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彼の怠惰な夏休み

彼の怠惰な夏休み⑦

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「飛翔さん、あまり見られると恥ずかしいです……」
「わ、わりい……」

 青葉邸リビングには、なんとも言えない気まずい空気が漂っていた。それもそのはずで、裸(俺たちの説得により下着だけは着けている)の男女三人が同じ部屋にいるのだ。

 最初は、ただ突っ立っているだけだったのだが、昴がポーズを指定してきて今は、俺がソファーの上で仰向けに寝っ転がりその上に栞がこちらを向いて乗っかっている。数センチ前に栞の綺麗な顔があるし、栞が気遣って俺に触らないよう隙間に手足を置いているのだが、置いてる場所が問題で股の近くに足があるし手も顔の隣と脇の下に置いてあって、俺の理性がもう色々とヤバイ……

「ご、ごめんなさい!」

 手が俺のお腹に少しだけ当たり栞は、顔を真っ赤にして謝ってくる。

「お、おう……」
「(は、恥ずかしい……頭おかしくなりそう……)」

 栞は、そんなことをブツブツと言っている。栞がいつもと違って普通に恥ずかしがるので、俺も恥ずかしくなってしまう。いつもなら「どうです~?これで確実に悩殺ですよ~!」とか言ってくるのに……それに、ただでさえ俺は、昨日栞が言っていた言葉のせいで、コイツのこと意識しちゃってるからドキドキしまくっている。……ここで、栞が「好き」なんて言い出したら落ちる自信しかない。俺、チョロすぎだな……

 俺がそんなことを考えながら何とか理性を押さえ込んでいると……

「(……ハァ……ハァハァ……もうこのまま抱きついてもいいよね?……やっぱりダメ!わたしは、絵のモデルをしているんだからそんな邪な考えを持ったら……でも、さっきから飛翔さんわたしの胸ばっか見てるから、別に抱きついても……いや、ダメだ……)」

 栞が思考駄々漏れでヤバイことを呟いていた。……コイツやっぱり変態だなぁ、それから別にそんなに胸見てませんから!いや、少しは、見てたけど……

「お前、聞こえてるぞ」
「!?〇∞%#☆★☆●◇!!!」
「落ち着けよ、お前が変態なことは分かってるから大丈夫だ」
「べ、別に変態じゃないですし~ちょっと積極的なだけですよ」
「ようやくいつものお前だな」
「変態がいつものわたしって……」

 栞が少しだけ落ち込んでいるように見えたが、俺も栞もいつもの調子を取り戻しそこからは、あまり恥ずかしくなくなり普通に絵のモデルをこなした。


 
 
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