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第1話 動く鎧になる俺
1.プロローグ
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夢を見ている。
それは俺の生前の姿だ。
地面に伏しているスーツ姿の青年、腹には大きな穴が開いていて、大量の血が地面を濡らしている。
周りの人間もそれに驚き、悲鳴を上げ――。
その様子を空から見る俺――。
俺はある日突然、空から降ってきた剣に貫かれ、そのまま空へと引き上げられたのだ。
肉体だけがそこに残り、魂のみが引き上げられ――。
(……はぁ)
◇◆◇◆◇◆◇
そこで意識が覚醒したが、相変わらず状況は変わらなかった。
俺の“今の”身体は、血の通わない金属の鎧であり、そして身動き1つ取れないのであった。
そこは古い美術館かどこかの展示場なのだろう。
他にも彫刻や絵画なのが飾られているのが見える。
身動きも出来ない、喋ることも出来ないが寝ることは出来た。
人の寝るとはちょっと違うかもしれないが、それで夢を見ることもある。
(暇だ。もう何年経ったんだっけ)
当然、俺は暇だからといって正確に秒数を数えることなんできない(ちょっとやったけどすぐ飽きた)し、分かるはずもない。
「よいしょっと」
目の前に1人の少女が埃落しと椅子を持ってきた。
「よーし今日も綺麗にしましょうね~」
そう言って彫刻などを軽くはたいていく。
特徴的な亜麻色のポニーテールは、愛らしい表情の少女とよく似合っている。
この少女はこの美術館の管理人の孫らしく、今年から掃除を手伝っているらしい。
今年で7歳らしく利発そうな子だ。全部ここで爺さんと父親が話していた情報である。
「勇者様もピカピカにしましょうねー」
彫像はどうやら昔の勇者らしい。そして俺の身体をはたいていく時もそう呼ばれるので、どうやら俺は勇者の着ていた鎧とかそんな感じらしい。
「はい。どうですかお客さん、綺麗になりましたか?」
いつの間にか客にされている。しかし少女がこちらへ手鏡を向けてくれたおかげで顔も把握できた。
(うーん、カッコイイな俺)
白と金色を基調としたそれでいて無駄もないデザインだ。
大柄のようにも見えるが、これを着ていた勇者とはそんなに大男だったのだろうか。
少女が椅子に登ってもまだ顔まで距離がありそうだ。2mくらいだろうか。
「アムルや。おーい」
「あ、お爺ちゃん!」
元気よく駆け出し爺さんの下へ走っていくアムルの背中を目線(?)で追いかける。
大体こんな感じの日常のおかげで時間経過はなんとなく分かってきた。
俺はまた少し、寝る事にした。
◇◆◇◆◇◆◇
ある日は赤いロングヘアーの少女と短髪の少年が、髭面の老けた父親に連れられて見学に来た。
2人とも少し大きめの鎧を着ていた。少女は俺をのぞき込むように熱心に。少年は退屈そうにこちらを観ていた。
だが俺の声は届かなかった――。
◇◆◇◆◇◆◇
またある日は、背の低い亜麻色のポニーテールが目立つオーバーオールの少女と、同じ背丈のおっさんだ。もしかしてドワーフとかそういう種族がいるのか。
しかし俺の声は届かない。
そんな動かない鎧の生活も何日も続けば、眠りも深く行うようになった。
そして、次に目を覚ました時は――。
それは俺の生前の姿だ。
地面に伏しているスーツ姿の青年、腹には大きな穴が開いていて、大量の血が地面を濡らしている。
周りの人間もそれに驚き、悲鳴を上げ――。
その様子を空から見る俺――。
俺はある日突然、空から降ってきた剣に貫かれ、そのまま空へと引き上げられたのだ。
肉体だけがそこに残り、魂のみが引き上げられ――。
(……はぁ)
◇◆◇◆◇◆◇
そこで意識が覚醒したが、相変わらず状況は変わらなかった。
俺の“今の”身体は、血の通わない金属の鎧であり、そして身動き1つ取れないのであった。
そこは古い美術館かどこかの展示場なのだろう。
他にも彫刻や絵画なのが飾られているのが見える。
身動きも出来ない、喋ることも出来ないが寝ることは出来た。
人の寝るとはちょっと違うかもしれないが、それで夢を見ることもある。
(暇だ。もう何年経ったんだっけ)
当然、俺は暇だからといって正確に秒数を数えることなんできない(ちょっとやったけどすぐ飽きた)し、分かるはずもない。
「よいしょっと」
目の前に1人の少女が埃落しと椅子を持ってきた。
「よーし今日も綺麗にしましょうね~」
そう言って彫刻などを軽くはたいていく。
特徴的な亜麻色のポニーテールは、愛らしい表情の少女とよく似合っている。
この少女はこの美術館の管理人の孫らしく、今年から掃除を手伝っているらしい。
今年で7歳らしく利発そうな子だ。全部ここで爺さんと父親が話していた情報である。
「勇者様もピカピカにしましょうねー」
彫像はどうやら昔の勇者らしい。そして俺の身体をはたいていく時もそう呼ばれるので、どうやら俺は勇者の着ていた鎧とかそんな感じらしい。
「はい。どうですかお客さん、綺麗になりましたか?」
いつの間にか客にされている。しかし少女がこちらへ手鏡を向けてくれたおかげで顔も把握できた。
(うーん、カッコイイな俺)
白と金色を基調としたそれでいて無駄もないデザインだ。
大柄のようにも見えるが、これを着ていた勇者とはそんなに大男だったのだろうか。
少女が椅子に登ってもまだ顔まで距離がありそうだ。2mくらいだろうか。
「アムルや。おーい」
「あ、お爺ちゃん!」
元気よく駆け出し爺さんの下へ走っていくアムルの背中を目線(?)で追いかける。
大体こんな感じの日常のおかげで時間経過はなんとなく分かってきた。
俺はまた少し、寝る事にした。
◇◆◇◆◇◆◇
ある日は赤いロングヘアーの少女と短髪の少年が、髭面の老けた父親に連れられて見学に来た。
2人とも少し大きめの鎧を着ていた。少女は俺をのぞき込むように熱心に。少年は退屈そうにこちらを観ていた。
だが俺の声は届かなかった――。
◇◆◇◆◇◆◇
またある日は、背の低い亜麻色のポニーテールが目立つオーバーオールの少女と、同じ背丈のおっさんだ。もしかしてドワーフとかそういう種族がいるのか。
しかし俺の声は届かない。
そんな動かない鎧の生活も何日も続けば、眠りも深く行うようになった。
そして、次に目を覚ました時は――。
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