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第4話 武器コンテストと忍者
19.5 企む者ら
しおりを挟む報告会は終わり、一同は解散となった。
部屋にはヨシエとヨドだけが残っている。
テーブルには酒の入った瓶とグラスが並んでいる。
「さて。今日のツマミはなんだい」
「南の名産品だ。ジェイドも絶賛してたぜ」
たまにヨドとヨシエはこうして簡単な打ち上げを行っているのだ。
「ジェイドは元気にしてるかい」
「この前も女神官ナンパして酒飲んでたとか……でも、頭付きの蛇の蒲焼きが有名な店に連れて行ったらドン引きされたとか言ってたぜ」
「あの坊やも面白いね」
「それでこれがその蛇の蒲焼きだ」
テーブルに燻製された頭と尻尾の付いた蒲焼きを取り出すヨド。
「おや、買ってきたのかい」
「コーディアじゃあ最近流行ってるらしくってな、この蒲焼きの店」
蛇の蒲焼きを2枚、互いに逆さになるように置くヨド。ちょうど互いの頭が尾を咥えているようにも見える。
「ふーん。そういや、ステラも元気にしてるかい」
「最近は新入りの面倒もよく見てるぜ。この新入りが面白い奴で……なんと勇者の鎧のレプリカを着てやがんだぜ」
「たまにそういう新入りは見るけど、誰も本物にはなれないねぇ」
「あぁ。だからこそ、ステラも見守ってるのかもな」
しばらく2人の他愛のない会話は続いた。
◇◆◇◆◇◆◇
ここは王都内の教会関係者のみが宿泊できる高級宿だ。
その部屋の中で灯りに照らされた2人の男女 ロータスとクロエだ。
「どうだ2人の様子は」
「別に……ただの世間話をツマミにしてお酒を飲んでいるだけのようです」
大会議室に仕込んできた遠隔集音魔法を解除するクロエ。
「あの2人は昔の冒険仲間だったか……少し勘ぐり過ぎか」
「どうしますか、お義父様」
「いやこれ以上はいい。お前は決行の日に、例の男に接触しろ」
「御意」
「ふふ、しかしお前は相変わらず美しいなクロエ――では、夜の努めを果たして貰うか」
「……御意」
クロエは衣服を脱ぎ去り――胸元のウロボロスの紋章を愛おしそうに撫で、大切そうに机に置くのだった。
月に照らされたクロエの表情は、恍惚としていた。
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