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倒錯手紙墜落・高井
七
しおりを挟む「死ねなかったのは、あんたのせいだ」
八つ当たりだと分かっていても、俺の苦悩を思い知らせてやらないことには気が済まなかった。
裏を返せば、野田に分かってもらい、労わってくれることを望んでいるのかもしれない。
ただ、思い知らせるも何も、言葉足らず過ぎて、ただでさえ驚きから覚めていないところ。
理解を求めるのは難しそうだったが、ふっと息の漏れる音がしたなら、野田がにわかに、歪な笑みを浮かべた。
「ざまあないな」
やはり「恋文の行方」の作者だ。
野田が俺の立場だったとして、山城の手紙を勝手に読んで、自分のことが書かれていなければ、とっとと燃やすのだろう。
この糞野郎。
反らした上体を倒すと共に、着物の襟を引き寄せ、野田に頭突きかました。
「う」と呻いて枕に頭を落とした野田に、追い討ちをかけるようにして迫り、口付けをする。
獲物を貪る獣のように荒っぽく口付けし、唇を食み唾液を舐めとったものを、いちいち音が鳴る眼鏡が鬱陶しく、途中でくわえて放った。
あらためて野田と向き合えば、泥のついた頬を先より上気させ、細めた目を濡らしている。
「ざまあないな」とどの口が言ったのかと、小癪に思いながらも、薄く開いた唇の隙間から舌を滑りこませた。
逃げるように顔を振るのに、掴んだままの着物の襟を引っ張り、やや頭を仰け反ったところで深く舌をもぐりこませ、口内をかき混ぜながら唇で密閉をする。
こもった水音が頭に響くのは、野田も同じだろう。深く差しこまれた舌による蹂躙と、直接、脳を痺れさせる水音。
そして息苦しさに、野田は顔を真っ赤にして涙と涎を垂流しにして悶えた。
そのうち、さすがに呼吸困難に耐えられずにか、俺の首を掴んで押してきた。
唇を放せば、だらしなく唾液を垂れっぱなしに息を切らしたものの、俺の首を掴んだままでいて、呼吸が落ちついてきたら爪を立て、また力を込めた。
虚弱な、しかも体調が万全でない野田の腕力なんて、震える小鹿のようなものだったが、生白い手に押されてやって、布団に腰を落とす。
熱に浮かされたように目を泳がせ、忙しく息をしながら野田は起き上がり、布団から足をだして横座りをしたなら、首を掴んでいた手を下に滑らせていった。
掌を泥で汚しながら、ズボンのベルトに指をかけ、チャックを下ろしてから、ズボンごと下着をずり落とした。
はあ、と悩ましく吐息して、足の付け根あたりに片手を置き、立ち上がりかけているそれに顔を寄せる。
熱い吐息をしつつ亀頭を舐め上げ、竿をくすぐるように指を滑らせた。
しばらく、同じことを繰りかえし、俺が息を上がらせ、それを固くしだすと、下の膨らみを揉みながら、丹念に隈なく竿に舌を滑らせて、舌の先でくびれをなぞってくる。
蟹崎尚のも、よく、しゃぶりついていたのだろうか。
そう考えないでもなかったが、人にされるのが初めてだったのと、無沙汰だったから、その舌遣いを、どうこう批評できる立場でなければ、余裕もなかった。
ただ、野田が俺の顔を見ないで、細めた目を潤ませ、それに見惚れるようにしながら、一心にしゃぶっているのは気に食わなかった。
野田の体の下にもぐりこませた足を、横座りして閉じている股に捻じこんだ。「あ」と舌を垂らしたまま、顔を上げた野田の頬が赤みを増す。
閉じた股に隠された膨らみがばれて恥じ入るように、だ。
人のを旨そうにしゃぶっておいて今更、と思いつつ、太ももに挟まれて動きにくいながら、張りつめた褌に足を押しつけ揺さぶる。
「ん、あ、や」と涙を流して見てくるのに、冷めた顔をして顎をしゃくれば、肩を震わせつつ亀頭をくわえこんで、顔を上下に揺らしだした。
唇でかるく食みつつ、口内では舌をしきりに蠢かせ鈴口を舌先でえぐってくる。
野田も褌を湿らしだし、徐々に濡れる太ももを開いていった。
先より圧迫されなくなったこともあり、足の動きを活発にさせ、親指と人差し指で膨らみを挟んで扱いたり、褌越しの鈴口に爪先を食いこませるようにして引っかく。
「あ、ん、はあ、あ、あぁ」とくわえきれずに、喘ぎを漏らし腰を揺らしつつ、舌の動きをより粘着質なものにして、絞りだすように竿を強く握って擦った。
生温かく湿った口内の具合は良く、俺のと野田の股が濡れる、その水音が混ざって響くのにも追い立てられる。
足に比べて舌で嬲られている俺のほうが、ご無沙汰なこともあって圧倒的に不利だった。
野田より先に漏らすのは耐え難く、頭を掴んで引っ張り上げるも、辛うじて届く舌先を、割れ目に捻じこんで小刻みに揺らし、竿と下の膨らみを両手で撫で回してくる。
お返しに足の親指で、ぐしょ濡れの褌越しに先を強く擦ってやれば「あ、ああ、あん」と甘く鳴きながらも、むしろ舌遣いと手つきを盛んにした。
「くっ、そ」とどうにか堪えて、足を押しつけて擦りあげたところ「は、あ、っあぁ」と舌を垂れたまま俺のから口を放し、震える太ももをきつく重ねて、その隙間をしとどに濡らした。
一息つく間もなく、はみだした舌から唾液と先走りが混じったのを滴らす、みっともないその表情を目の当たりにしたなら、腰に突き上げを食らい、耐え切れずに野田の顔に白濁の液を散らした。
泥のついた顔を、さらに白濁の液で汚されながらも、野田は恍惚としたように上気した頬を艶めかせ、熱っぽい瞳で見つめてきた。
発情した獣のように見境なく浅ましかったが、十分に当てられた俺は、噴出した直後のそれをもたげそうになり、濡れた太ももに挟まれた足をひくつかせる。
野田の股の濡れた感触と水音に生唾を飲みこんだものを、完全復活する前に野田は頭を垂れて、同じく頭を垂れている、それの傍に顔をもたれ、意識を落としてしまった。
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