セカンド人生は動く鎧になって冒険者生活!?

ゆめのマタグラ

文字の大きさ
上 下
63 / 93
第5話 冒険者の日常

7.5 冒険者ゲラルドの場合

しおりを挟む
 そして週末。祭り開催日――。

「パパー、今日はどこに遊びに行く?」
「そうだな……」

 俺の名前はゲラルド=オーキド。どこにでもいる普通の青銅3級冒険者だ。
 元々は商人ギルドの会社で倉庫番をしていたのだが、ある日冒険者に憧れ民間ギルドに加入して早10年。
 今では妻と、息子と娘に囲まれる毎日だ。
 
「さすがにまた郊外の空き地でボール遊びは……ん?」

 空に何かが浮かんでいる……ここからではまだ読めないが、なんだ?

「はーいお兄さん、よろしかったらコレどうぞ♡」
「は、はい」

 気付けば目の前に、黒髪のエルフ美女が立っていた。
 露出は少ないが、ボディラインがしっかりと出た服は夜の仕事の格好に見えなくもないが――。
 その美女が持っているチラシには、

「……鍛冶屋通り祭?」
「そうなんです。毎週末、料理の屋台を出したり、子供向けのショーをやったりするんです」
「はーい、君達にはこの特製フーセンあげちゃう」
「わーい」
「ありがとー」

 見た目には12かそこらのメガネを掛けた少女はしゃがんで子供達に、宙にふわふわと浮く謎の緑のボールのようなものを手渡した。

「こら、お代を貰わず……」
「あら。これは無料ですよ。もちろん鍛冶屋通りに足を運ばないからって回収したりしませんので」
「む、無料……」

 どんなモノかは分からないが危険性はない、と思う。
 よく見たらフーセンには『鍛冶屋通り祭開催中』の文字が入っている。

「でもぉ、このチラシを屋台に持っていけば、料理も安くなるんですよ」

 チラシと一緒に俺の手を握ってくるエルフ美女……し、仕方がない。

「よし、ちょっとだけ鍛冶屋通りに行ってみるか。武器も見てみたいし」
「うん!」
「早く行こう!」

 ◇◆◇


「おぉ、結構屋台も人も多いな」

 確か前に1人で来た時にはほとんど人も居らず、酒場からドワーフの笑い声が聞こえるだけだった

「あいよー。マイン饅頭2人前ね!」
「今なら焼きそば、出来たてだよー」
「午後の鐘が鳴り終わったら、特設ステージでショー始まりますよー」
「マッスル兄弟の搾りたてジュースはこちらでーす」

 通りには屋台が並び、自分と同じようにチラシを持った老若男女の人らがたくさん居た。
 中には子供連れも多く、みんなフーセンとやらを持って歩いている。

「あ、さっきのはコレか」

 地面に突き刺した長い棒の先に一際大きなフーセンと、『鍛冶屋通り祭開催中』と書かれた垂れ幕が吊るしてあった。

「パパ! あのフーセン釣りやってみたい!」
「わたしも!」
「分かったから引っ張らないでくれ」

 そこの屋台も賑わっていた。
 大きい水を張った桶の中に、小さなフーセンが浮いている……その先に紐が付いている。

「はい、1回銅3枚だよー」
「すいません子供2人分で」
「あいよー。はい、この釣り竿で釣ってね。上手く釣れたら景品もあるからね」
「「はーい」」
「……ところで、このフーセンって何で出来てるんです? 見た事あるような無いような」
「それは秘密ですが……自然由来の安全な素材なので、お子さんが間違って食べても全然問題ないですよ」
「はぁ……」

 何かの食材か何か使ってるのかな。

「パパー、上手く釣れなーい」
「わたしは釣れたよ!」
「しょうがないな……パパに貸してごらん」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~

岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。 順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。 そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。 仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。 その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。 勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。 ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。 魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。 そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。 事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。 その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。 追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。 これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。

大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。 ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。 主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。 マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。 しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。 主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。 これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

処理中です...