あの秘書、とうとう社長と濃厚接触したらしいよ

男子高生が人前で恥ずかしげもなく猥談をするんじゃありません！

俺が担任教師を務めるクラスに目立つ二人がいる。

白井と黒田だ。
入学してから意気投合した、かけがえのないゲーム仲間らしい。

ゲームを通して心を開いた二人だけに、これまたゲームでの喧嘩が絶えず。
まわりを度外視に声量を抑えず、お互いを責めまくり。

「やめろって！そんなに深くはだめだ！抑えが利かなくなる！」

「なーにかわい子ぶってんだよ！ほんとうは深いところで激しく揺らされるのが好きなくせに！」

「かわい子ぶって、なんか、ああ、ばかあ！だめ、変になっちゃう！
くう、やめろって、この自分勝手な乱暴者！」

「はは！いいね！おまえがいやいやって焦るほど、燃えるんだよな！
ほら、ここはどうだ？もっと突いてかき回してやろうか!ほれ！ほれ！」

「この、くそ、最低だな・・・！あ、ばかばかあ!
もお、そんな深くう、おかしくなっちゃうだろお！掘るのにしか目がない脳筋が！」

「ほんとうは奥までいっぱいにしてほしいくせに、つれないふりして、いい加減、おまえウザいんだよ！」

ホームルームをするのに早めにきたら「俺の渾身の一撃を食らえ！」「あああ！ばか、やだあ、壊れちゃう！」とこの騒ぎだ。

二人の破廉恥な言葉の応酬にまわりは顔を赤くするやら青くするやらで、とにかく気まずそう。

「おまえら、言葉を選べ」と諭したところで、二人ともきょとんとするに悪気も自覚もないようで困ったもの。

ちなみに二人がプレイしているのは資源を採掘するゲームなのだとか。
黒田がメインの掘削の機械を動かし、白井がサポート。

だとすれば、会話の内容もまあ、解読できなくもないが。

ホームルームの間、休戦したとはいえ、ゲーム命の二人なので、そのあと口を利かず。
教室に平穏がもどったのもつかの間、翌日「あの、その、昨日のだいじょうぶだったか？」と黒田が切りだして。

「おまえとやっていると嬉しいあまりに理性がとんで、強引にぶっこんでしまうんだよ。
ぶっちゃけ、おまえが涙目でおろそろするの見ると、なんだか、イジメたくなって、ついめちゃくちゃに・・・。

おまだけだよ、俺が掘りたいと思うのは。
つい甘えて乱暴にするの許してくれよ」

「イジメたいって、もお、ばか・・・。
俺もいいすぎたし、正直、もっともっと深くきてほしいって求めていて。

でも、臆病だから怯んでしまうの、おまえが有無をいわさず突入してくれるから、その、助かっているというか、俺も嬉しいというか・・・」

「その、ほんとうにいやじゃないから」「そ、それならよかったが・・・」と二人でもじもじするのに、まわりは大量の砂を吐いて、げんなり。

朝礼に早めに顔をだした俺はため息をし「だから言葉を慎め」と声をかけるも、やはり、ぴんときていないよう。

「そのうち公然わいせつ罪で捕まるぞ」と忠告すれば「は？俺らの会話でなに想像してんだ変態教師」「先生、このゲーム全年齢対象ですよ」と可愛げない。

まだ新学期がはじまったばかり。
自覚のない二人の猥談でクラスも俺も振りまわされる一年になりそうだ。