カミサマ・ゲーム

雪月風花研究所

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「北海道に3泊4日だっけ? 楽しみだな~」
「今日の予定は?」
「確か……函館で自由見学だったはず。俺は
赤レンガ倉庫とか行きたいかな」
 羽田空港を出発し、旅客機の中で話す黎明
学園3年2組の十六夜慶輔いざよいけいすけ小鳥遊康貴たかなしこうき四季遥斗しきはると。この日から4日間、彼等は修学旅行だったのだ。
「へ~、遥斗たちも赤レンガ倉庫行くんだ」
「僕たちも行こうと思ってたんだ」
「せっかくだし、一緒に行動しない?」
 3人を誘ったのは、クラスメイトの宝船舞凛ほうせんまりん猫宮由架ねこみやゆか白神衣吹しらかみいぶき
「俺は良いけど……慶輔と康貴は?」
「全然良いよ」
「俺も。むしろ感謝してるよ」
 慶輔と康貴は、そう返す。
「マジ? サンキュー」
「別にそこまででも無いよ。ってか、彼奴等何やってんだ?」
 謝意を述べる舞凛に問い掛ける慶輔。その 目線の先では宇緑龍二うろくりゅうじ三条尚之さんじょうなおゆき御巫達哉みかなぎたつや百瀬風雅ももせふうががレースゲームで遊んで いた。
「1500円か、ヤベ~……」
「俺は絶対勝つぜ」
「負けたら使えるお金一気に減るからな」
「僕も負けるつもりは無いよ」
 4人が話す。その後ろでは暁天絵茉あきそらえま花咲乃愛はなさきのあ速水はやみるながゲーム画面を見ていた。
「2人は誰が勝つと思う?」
「龍二か達哉じゃない?」
「意外と尚之が勝つと思う」
 間もなく、4人の対戦が始まる。一進一退の攻防の末、1番にゴールしたのは達哉だった。続いて尚之、龍二がゴールし最後に風雅が  ゴールした。
「うわ、嘘でしょ? 1500円?」
「早く絵茉たちに渡して」
「クソ~……これで残金1万3500円か、 大事に使えよ」
 悔しがりつつも絵茉、乃愛、るなに500円ずつ渡す風雅。それを見ていた2人の少女が
言う。
「え? 何やってんの?」
「訳が分からん……」
 星野彗ほしのすい桜葉美琴さくらばみこと。そんな彼女たちに、3人の少年が話し掛けた。
「函館まで後50分だって」
「到着したらどこ行くよ?」
「俺の希望は五稜郭」
 鞍馬尊琉くらまたける七星真尋ななほしまひろ八雲悠吾やくもゆうごが言う。
「分かった……じゃあさ、元町教会群って所があるんだけど、そこも行っていい?」
「嗚呼、全然良いよ。俺は」
 彗と真尋が言葉を交わす。その時、後ろから少女の声が聞こえた。
「お昼どこで食べる予定?」
「それと、集合時間何時だっけ?」
 問い掛けたのは松原葵まつばらあおい雪村茜ゆきむらあかね
「まだ決めてないな。後、集合は16時45分だ」
 答える尊琉。すると伊集院玲那いじゅういんれなが言った。
「教えてくれてありがと。お礼に教えて
あげる。有名なハンバーガー屋さんがあるん
だけど、そこおすすめ」
「あ、そうなの? 行ってみよっかな」
 美琴が返す。その様子を見ている1人の
少年。
「成程……僕も行ってみようかな」
「良いと思うよ」
「じゃあそこで決まりか?」
 霊月蒼一郎れいつきそういちろうとその友人の不破光ふわひかる風見綾大かざみりょうた。3人が話していると、少女が蒼一郎に話し
掛ける。
「ねえ、なんでアタシの事省いてんの? 彼女だよね、おかしくない? そんな害虫とは一緒にいれてさ、アタシとはいれないって何?」
 蒼一郎の交際相手である椎名雨唯しいなうい
「あ? 黙れよ、蒼一郎がいなけりゃ何にも 出来やしない寄生虫が」
「はぁ……アタシと蒼くんの関係も分かんないくせによく言うよね。本当に気持ち悪い」
 言い返す綾大に、更に返す雨唯。口論になる2人に、見かねた蒼一郎が言った。
「君も落ち着きなよ。せっかくの修学旅行だからさ、いっその事4人で回るってのはどう  かな? そしたら、君も……」
「なんで? なんでアタシよりその2人の方を優先するの? そうやって期待してた
女の子の気持ちを裏切るんだ。アタシはそいつ等以下なんだ」
「悲劇のヒロイン気取るのも大概にしなよ。君、蒼一郎の事束縛して何がしたいの?」
ぽろぽろと涙を流す雨唯に対し、呆れた表情で言い返す光。すると、その時4人の
少年少女がやって来て言う。
「お前等……雨唯の事何いじめてんだよ?」
「本当、最低ね」
 真っ先に口を開いたのは、2組で絶大な権力を持つ空町泰生そらまちたいせい早乙女志音さおとめしおん
「俺の友達なんだよ、雨唯は。軽々しく手出ししてんじゃねえぞ」
 九重柊ここのえしゅうも、綾大と光に言う。
「次雨唯を泣かせたりでもしたら……2人は 終わりだから」
 それだけ清滝萌香きよたきもかは言う。4人は、そのまま去って行った。
「性格悪……」
「だから雨唯とは関わりたくないんだよね」
「泰生も可哀想だよ」
「いや、志音たちも異常だよ? だって雨唯はいじめられてすらないじゃん」
 陰口を叩く神楽陽詩かぐらひなたとシャルラロハート・ エミリア、ルージュと草薙杏くさなぎあん。4人が話して いると、3人の少年に声を掛けられた。
「何話してんだ?」
「俺たちが混ざれるなら混ざって良いか?」
「まあ、陰口とかじゃあ……無いだろうしな」
 朱雀魁人すざくかいと鴎篤成かもめあつしげ氷室翔ひむろしょう
ふと翔が言う。
「なあ、函館まで後25分だってよ」
「楽しみだな~」
 篤成が返す。その時、何処からか甘い香りが漂って来た。
「ねえ……誰かお菓子食べてる?」
「分からん、ただ……なんだこの甘い匂いは……」
 陽詩と篤成が言う。間もなく、2人は深い
眠りについた。



