだ
②
しおりを挟むいいのか悪いのか。
パンツ空中交錯事件リターンの翌日から、テスト期間に入って、授業はほぼ睡眠タイムの俺と小山は、勉強に追われつづけ、顔を合わせられなかった。
ようやく機会が訪れたのは、テスト明け、部活が再開の日。すこし肩肘を張りつつ、居残り練習をする小山の元に赴き、さりげないよう「テストどうだった?」と聞いた。
溺れていて、水面から跳びだし、一息ついていた進撃のパンツこと、小山は舌をだして肩をすくめてみせた。
テストのできは、俺と同じく無念だったようだが、おちゃらけているあたり、屁とも思っていないようだ。
パンツ空中交錯事件リターンについても、わだかまりはなさそうだし、半月前とあって、忘れているのかもしれない。
「あのとき、どうしてパンツが跳んだのか」と聞かれることもなく、ほっとして、プールサイドにしゃがみこむ。
飽きずに、溺れるのを、これまた飽きずに眺めながら、合間合間にお互い不得手な、テストや勉強について、けちをつけたり、愚痴を吐きあったりした。
いつもの心休まる、居残り練習の光景に戻ったものと安堵しきって、そのうちトイレに立った。
の、だが。
トイレから戻ると、大元のプールの水が抜かれ、掃除当番の部員が底に下りて、モップがけをはじめていた。
俺たちもそろそろと、調整用のプールを見やれば、小山が水に浸かりながら、プールサイドに上半身を突っ伏して、遠目には意識を失っているように見えたもので。
慌てて走っていき「おい、小山」としゃがんで、肩を揺らすも、うんともすんともなく、身じろぎもしない。
進撃のカナヅチでもある小山は、でも、息を止められる時間は化物級で、酸欠で倒れたことはない。
ので、尚のこと、心配になり、プール掃除中の部員に声をかけようとした。
そのとき。
腕をつかまれ、プールに引きずりこまれた。
そりゃあ、にわかな進撃のカナヅチの覚醒に、度肝を抜かれて、引っ張られるまま、水中に落ちたが、ほぼ水圧を覚えない俺の体は、すぐに浮き上がる。
とはいえ、相手は進撃のカナヅチだ。
背中にボンドでも塗りたくったかのように、頑固に底に張りついて、びくともせず、俺の腕を放しもしない。
腕を掴まれたまま、水面から顔を上げられそうで、上げられず、もがいて、早々、息を切らした。
そう、なにもかも、小山とは対照的な俺は、息を止められる時間は短いほうなのだ。
意識が朦朧として、もがく意気もなくなってきたころ、腕を放さないままながらに、勢いよく小山が水面から跳びだし、ついでに引き上げてくれた。
プールサイドにもたれて、酸素を貪り吸うことしばし、呼吸が整ってから、改めて、抗議の声をあげようとしたら、肉厚な巨体が迫って、押しつぶされた。
片手で抱きしめ、プールサイドにもう片手をついて、圧迫してくる。
水中では足の間に膝を入れられて、太ももで股間を擦ってくるようで。「おまっ・・・」とできるだけ首を伸ばし、怒鳴ろうとしたら、口づけされた。
前にも口づけされたが、この巨体ありの、牛タンよろしく肉厚な舌とあって、口内をぱんぱんにされ、窒息しそうになった覚えがある。
水中でもがいた後に、牛タンベロチューは勘弁願いたいところ、一応、気遣ってか、舌を突っこんでこないで、口づけしては放れてを繰り返し、頬や顎に滴る水を舐めてばかりいた。
死んだふりをして罠にかけたようで、そのくせ、無理強いをしてこないのに、肩の力が抜けたとはいえ、強く太ももで股間を擦られ、はっとする。
肉厚な巨体の向こうには、プール掃除をする部員たちがいる。
進撃のカナヅチに覆いかぶさられている、つるぺたチビな俺は、向こうから見えないだろうが、掃除してはしゃぐ声が耳につく状況にあって、しかも水着姿で、神聖なプールで、いちゃいちゃしているわけにいかない。
「やめっ」と声を上げたくても、股間が擦りあげられて、喘ぎそうになる。
プールサイドと肉厚な巨体に挟まれた体にしろ、ろくに動かせず、しかたないと、口づけしてくるのに、噛みつこうとした。
が、察した進撃のカナヅチは、直前で顔をずらし、頬に口づけた。頬から耳へと移動し、耳たぶを食みながら、股間を擦りあげてきて、不覚にも「っう・・・!」と熱っぽい息を漏らし、すぐに奥歯を噛みしめる。
耳が弱点なのか。自覚はなかったが、しゃぶられ、穴に舌を突っこまれて、火照った体、とくに腰を揺らしそうになった。
喘がないよう、唇を噛み、固い太ももに自ら、擦りつけたくなるのを堪えたら堪えたで、変に体が敏感になって、肌を伝う水にも震えてしまう。
耳をしゃぶられる水音と、プールの水音が混ざって、鼓膜をくすぐってくるし、固い巨乳が、つるぺたな胸に擦れるのが、熱く疼くようだし、水の波に胸の突起を弄ばれるようだし。
ほぼ水圧を覚えない体質をしているとはいえ、精神状態によって左右されることがあり、今は逆に過敏になって、水のうねりに体が犯されているような感覚に陥っている。
透明な手でやんわりと、尻を揉まれて、太ももを撫でられ、脛をなぞられて、足の指を舐められて、その上で、鋼のような太ももで股間をごりごりされては、お手上げた。
「このままでは、プールで粗相を」と抵抗感を覚えつつも、噛んだ唇から涎を垂らしっぱなしにして、熱い頬に涙を滴らせた。
もう限界で、甲高く鳴きそうになったところ、舌が退き、ほっとしたような、焦れるようなで、瞼を上げて見たら。
進撃のカナヅチがパンツを被っていた。
とたんに、頬を打たれたように、我に返った俺は、水の浮力を利用して跳びあがって、競泳用のキャップごとパンツをむしり取った。
絶叫したかったものを、プール掃除している部員に聞かれて、集まってこられても困るので、キャップとパンツを握りしめ、頭上を睨みつける。
悪びれがなさそうなのはもちろん、威圧するように、冷ややかに見下ろしてくるのに、「だから、怒りたいのはこっちだ」と思いつつ、どこか釈然ともした。
やっぱり、パンツ空中交錯事件リターンで怒っていたのかと。
それにしたって、何に対しての怒りなのかは分からず、パンツを握りしめたまま、への字の口が開くのを待った。
長い鼻息が吹かれてから、やっと口を切ったことには「俺のパンツは俺のものだ」と。
「お前のパンツも、俺のものだ」
まさかのジャイアニズムを突きつけられ、気が遠くなりかけた俺をよそに、笑いもせず、照れもせず、小山はしかめつらしい。
その態度がますますもって「ふざけんな!」と横っ面を張りたくなるようだが、食い入るように見つめてくるのに、目を逸らせずに、生唾を飲みこんだ。
水泳部エースで日本代表候補のパンツを、水神様に呪われているようなカナヅチが独占したがるとは、おこがましいにも、ほどがあるとはいえ、そんな水神様も真っ青な傲岸不遜さが嫌いでないし、なんなら、好ましい。
要は、惚れたら負けなわけで、「分かったよ」とため息を吐くにとどめ、肩を落とした。
言葉を返す代わりのように、また抱きしめられる。
先のように、固い巨乳を押し付けてこず、谷間に顔を埋めさせるように、俺を寄りかからせ、あまり圧迫してこない。
俺の背中に回す腕が震えているように思えるのは、気のせいなのだろうか。
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