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十五

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「いや、当たり前でしょう。
いつもはクールで体格のいいイケメンが、ぴちぴちのセーラー服着て、あんな頬染めて内股になって、涙目でおろおろして、このギャップにやられない男いないでしょ」

「な」という間もなく「男がイチコロになるようなギャップを作ったのは、お前じゃないか」とぐうの音もでなくさせられ「自業自得だ」ととどめまで刺される。

まさか、義男から事情を聞いたのか。
同じ小学校出身で、昔の義男を知っているから、俺の入れ知恵だと察したのか。

とも考えたが、顔を見ても、覚えがない男だ。

同じ小学校出身者ならまだしも、義男と付き合いが浅いだろう奴に、偉そうな口を叩かれたくはなく、「俺は義男を守るために・・・!」と唾をとばしたが、「違うね」と取り付く島もないように返される。

「独占欲からだ。
義男は気弱そうに見えて、お前にそこまで依存していないし、根性が据わっている。

お前の指南がなくても、学校でうまくやっていたさ。
そうじゃないって言いきれるか?」

「独占欲」はともかく、義男の見方に異論はなく、返す言葉がない。

ただ、力で敵わない以上、口で負けるわけにいかず、「義男がいくら根性があっても、頭のおかしな奴の毒牙にかかることもある!」と噛みつけば、「たしかに」と肯きながらも、白けた目で見下ろしてきた。

「世の中にはいろんな奴がいる。
だが、質の悪い人間ばかりじゃない。

お前のように、義男を守ってやると、お節介を焼きたがる奴もいるだろうよ。

義男には、人にそう思わせる可愛げがあるのを、お前が誰より分かっているだろ?

だったら、義男を守りたいなら、そいつに任せればいい。

それが嫌っていうなら、結局、お自分以外に義男を加護させたくないんじゃないか?
そいつが自分にとって代わるのも、義男がそいつに、なびくのも怖いん・・・」

「違う!」と床に向かい、叫んだ。

否定をしたかったのではなく、遮ったのは明らかで「だったら、なんで、セーラー服を着させるのを拒む?」と頭上の声が、追い打ちをかける。

「それこそ、周りの男が放っておかないと、不安だったからじゃないのか?」

「違う!義男のセーラー服姿を見たくなかったからだ。
想像したくなかったからだ!」

「なんで?」

義男に、セーラー服を着させたくない理由は自明のはずが、声を詰まらせてしまう。

父親がセーラー服を着ているから。

性の成熟の過程を歪めたくないから。

死ぬまで加護者として義男の傍にいたいから。

いくらでも、「なんで」の答えは浮かんでくるものを、餅が喉につっかえたように、言葉どころか、息も吐きだせない。

屈服したように、床に手をつき、頭を垂れているのを、相手は情けないとばかりに「お前さあ」とため息を吐いた。

「いくら義男が、お前のこじらせた感情を、理解してくれているといったって、甘えすぎなんじゃないか?

生まれたときから、付き合いのある幼馴染に『セーラー服姿を見たくない、想像もしたくない』って喚かれたら、傷つかないわけないだろ」

頭を石でがつんと、殴られたように、くらりとした。

悔しいながら、その戒めはごもっともで、「義男・・・!」とやおら顔を上げたら、「せ、ん、ぱい・・・!」と鳴くのが、耳を打った。

肩越しに覗ける義男は、肌を赤く染め上げ、涙と涎を流しっぱなしにし、先より悩ましげに身悶えて、腰を揺らしている。

着崩れはしてなく、相変わらず、ピンポイントで見えないものを、男らが昂るままに、布の下の蠢きを盛んにしている。

ひたすら胸をまさぐり、スカート内をしゃぶって、義男がどんどん抗えなくなって、気を抜いた一瞬をついて、攻勢にでたのだろう。

「あ、ああ、だめ、それ、んあ、あ、だけは、ああ!」と箍を外された義男に、もうなす術なく、強いられる快感に痺れるまま、赤く染まった太ももをひくつかせ、涎を垂れ流しに、喘ぎを駄々洩れにして、熱く濡れた息を切らした。

「ヒロ、ちゃ、あ、ああ、ご、め、や、ああ、こ、ん、なあ、あ、あ、あん・・・!」

こちらの視線に気づいて、細めた涙目を向けたのもつかの間、顔を振りながら、一段と善がって喘ぐ。
胸を反らし、腰を突きだすような形になって、太ももの筋肉を力ませているからに、達するまで近いのだろう。

快感に貫かれるように、あんあん腰を跳ねつつ、「や、ああ、やだ、あ、ん、や、やあん」とやだやだと、涙を散らすさまは、これまたギャップがあって、そそられるらしい。

囲う男らは、顔色を変えずに突っ立っているものを、時折、腰を揺らし、義男の顔辺りにある、そそり立つのを痙攣させている。

「義男に、そんな汚らしいものを近づけるな!」と抗議したいところ、俺にしろ、それどころではなかった。

いよいよ絶頂を迎えそうになってか、「ヒロ、ちゃ、あ、あ、ご、め、あん、ん、んああ」と大粒の涙をこぼす義男を「お前のせいじゃない」といつものように、宥めてあげられなかった。

義男の顔の間近に、汚らわしいのを向ける男らと変わらず、触れられてなければ、触れてもいない俺のそれも、臨戦態勢になっていたものだから。




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