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第5話 冒険者の日常
8.鍛冶屋通り祭
しおりを挟む「ふっふっふっ、初回やけど上々やな。特にあのスライムを薄く延ばしてなめしたフーセンは良いアイデアや」
「そうだろそうだろ」
「ふふん。アタシの美貌のおかげじゃな。後で屋台の食べ物、ちゃんと食べさせるのじゃよ」
「分かってるって」
一瞬の間。
「「で、その格好は何?」」
俺はいつもの鎧姿ではなかった。
頭の付近は茶色と薄茶色のまだら模様に、身体は薄茶色。ゆるーい表情の顔つき、小さな目と半開きの大きな口。短い手足と太い尻尾。
そう――あの鉱山喰いの着ぐるみを身に纏っているのだ。
中に入っているのが俺である関係上、ちょっと大きくなったけど。
「これは俺の考案したゆるキャラ、マイン君だ」
「ゆる、キャラ?」
「やっぱり町興しみたいなもんだし、こういうマスコットキャラは必要だと思うんだよ」
「マスコット、キャラ?」
「あー。象徴……看板的な? 親しみやすい見た目で子供達にアピール出来れば、次も来てくれるだろ?」
「なるほどな……」
「よーしちょっと行ってくる」
俺は意気揚々と通りに出て、早速子供達に見つかり――。
「なんだこの魔物!」
「オレが退治してやるー!」
「お母さん、怖いよー」
めっちゃ子供達に殴られたり、登られたり、怖がられたりしてしまった……何故だ。こんなにも可愛いのに。
「デカいからやな」
「あと口もデカイから食べられそうじゃ……」
今回の祭りは概ね成功と言ってもいいだろう。
すぐは無理でも、いずれは鍛冶の仕事も増える事に繋がればいいんだけど。
『ね、姉さん! これショーだから、演劇だから……本気で女の子誘拐しようとした訳じゃ――ぐはッ!?』
『悪は、滅びた――』
どうやら特設ステージも盛り上がっているようだ……ゆるキャラのデザイン、いいと思うんだけどなぁ。
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