51 / 93
第4話 武器コンテストと忍者
16.VS???<武者六道>
しおりを挟む
「さて……」
俺は白皇剣を構え、鎧兜の侍へと向き合う。
「ようやく、ようやくこの時が来た――借りは返させて貰うぞ、ヨーイチ!」
「……いや誰?」
両者の間に微妙な空気が流れる。
「――ふっ。そうだったな。自己紹介がまだだったな。俺様はジロウ=ダイナン、かつてニン者を率いた頭領だった者だ!」
「…………いや誰?」
再び微妙な空気が通り過ぎる。
「ヤスオやハナコから聞いてないのか!」
顔を覆っていたマスクを取り外し地面に叩き付ける鎧兜の男――もといジロウ。
鋭い目つきと、口からは犬歯が覗いているのが特徴的な青年だった。今は若干泣き顔である。
「おっ、アレは儂を捕まえた不届き者じゃねーか」
後ろからテッカンさんが何かに気づいたような声が聞こえる。
それを聞いて、俺もふと思い当たるフシがあった。
「あー。もしかしてハナコの言ってた……バカ委員長か!」
「バカとはなんだバカとは!」
子供のように地団駄を踏むジロウ。
「えっ、忍者辞めて侍にジョブチェンジしたの?」
「ニン者は辞めておらん! ――もういい! 兎に角、いくぞ!」
「おおっと!?」
刀を突き刺して来るのを、身体を捻って避ける。
同時にジロウはバックステップで距離を取り、叫ぶ。
「武者六道、アミダ!」
背中の腕が収納され、鞘刀に収めた刀も背中に収めた。
そして右手で何かを掴み、正面に持って来た時――大きな包丁のような刀を手にしていた。
「いやその背中どうなってんだよ!」
「問答無用!」
即座に距離を詰めて体重の乗った攻撃を仕掛けてくる。白皇剣で受け止めつつ、俺は剣に魔力を一定量注ぎ込む。
「はぁ! やぁ!」
ジロウの攻撃は苛烈さを増し、俺はジリジリと後退していく。
一旦距離を取りたくても、こちらはステージ端が近い。
「だったら!」
相手の攻撃が一瞬引き、次の攻撃に移る瞬間――俺は剣の腹を押し付けるようにタックルをした。
「うぉ!?」
「よしッ!」
さらに回転を付け、剣を胴体目掛けて斬り付ける。
「チィ!」
ジロウはさらに回避を行うが――白皇剣から光の刃が伸びる!
「なんだ!?」
光の一撃が胴体に入り吹っ飛ぶジロウ。さすがにステージからは落ちなかったようだ。
「クソッ」
その一撃に鎧そのものはビクともしなかったようだ。
さすが同じ魔炎鋼竜の素材を使っているだけはある。
「あのぐらいじゃ鎧は傷が付かない……よし、だったらもうちょっと出力上げられるな」
「本気では無かったか――」
「いや本気でやったら鎧ごと真っ二つになりそうで……」
「いいだろう。俺様も少し、本気を出してやる」
再び刀を背中に回す。
「武者六道、フウマ」
そして今度は両手を背中に回し、正面に来た時には短刀よりやや長めの刀が握られていた。いわゆる小太刀みたいな長さだ。
「いざ、参る!」
低めの姿勢から突っ込んで来る。俺がそれに合わせて下から薙ぎ払うが、寸前の所で地面に両手を突き、両脚で顔面にドロップキックを仕掛けてきた。
両脚にも刃物が付いている。これを俺が仰け反って避けるが、すれ違い様に小太刀で攻撃される。
さらに尻餅を付くように避ける。
「喰らえ!」
ジロウは地面に降り立つと同時にこちらへ突進してくる。
「不味いっ」
俺は剣をステージの床に突き刺し、魔力の刃を伸ばすことにより即座にその場から離脱する。
さらにすぐジロウ側に向き直るが、もう目の前まで迫って来ていた。
「はぁッ!」
ジロウの左右からの攻撃を剣で凌ぐ。
俺からの上段攻撃は小太刀をクロスされ防がれ、腹を蹴られる。
「ぐっ!?」
「お前は反応速度はいいが、動きは素人に毛が生えたようなものだな!」
「悪かったな、素人で!」
生前はサラリーマンで、こっちの世界に来てからも魔物としか戦った事がない。対人戦なんてやった事もないのだ。
しかも相手は忍者である。戦いのプロだ。
『それには解決法があります』
俺は白皇剣を構え、鎧兜の侍へと向き合う。
「ようやく、ようやくこの時が来た――借りは返させて貰うぞ、ヨーイチ!」
「……いや誰?」
両者の間に微妙な空気が流れる。
「――ふっ。そうだったな。自己紹介がまだだったな。俺様はジロウ=ダイナン、かつてニン者を率いた頭領だった者だ!」
「…………いや誰?」
再び微妙な空気が通り過ぎる。
「ヤスオやハナコから聞いてないのか!」
顔を覆っていたマスクを取り外し地面に叩き付ける鎧兜の男――もといジロウ。
鋭い目つきと、口からは犬歯が覗いているのが特徴的な青年だった。今は若干泣き顔である。
「おっ、アレは儂を捕まえた不届き者じゃねーか」
後ろからテッカンさんが何かに気づいたような声が聞こえる。
それを聞いて、俺もふと思い当たるフシがあった。
「あー。もしかしてハナコの言ってた……バカ委員長か!」
「バカとはなんだバカとは!」
子供のように地団駄を踏むジロウ。
「えっ、忍者辞めて侍にジョブチェンジしたの?」
「ニン者は辞めておらん! ――もういい! 兎に角、いくぞ!」
「おおっと!?」
刀を突き刺して来るのを、身体を捻って避ける。
同時にジロウはバックステップで距離を取り、叫ぶ。
