セカンド人生は動く鎧になって冒険者生活!?

ゆめのマタグラ

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第4話 武器コンテストと忍者

16.VS???<武者六道>

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「さて……」
 
 俺は白皇剣を構え、鎧兜の侍へと向き合う。
 
「ようやく、ようやくこの時が来た――借りは返させて貰うぞ、ヨーイチ!」
「……いや誰?」
 
 両者の間に微妙な空気が流れる。
 
「――ふっ。そうだったな。自己紹介がまだだったな。俺様はジロウ=ダイナン、かつてニン者を率いた頭領だった者だ!」
「…………いや誰?」
 
 再び微妙な空気が通り過ぎる。
 
「ヤスオやハナコから聞いてないのか!」
 
 顔を覆っていたマスクを取り外し地面に叩き付ける鎧兜の男――もといジロウ。
 鋭い目つきと、口からは犬歯が覗いているのが特徴的な青年だった。今は若干泣き顔である。
  
「おっ、アレは儂を捕まえた不届き者じゃねーか」

 後ろからテッカンさんが何かに気づいたような声が聞こえる。
 それを聞いて、俺もふと思い当たるフシがあった。
 
「あー。もしかしてハナコの言ってた……バカ委員長か!」
「バカとはなんだバカとは!」

 子供のように地団駄を踏むジロウ。
 
「えっ、忍者辞めて侍にジョブチェンジしたの?」
「ニン者は辞めておらん! ――もういい! 兎に角、いくぞ!」
「おおっと!?」
 
 刀を突き刺して来るのを、身体を捻って避ける。
 同時にジロウはバックステップで距離を取り、叫ぶ。
 
武者六道ムシャムドウ、アミダ!」
 
 背中の腕が収納され、鞘刀に収めた刀も背中に収めた。
 そして右手で何かを掴み、正面に持って来た時――大きな包丁のような刀を手にしていた。
 
「いやその背中どうなってんだよ!」
「問答無用!」
 
 即座に距離を詰めて体重の乗った攻撃を仕掛けてくる。白皇剣で受け止めつつ、俺は剣に魔力を一定量注ぎ込む。
 
「はぁ! やぁ!」
 
 ジロウの攻撃は苛烈さを増し、俺はジリジリと後退していく。
 一旦距離を取りたくても、こちらはステージ端が近い。
 
「だったら!」
 
 相手の攻撃が一瞬引き、次の攻撃に移る瞬間――俺は剣の腹を押し付けるようにタックルをした。
 
「うぉ!?」
「よしッ!」
 
 さらに回転を付け、剣を胴体目掛けて斬り付ける。
 
「チィ!」
 
 ジロウはさらに回避を行うが――白皇剣から光の刃が伸びる!
 
「なんだ!?」
 
 光の一撃が胴体に入り吹っ飛ぶジロウ。さすがにステージからは落ちなかったようだ。
 
「クソッ」
 
 その一撃に鎧そのものはビクともしなかったようだ。
 さすが同じ魔炎鋼竜の素材を使っているだけはある。
 
「あのぐらいじゃ鎧は傷が付かない……よし、だったらもうちょっと出力上げられるな」
「本気では無かったか――」
「いや本気でやったら鎧ごと真っ二つになりそうで……」
「いいだろう。俺様も少し、本気を出してやる」
 
 再び刀を背中に回す。
 
武者六道ムシャムドウ、フウマ」
 
 そして今度は両手を背中に回し、正面に来た時には短刀よりやや長めの刀が握られていた。いわゆる小太刀みたいな長さだ。
 
「いざ、参る!」
 
 低めの姿勢から突っ込んで来る。俺がそれに合わせて下から薙ぎ払うが、寸前の所で地面に両手を突き、両脚で顔面にドロップキックを仕掛けてきた。
 両脚にも刃物が付いている。これを俺が仰け反って避けるが、すれ違い様に小太刀で攻撃される。
 さらに尻餅を付くように避ける。
 
「喰らえ!」
 
 ジロウは地面に降り立つと同時にこちらへ突進してくる。
 
「不味いっ」
 
 俺は剣をステージの床に突き刺し、魔力の刃を伸ばすことにより即座にその場から離脱する。
 さらにすぐジロウ側に向き直るが、もう目の前まで迫って来ていた。
 
「はぁッ!」
 
 ジロウの左右からの攻撃を剣で凌ぐ。
 俺からの上段攻撃は小太刀をクロスされ防がれ、腹を蹴られる。
 
「ぐっ!?」
「お前は反応速度はいいが、動きは素人に毛が生えたようなものだな!」
「悪かったな、素人で!」
 
 生前はサラリーマンで、こっちの世界に来てからも魔物としか戦った事がない。対人戦なんてやった事もないのだ。
 しかも相手は忍者である。戦いのプロだ。
 
『それには解決法があります』

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