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第4話 武器コンテストと忍者
17.VSジロウ<武者六道>
しおりを挟む突然ニーアが話しかけてくる。
(どんな!? 今俺の中には誰も乗ってないし……)
『アムル、ステラ、ルビィの解析が完了しています。この解析結果を貴方の魂データへ反映し、戦闘レベルをアップグレードできます』
なんて便利な機能なんだ。
(すぐにやってくれ!)
『3人分だとおよそ――』
(ステラの分だけで!)
『了解。ステラの戦闘経験値を反映します』
その間もジロウの攻撃は続いている。
しかし内部会話のせいで少しだけ、俺の動きが鈍ってしまった。
そこを見逃してくれなかった。
「そこだ!」
ジロウは武器を手放し、俺の腕を掴み引っ張り、即背後に周り俺を地面に叩き付ける。
「ぐっ」
「骨を折られたく無ければ降参しろ!」
『90、95……100%、アップグレード完了しました』
「誰が、降参するか!」
ジロウを乗せたまま残った腕で起き上がる。腕が変な方向に曲がっていても気にしない。そもそも中身無いし。
そのままジロウを床に叩き付けようとするが、
「おのれ!」
さすがに手を離し、すぐに自分の武器を回収した。
「……」
俺は剣を腰に回すように構える。
雰囲気が変わったのに気付いたのか、ジロウは少し躊躇したようだが――。
「はぁッ!」
今度は左右に揺れるようなステップで突進してきた。あまりにも早い揺れのせいで分身しているように見える。
「白皇、一閃!」
俺から見て左のジロウへ高速の斬撃を放つ!
「なに!?」
ジロウは小太刀をクロスさせ防ぐが、俺は一瞬で距離を詰め、さらに追撃を行う。
「たぁッ!」
剣を水平に構え、刺突を左肩へ食らわす。
魔力により強化された一撃は、鎧の耐久値を大きく超えたようだ。
肩の部分の鎧が破損し、生身の部分が露出した。少し血も出ているようだ。
「なんだ、いきなり動きが――いやそれより腕の感触が……」
「……」
俺は再び構えを取る。
このステラのよくやる構えは相手が動いても、こちらから動いても対応できる構えだ
ただし、それはステラのよく相手を見る眼と経験があればこそだが――今の俺はその戦闘経験を受け継いでいる。
「クソッ……武者六道、ホウセン!」
小太刀を背中に仕舞うと、今度は脚や腕から棒のようなパーツが飛び出し、最後に背中から出てきた刃物を先端に付け完成したようだ。
槍の両側に斧のような刃が付いた武器。戟やハルバードと呼ばれるモノだ。
しかしこのくらいの間合いなら問題ない――と思っていたら。
「複合変体。アシュラ、アミダ!」
背中から再び腕が生える。
ただし左の1本は足りない。これは左肩の破損が原因なのかもしれない。
背中の手は刀2本と包丁刀を持っていた。さらに本人はハルバードを構える。
「……ははっ」
それは前に戦ったマナビーストという化け物にそっくりだった。
あの時より武器も多彩で多いし、何より俺自身が戦っている。
ジロウはこちらとの間合いと図り、ジリジリと横へ移動する。
俺は先手を取るのは不利と考え、構えを維持する。
『さぁ残り時間は5分を切ったぞ! どうなるッ』
「――きぇぇぇえええッ!!」
MCのその実況を合図に、ジロウは叫びながら突進してきた。今度は一直線に、後ろの腕も攻撃を与えるべく後ろに引いている。
「白皇剣、フルパワー!」
俺は剣に自分の魔力を全力で込めた。
柄や剣の装飾部分が輝き、魔力が刀身に伝わり、さらに魔力の刃が刀身沿いに高速で回転する。
そう、それはまるでチェーンソーのように。
この剣は俺の声に答えるようにその姿を変える。
俺は今、相手の武器すべてを破壊する姿を望んだ。
「一撃、必壊!」
相手の攻撃に合わせて俺も剣を振るう。
最初にハルバードが触れるがそれを容易く斬り裂き、上段から振り下ろされる包丁刀も砕き、左右からの来る刀の攻撃はその場で即座に回転斬りを行い――破壊する。
「はぁ!!」
「ひぃッ!?」
さらなる追撃がジロウの脳天に当たる直前に、俺は寸止めをした。
寸止めが少し失敗し、兜も破壊されてしまって――ジロウは泡を吹いて倒れた。
『おおっとジロウここで気絶! カウントは――いや武器も破壊されていますね』
MCは俺の腕を掴み、天高く持ち上げた。
『勝者は、ヨーイチ&テッカン殿だ!!』
これまでで1番大きな歓声が、闘技場全てを包み込んだ。
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