セカンド人生は動く鎧になって冒険者生活!?

ゆめのマタグラ

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第5話 冒険者の日常

2.冒険者の依頼

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 俺は今日の依頼を探すべく、ギルドへとやってきた。
 さすがにギルド内でもコンテストのことは知られているようで、よく色んな冒険者から声を掛けて貰うこともある。
 
「おいニーチャン聞いたぞ! あの武器コンテストで優勝したんだって?」
「アイガー。優勝したのはテッカンって職人のオッサンだろ」
「いいんだよこまけーことはよ!」
「よーし今日はワシが酒を奢ってやろう」
「あはは……」

 アイガー、オルガ、マッシのオッサン冒険者3人組だ。
 白髪で短髪の頬に古傷があるのお調子者のアイガー。
 頭がハゲている髭の生えているのがオルガ。
 3人の中にでは1番老けて見える細めの体型のマッシ。
 
 初日に色々話を聞いたせいか、こうやってちょくちょく絡まれることもある。
 いつもは酒のツマミに自分達の冒険譚を語られるのだが、今日は少し違うようだ。
 
「……実はニーチャンに折り入って頼みたいことがあるんだ」

 今まで聞いたこともないマジトーンのアイガーさん。
 俺はその空気に飲まれ、促されるまま席へと着く。

 「あれはそう……20年前の冬のことだ」
 
 あ、また冒険譚が始まりそう。

「オレ達はギルドの依頼を受け、依頼主から宝の地図を受け取った。ある地方にある入り口が封印されたダンジョンだったんだが、近年開け方が分かったという話だった……」

 長くなりそうだしテキトーに料理頼んどこう。

「実際にダンジョンへと行き、色々とまぁ攻略は大変だった――そして最奥で、目的の宝を見つけた。」
「……確かマッシの奴が見つけたんだったよな」
「そうだったかな……懐かしいな」
「しかしその宝を手にした途端、洞窟が崩れ始めた――俺らは必死に走り、そりゃもう命懸けで走ったさ」
「あの時は大変だったなぁ……」
「命からがら洞窟から脱出して……依頼主に宝を渡したら、この宝は目的のもんじゃねーって言い出すんだ」
「ありゃ酷かったな」
「そんで依頼料減額されてよ……アレは絶対イチャモンだと当時のギルマスと喧嘩したなぁ」
「……で、俺に頼みたいことって?」

 頼んだ鳥肉料理をパク付きながら、質問をする。
 
「おおそうだ。実はその崩れたはずのダンジョンなんだが……最近、別の入り口が見つかったらしくってな」
「入り口っていうか、鉱山喰いマインイーターが勝手に開けた穴なんだけどさ。鉱山調査員が偶然、ダンジョンへ繋がってる穴を見つけてな」
「その話を聞いて、昔の宝の地図と見比べたら……まさにそこなんだよ」

 まさかここでも出てくるとは――あの一件以来、西の鉱山一帯からは鉱山喰いマインイーターが居なくなっとも聞いている。
 アイツらの通り道になった所から新たな遺跡やダンジョンが見つかることはままあるらしい。
 
「そこでニーチャンに頼みたいってのは、そのダンジョンに潜って本物の宝があるか調べてきて欲しいんだ」
「えぇ……」
「これはオレ達、冒険者人生最後の心残りだ。もちろん本来なら自分達で行きたい所だが……腰が痛くてな」
「ワシは膝が痛い」
「オレはその両方が痛い」
「えぇ……」

「お宝! 受けようよ!」
 
 隣のテーブルで話を聞いていたハナコが身を乗り出してきた。
 
「おっ、なんだ嬢ちゃん。ニーチャンの仲間か」
「アタシはハナコ。訳あって田舎から出てきた兄ちゃんの妹……みたいな新米冒険者さ!」
「ほう兄妹でパーティ組んでるのが。仲が良くていいじゃねーか」
「いや俺は受けるとは……」
「ふむ――最近聞いた謎のダンジョンの話か。興味深いな」
「おーステラじゃねーか!」
「ヨーイチに妹が居るとは知らなかったな……その話は後で“詳しく"聞くとして……その依頼。私も興味あるので参加しよう。パーティ申請は私が出しておく」
「えっ」
「3人では何かあった時に心許ないな――ジェイド! ジェイドはいるか!」

 酒場の冒険者達が一斉に……バーカウンターで可愛らしい女性冒険者と仲良く話しているジェイドを指差した。
 ステラは無言でジェイドの襟首を掴み、女性冒険者には酒を奢ってから、こちらへ持ってきた。

「そんな姉さん! 今日はオレ、これからデートに行こうかと思って――」
「デートなら私と行けばいいじゃないか」
「いやそうじゃなく……はい、行きます」

 抵抗は無意味だと悟ったのか、うなだれるジェイド。

「よし。では早速出発だ!」
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