「んあ……」
 旅客機の中で目を覚ます慶輔。外を見ると、そこは高さ10メートルはあるであろう
鉄柵が張り巡らされた無人島だった。
「おい、どこだよ、ここ……」
 しかし、それに気付いているのは慶輔だけ
では無かった。
「は、嘘でしょ!? ってか函館じゃない
よね、絶対」
「おいおい……先生もいないし、どうすりゃ
良いんだよ」
 機内は瞬時にパニック状態となった。
すると、旅客機の扉が開く。そして、黒服の男
が手招きして語り掛ける。
「ようこそ、ゲーム会場へ。それでは皆様、
こちらへ来て下さい」
「ふざけんな! 誰がそんなの従うか!」
 龍二が言い返す。すると、その時龍二の
頭の中に激しい頭痛が走る。
「…………っああああああああ!」
「さあ、こちらへ来て下さい」
 痛みのあまりうめき声をあげて頭を抱える
龍二と、声色1つ変えず語り掛ける黒服。
彼等は悟った。この男に逆らってはいけない。
3年2組の生徒は、全員旅客機を降り、黒服の
後ろを歩き辿り着いたのは大きな屋敷だった。
「では、全員ご着席下さい」
 生徒は、皆椅子に座る。すると、黒服は語り
始めた。
「初めまして、私はデウスと申します」
「……こんなところに私たちを連れてどうする
つもり?」
 舞凛がデウスと名乗る黒服に問い掛けた。
「特段難しい事ではございません。これより
君たちには……殺し合っていただきます」
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