セカンド人生は動く鎧になって冒険者生活!?

ゆめのマタグラ

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第4話 武器コンテストと忍者

13.2回戦・第2グループ

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『それでは第2グループの皆さん……ヨーイ開始!』
 
 今度の参加者達はみんな様子を見ているようだ。そりゃあんなに硬い所を見せられたらな――と思っていたら1人の青年が前に出る。ダイアーだ。
 
「ボクが、取る!」
 
 ライジングを構え、まずは遠心力を利用した1撃をゴーレムの頭に加える。
 
「ま”」
 
 攻撃が痛いと言わんばかりにガードしようとするが、攻撃の軌道は変幻自在。動きが遅いゴーレムでは捉える事が出来ない。
 
「よしッ」
 
 ライジングを1度手元へ戻し、今度は螺旋状に形状を変え――バネが伸びるように、一気にゴーレムの胸元へ攻撃する。
 身体の一部が少し、亀裂が入ったように見えた。
 と、そこで観客席から野次が飛んでくる。
 
「なにボサっと見とんねん!」
「いやぁ。凄い攻撃だなって」
「アホか!」
 
 ダイアーの猛攻に見ていた他の参加者も行動を開始する。
 
「あの小僧が亀裂を入れたぞ! アレを狙うんだ!」
「食らいやがれ!」
 
 それぞれが攻撃を開始するが、その瞬間にゴーレムの眼の色が変わった。
 
「ま”ま”ま”」
 
 これまでと同様、こちらに攻撃を仕掛けて来るのだがとその速度が徐々に速くなっている気がする。
 
「これは――」
『ゴーレムに傷が付いた事で、攻撃モードに移行しました! なんと行動速度が段々と上がるので、早めに破壊しなければ手が付けられなくなります!』
「なん――ぐぇぇぇええ!?」
 
 参加者の1人がゴーレムの裏拳を食らいステージ外どころか観客席の手前まで吹っ飛んでしまった。
 
「チッ」
 
 ダイアーは再び変幻自在の軌道でゴーレムの亀裂を狙うも、今度はガードが間に合ってしまう。
 
「だったら、これはどうだ!」
 
 ライジングが今度も胸元を狙うと見せかけ、ゴーレムの左腕に絡み付いた。
 
「ま”」
 
 しかしこれではゴーレムに引っ張られ場外まで飛んでしまうと誰もが予想しただろう。
 
「ナメんなや――誇り高き、ドワーフの腕力!!」
『なんと! ダイアーとゴーレムの力が拮抗してる? そんなアホな!?』
「動い、てる以上、関節があるはずや……」
 
 ライジングで左腕を縛りつつ、鞭の先を操り腕の付け根を狙うようだ。
 
「もう、ちょっと……」
「ま”ッ!!」
 
 そうはさせないと、ゴーレムは右腕でステージのタイルを剥ぎ取り、そのままダイアー目掛けて投げてきた。
 
「しまっ!?」

 と、そこで俺が割って入った。
 
 タイルを背中で受け、なんとかタイアーを守る。
 どうやらさっきの攻撃の瞬間に鞭が緩み、解かれてしまったようだ。
 
「ま”!」
「何してるんですか! ボクのこと、構ってる暇なんて無いでしょ!」
「だってお前が怪我したら、姉さんと父さんが心配するだろ?」
「姉ちゃんはともかく。あの男はボクのことなんて気にも掛けませんよ」
「そうか? でもお前は父さんの事が好きなんだろ」
「はぁ?」
「わざわざ同じ鍛冶職人になったり、ドワーフの力の事を誇りに思ってたり……あくまで職人として勝とうとしたのは、お前が父さんの事を認めてるからだろ」
「違う……あんなヤツなんか」
「そこで見ててくれ。お前の父さんの武器の、出来栄えをな!」
 
 俺は背中から剣を取り出し、正面に構える。
 ゴーレムは俺らが話している間に他の参加者達を一掃してしまったらしく、もうステージ上には2人だけだ。
 
「さてニーア。俺はどのくらいダメージ与えたら良い?」
『計算上は――指定した箇所に指定した魔力を乗せた攻撃を行って下さい』
「よし、まずは右腕からだ!」
 
 俺は脚に溜めた魔力を開放し、脇をすり抜けてゴーレムの後ろに回る。
 
「早いッ!?」
「ま”」
 
 ゴーレムの即座に、右の裏拳で攻撃してくるが――。
 
「遅い!」
 
 魔力を少し込めた1撃を右腕に加え、軌道をズラした。
 
「ま”?」
 
 さらに背中へ攻撃を複数回加え――剣の腹で思いっきり片方の脚を叩いた。
 
「フンッ!!」
「ま”あぁぁ」
 
 バランスを崩し背中から倒れるゴーレム。ステージから上半身が飛び出し、なかなか起き上がれないようだ。
 
『凄い、凄い猛攻だ! しかしもうすぐ制限時間が来るぞ! トドメを刺すなら今だ!!』
「いや、もういいかな」
『はい? ――あ、時間が来ちゃった。ここで終了だぁ!』

 観客席からはまばらな拍手。
 あとルビィの野次が飛んできているが、今は無視をする。
 
「な、何してんだよ。あんなに芸当、簡単に出来るなら……」
 
 MCはスタッフから受け取ったデータを見て驚愕の声を上げる。
 
『判定は――おおっと? これはどういう事だ!?』
「なんだ?」
『なんとダメージは全く同じ! これは……どうしましょうか』
「規定に則れば、勝負はドローで再試合になるようですが……第1グループに勝ち抜いた方はいらっしゃらないようなので、もう決勝に上げればいいでしょう」
『ウォルコット殿……では他の審査員の方も、よろしいと……はい! 判定の結果、ヨーイチとダイアーの両名が決勝進出だ!』
 
「よーし、なんとか計算通り」
「なんでこんな事を――ボクに恩でも売ったつもりですか」
「だってまだ納得出来ないんだろ? だったら、決勝で白黒着けようぜ」
「……分かりました」
『おっと両者の熱い握手だ!』

  ◇◆◇◆◇◆◇

「ってアホかーー!!」
「うおっ!?」
 
 控え室に戻るなりルビィのドロップキックが飛んでくるが、寸前で避ける。
 
「ヨーイチ君、勝てたよね。ズバッと斬れたよね!」
「ズバッと斬れそうだったけど、あそこで斬っちゃうとダイアーの奴、絶対納得しないだろうなって」
「それはウチの家の問題や! コンテスト優勝せんと借金も返せへんの忘れてない!?」
「…………あっ」
「アホーーー!!」
 
 ルビィが頭を抱えるが、テッカンは特に気にせず酒を飲んでいる。
 
「ヨーイチ……済まなかったな」
「いえ……」
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