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第1話 動く鎧になる俺
3.燃える美術館
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目の前に起こる惨劇に、俺は藻掻いていた
指も動かせないが、それでもだ。
(クソ鎧ッ! 何が勇者の鎧だ。こんなもん見せやがって……助けることも出来ないなんて!!)
『――a――es』
(動けよ、動けよ!! このポンコツが!)
『――え、す。しば……』
(動……誰かいるのか?)
どこかで、自分の隣で誰かの声がした気がした。
同時に自分の身体が、自分の意思外で動いている事に気付く。
胸元が開き、中から触手のようなケーブルがアムルを救い上げ、中へと収納した。
『――個体名、陽一のスキャンを完了。システム言語をニホンゴに書き換え完了。搭乗者、アムルの登録を開始します。成功』
(…………誰?)
『アムルの甚大な損傷を確認、修復プログラムを起動。成功――完了まで操作権限を陽一に移行します』
(――身体が、動く!?)
◇◆◇◆◇◆◇
「ひぇ……親分!?」
「なんだおめぇ……え?」
それはゆらりと立ち上がり、顔を上げて盗賊達を見据えていた。
「よ、鎧が、う、動いた!?」
「う、狼狽えるんじゃねぇ! ゴブリン共!!」
親分が命じると、4匹のゴブリン達は先ほどと同じように鎧を取り囲む。動きらしい動きを見せない俺に向かって、各々の獲物を振り下ろした。
「ギャッ」
「ピギャッ!?」
腰を屈め、一瞬にして放たれた拳打が前の2匹の顔面を潰した。
さらにそのまま振り返り様に上段蹴りで背後から飛びかかってきたゴブリンを文字通り“粉砕”する。
「「!?」」
声もなくバラバラになったゴブリン達が散らばる。
その様子を見た盗賊達は顔を青ざめ、我先に逃げ出した。
「ひ、ひぃぃぃ」
「バケモンだ!!」
「あ、てめぇら待ちやがれ!」
親分の静止も聞かずに逃げ出し、誰かが落としたのだろう。落ちたランタンから油へと引火する。
「クソがっ。こんなの聞いてねぇぞ!」
運び出されていなかった梱包された彫像をこちらへ投げつけ、咄嗟に俺は抱きかかえた。
「これでも食らっとけ!」
親分が何か、赤い宝石のようなモノを投げつけてきた。
それは彫像へ当たると、一瞬で光と爆発を放った。
ただの人間であるならば粉々に吹き飛ぶような威力。その粉塵に紛れて親分が逃げようとしているのを、俺は”視”ていた。
彫像は粉々になったが、この鎧は無傷だった。
そして、その場で飛び上がり、天井を蹴って親分の目の前に立ち塞がる。
今度は加減した1撃を顔面にお見舞いする。
「ぐえっ」
蛙の潰れたような声を出し、親分は窓を突き破り外へ吹っ飛んでいった。
火はどんどん燃え上がり、俺は急いで扉から廊下へ、廊下から階段へと移動していく。
「……ッ」
階段のすぐ側に、胸の辺りを切り刻まれた管理人の爺さんがそこにいた。
既に息を引き取っていたが、俺は爺さんを抱えると、そのまま窓を突き破って外へと飛び出した――。
俺は、初めて外の世界へと出るのだった――。
指も動かせないが、それでもだ。
(クソ鎧ッ! 何が勇者の鎧だ。こんなもん見せやがって……助けることも出来ないなんて!!)
『――a――es』
(動けよ、動けよ!! このポンコツが!)
『――え、す。しば……』
(動……誰かいるのか?)
どこかで、自分の隣で誰かの声がした気がした。
同時に自分の身体が、自分の意思外で動いている事に気付く。
胸元が開き、中から触手のようなケーブルがアムルを救い上げ、中へと収納した。
『――個体名、陽一のスキャンを完了。システム言語をニホンゴに書き換え完了。搭乗者、アムルの登録を開始します。成功』
(…………誰?)
『アムルの甚大な損傷を確認、修復プログラムを起動。成功――完了まで操作権限を陽一に移行します』
(――身体が、動く!?)
◇◆◇◆◇◆◇
「ひぇ……親分!?」
「なんだおめぇ……え?」
それはゆらりと立ち上がり、顔を上げて盗賊達を見据えていた。
「よ、鎧が、う、動いた!?」
「う、狼狽えるんじゃねぇ! ゴブリン共!!」
親分が命じると、4匹のゴブリン達は先ほどと同じように鎧を取り囲む。動きらしい動きを見せない俺に向かって、各々の獲物を振り下ろした。
「ギャッ」
「ピギャッ!?」
腰を屈め、一瞬にして放たれた拳打が前の2匹の顔面を潰した。
さらにそのまま振り返り様に上段蹴りで背後から飛びかかってきたゴブリンを文字通り“粉砕”する。
「「!?」」
声もなくバラバラになったゴブリン達が散らばる。
その様子を見た盗賊達は顔を青ざめ、我先に逃げ出した。
「ひ、ひぃぃぃ」
「バケモンだ!!」
「あ、てめぇら待ちやがれ!」
親分の静止も聞かずに逃げ出し、誰かが落としたのだろう。落ちたランタンから油へと引火する。
「クソがっ。こんなの聞いてねぇぞ!」
運び出されていなかった梱包された彫像をこちらへ投げつけ、咄嗟に俺は抱きかかえた。
「これでも食らっとけ!」
親分が何か、赤い宝石のようなモノを投げつけてきた。
それは彫像へ当たると、一瞬で光と爆発を放った。
ただの人間であるならば粉々に吹き飛ぶような威力。その粉塵に紛れて親分が逃げようとしているのを、俺は”視”ていた。
彫像は粉々になったが、この鎧は無傷だった。
そして、その場で飛び上がり、天井を蹴って親分の目の前に立ち塞がる。
今度は加減した1撃を顔面にお見舞いする。
「ぐえっ」
蛙の潰れたような声を出し、親分は窓を突き破り外へ吹っ飛んでいった。
火はどんどん燃え上がり、俺は急いで扉から廊下へ、廊下から階段へと移動していく。
「……ッ」
階段のすぐ側に、胸の辺りを切り刻まれた管理人の爺さんがそこにいた。
既に息を引き取っていたが、俺は爺さんを抱えると、そのまま窓を突き破って外へと飛び出した――。
俺は、初めて外の世界へと出るのだった――。
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