セカンド人生は動く鎧になって冒険者生活!?

ゆめのマタグラ

文字の大きさ
上 下
17 / 93
第3話 鍛冶師たちとの出会い

3.鍛冶職人テッカン

しおりを挟む

 俺はステラと、何故か一緒に居たさっきの女の子と合流した。
 
「彼女はルビィ。私が冒険者を始めた頃に世話になった鍛冶師の娘さんだ」
「はいウチがルビィです。いやぁ、さっきのお強い鎧さんがまさかステラの彼氏とは、ほんまびっくりやなー」
「そう見えるか? ん?」
「イタ――痛い痛い痛い頭掴むな!」
「ははは、ただの冒険者仲間だよ。同じギルドだから一応先輩後輩になるよな」
 
 ステラはルビィの頭を片手で握り締めながら持ち上げているが、こちらを向くと――。
 
「そうだな」
 
 と、素っ気なく答えた。

(えっ、俺なんか間違った事言ったかな)

「ここが我が家ですわー。実は王都から戻って来たのもつい先週で……父ちゃん、お客さんやー」
 
 今更だがルビィの似非関西弁……実にグッド。なんか癖になる。
 
「お邪魔しまーす」
「邪魔するなら帰ってーな」
「はい、さよならー」
 
 1回入って即出て見る。
 
「ってなんでやねん!」
「そうそうこれこれ」
 
 この世界にもノリツッコミの文化はあるようで。安心した所で本題に入る。
 
「なんだ騒がしいな。ルビィ、帰ったのか?」
 
 改めて中に入ると、年季の入った鍛冶屋の工房がそこにはあった。
 壁や床は石張で、壁に色んなハンマーや道具が吊られている。カマドもある。さらに奥は住居になっているようだ。
 奥から出てきたのは――いわゆるドワーフだった。
 髪と一体化した立派な白い髭。背丈はルビィと同じくらいだ。貫禄のある顔立ちだが、袖から見える腕は筋肉の塊のよう。

(ん? という事はルビィもドワーフなのか?)
 
「親父さん、お久しぶりです」
「お? おぉステラじゃねーか。儂が打ってやった剣はどうだ?」
「すこぶる調子が良いです」
「そりゃ良かった。王都でもお前さんの噂は聞こえてきたぞ」
「ありがとうございます」
「ハイハイ立ち話もなんだし、奥入りなよ。茶入れたし」

  ◇◆◇◆◇◆◇

 
「……ところで、お加減は大丈夫なのですか?」
 
 若干ボロくなったテーブルに似つかわしくない高級そうなティーカップでお茶を頂く。紅茶とも日本茶とも違うが、この微妙な酸っぱさが美味しい。
 
「ん? そりゃもうバリバリに調子いいぞ。もう150超えたが、まだまだ若いもんに遅れは取っちゃいねぇ」
「しかしルビィが――」
「そうだ父ちゃん! あの件、思い切ってステラとヨーイチ君に頼んだ方がいいんじゃない?」
「バカ野郎! 身内の恥を余所様にベラベラと言うんじゃねぇ!」
「なぁにが身内の恥や! にっちもさっちもイカンくて、それで王都から逃げ出す羽目になったんやろが!」
「お、おい声がデケーぞ。お隣さんにも聞こえるだろうが」
「来月までに借金の金貨5000枚、どないせー言うんや!」
 
 ……俺とステラは思わず顔を見合わせた。

「「金貨5000枚!?」」

 ルビィが落ち着きを取り戻すと、テッカンはポツポツと語ってくれた。
 
 7年ほど前、王都の卸売り商人から宮邸鍛冶師にならないかと誘いを受けた。その人は王宮にも顔が利き、近年の魔物凶暴化や魔族残党狩りに対応する為、腕の良い職人に来て欲しいと王が漏らしていたのを聞いたという。
 当時は4人家族で食うには困らない生活をしていたが、職人として最高の環境で仕事をしたくなったのだ。
 
「それで王都での仕事は中々良いものだった。儂もこの歳で色んな知識を得る事が出来たし、職人としてさらなる高みに……」
「ごほん」
「で、王都では毎年武器コンテストを開催しているのじゃが――」

 そう言ってテッカンは、それまでの回想を語ってくれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~

岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。 順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。 そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。 仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。 その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。 勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。 ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。 魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。 そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。 事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。 その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。 追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。 これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。

大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。 ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。 主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。 マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。 しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。 主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。 これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...