上 下
21 / 73
彼女の失われた青春

彼女の失われた青春④

しおりを挟む
 季節は過ぎ去り……私たちは二年生に進級した。
 あれからわたしと昴は毎日のように遊びに行き、時々ケンカもしたけどまるで姉妹みたい!とクラスから言われるくらいには仲良しだった。
 わたしも昴も一年生の頃とは違いクラスに打ち解けることができて、充実した毎日を過ごしていた。

 そうして訪れた中学校生活二度目の夏休みは毎日友達と遊んだり家族とプチ旅行に出掛けたりとかなり青春していた。そんな楽しい夏休み最終日には、地元では有名な大きい夏祭りがあり……その日は昴と一緒に回ることになっていた。


 ーーー夏休み最終日ーーー
「おっそ~い!」

 わたしは集合に遅れてきた親友に不満を垂れていた。

「由依が来るの早すぎるんだよ……まだ集合5分前だよ!」

 わたしの親友である暁 昴あかつきすばるはそんなことを言う。

「30分前行動は当たり前のことだよ!だから5分前はおそいよ~」
「そ、そんなことより早く回ろうよ!」
「まあ……そうだね!」

 上手く話を反らされた気もするが、わたしも早く回りたかったので屋台に向かうことにした。


「ひとが……ひとがたくさん……うっ、気持ち悪くなってきたかも」

 昴が金魚すくいの列に並んでいるとそんなことを言ってきた。

「昴が気持ち悪くなってるのって、単純に食べ過ぎじゃない?」
「いやいや、まだ屋台コンプリートしてないからそんなに食べてない……うっ」
「屋台コンプは無理でしょ!てかそんな野望を持ってたなんて……」

 わたし達がなんとも女子らしくない会話をしていると順番が回ってきた。

「金魚すくいなんて楽勝ね!」

 わたしは5匹目の金魚をすくいながらそう言った

「む、わたしだって楽勝だし!……おじさん、もう一回……」

 隣では昴が本日6個目のブイをもらっていた……ちなみにまだ一匹もすくえていない(……本当に運動神経がないよね……)
 

 金魚すくいが終わってからわたし達は、花火会場に向かって歩いていた。
 ちなみに昴はあの後も金魚をすくえず……お情けでもらった金魚を大事そうに抱えていた。

「ねえねえ昴!まだ、わたがし食べてないからちょっと並ばな……い?」

 さっきまでわたしの隣にいた昴がいなくなっていた……

「って、この年で迷子~!!!」

 昴は迷子になっていた。
 

 わたしは仕方なく昴を探していたのだが、中々見つからないでいた。
すると、後ろから声をかけられた

「ねえ~きみ~もしかして一人?よかったら俺たちと遊ばない~?」

 高校生くらいだろうか……いかにもチャラチャラしてる男子三人組に絡まれてしまった。

「いえ、友達と来てるんで結構です!」

 わたしはそう言って昴を探しに行こうとしたのだが……

「じゃあさ~その友達も一緒に遊ぼうよ~」

 真ん中に立っていたリーダー格の男子がわたしの腕をつかんでそう言ってきた。

「ちょっ!はなしてよ!」
「そんなこと言わないでさ~」

 わたしは逃げられずにどうしようかと考えていると……

「お!こんなところにいたのかよ!早く行こうぜ!」

 わたしと同い年くらいの男子がそんなことを言って入ってきた

「お前誰だよ?」

 三人組の一人が言う 

「あっ?こいつの連れだよ……文句あんのか?」

 突然入ってきた男子がそう言う(……優しそうな顔なのに口悪いなぁ)

「ちっ、彼氏持ちかよ!行こうぜ~」

 そう言って三人組はどこかにいってしまった。

「まったく……一人で祭りに来るなんて危ないぞ?」

 わたしを助けてくれた男子はそんなことを言う

「一人じゃないし!友達が迷子になってるから探してるの!」

 何故かわからないけど、わたしは少し強い口調でそう言ってしまった。

「なんだ、迷子か!それなら俺も一緒に探すよ!……ちょうど俺も迷子だしな!」

 (……何だか頼りないなぁ)


 よくわからないけど、わたしはその男子と一緒に昴を探すことになった

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

ある公爵の後悔

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
王女に嵌められて冤罪をかけられた婚約者に会うため、公爵令息のチェーザレは北の修道院に向かう。 そこで知った真実とは・・・ 主人公はクズです。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

処理中です...