「武者六道、アミダ!」
背中の腕が収納され、鞘刀に収めた刀も背中に収めた。
そして右手で何かを掴み、正面に持って来た時――大きな包丁のような刀を手にしていた。
「いやその背中どうなってんだよ!」
「問答無用!」
即座に距離を詰めて体重の乗った攻撃を仕掛けてくる。白皇剣で受け止めつつ、俺は剣に魔力を一定量注ぎ込む。
「はぁ! やぁ!」
ジロウの攻撃は苛烈さを増し、俺はジリジリと後退していく。
一旦距離を取りたくても、こちらはステージ端が近い。
「だったら!」
相手の攻撃が一瞬引き、次の攻撃に移る瞬間――俺は剣の腹を押し付けるようにタックルをした。
「うぉ!?」
「よしッ!」
さらに回転を付け、剣を胴体目掛けて斬り付ける。
「チィ!」
ジロウはさらに回避を行うが――白皇剣から光の刃が伸びる!
「なんだ!?」
光の一撃が胴体に入り吹っ飛ぶジロウ。さすがにステージからは落ちなかったようだ。
「クソッ」
その一撃に鎧そのものはビクともしなかったようだ。
さすが同じ魔炎鋼竜の素材を使っているだけはある。
「あのぐらいじゃ鎧は傷が付かない……よし、だったらもうちょっと出力上げられるな」
「本気では無かったか――」
「いや本気でやったら鎧ごと真っ二つになりそうで……」
「いいだろう。俺様も少し、本気を出してやる」
再び刀を背中に回す。
「武者六道、フウマ」
そして今度は両手を背中に回し、正面に来た時には短刀よりやや長めの刀が握られていた。いわゆる小太刀みたいな長さだ。
「いざ、参る!」
低めの姿勢から突っ込んで来る。俺がそれに合わせて下から薙ぎ払うが、寸前の所で地面に両手を突き、両脚で顔面にドロップキックを仕掛けてきた。
両脚にも刃物が付いている。これを俺が仰け反って避けるが、すれ違い様に小太刀で攻撃される。
さらに尻餅を付くように避ける。
「喰らえ!」
ジロウは地面に降り立つと同時にこちらへ突進してくる。
「不味いっ」
俺は剣をステージの床に突き刺し、魔力の刃を伸ばすことにより即座にその場から離脱する。
さらにすぐジロウ側に向き直るが、もう目の前まで迫って来ていた。
「はぁッ!」
ジロウの左右からの攻撃を剣で凌ぐ。
俺からの上段攻撃は小太刀をクロスされ防がれ、腹を蹴られる。
「ぐっ!?」
「お前は反応速度はいいが、動きは素人に毛が生えたようなものだな!」
「悪かったな、素人で!」
生前はサラリーマンで、こっちの世界に来てからも魔物としか戦った事がない。対人戦なんてやった事もないのだ。
しかも相手は忍者である。戦いのプロだ。
『それには解決法があります』
1
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~
岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。
順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。
そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。
仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。
その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。
勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。
ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。
魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。
そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。
事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。
その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。
追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。
これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた
こばやん2号
ファンタジー
とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。
気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。
しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。
そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。
※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる