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第八章 お披露目会の後始末
その7 レベル1から始める全力魔法
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7
『ここでは魔法を使っても、外に影響が出ないようにシールドしてあるの。さあ、全属性のアイリスちゃん。こころおきなく、ぶっ放して!』
ものすごくサファイアさんらしい暴言です。
あたし、アイリス・リデル・ティス・ラゼルは、魔法の使い方がよくわかっていないってことを、サファイアさんに説明したの。
「レベルがまだ『1』なんです!」
「ああ、それねー」
サファイアさんはなぜか視線を泳がせた。
あれ? レベルがあがらなかったのは、なにか事情があるの?
「ごめんね、説明遅れちゃって。これまではチュートリアルだったの。アイリスちゃんの『お披露目』も済んだことだし、シロとクロも帰ってきたし。そろそろ本格的にやりましょうね」
「チュートリアル!? そんなあ。エステリオ叔父さまから教わった魔法の理論、ティーレさん伝授の肉体強化っていうか普通に体力づくりと、サファイアさん直伝の『魔力を纏わせたこぶしで殴る』って、けっこうハードな授業だったんですけど!」
幼女にはついてけない。
それでもレベルは1のまま……。
「今までは守護精霊がいたからなのよ」
「え?」
「ふつうはねー、守護精霊がついてたらラッキーなんだけど。アイリスちゃんは……規格外だからねー」
「そこで納得しないでください~! 説明求めます!」
「アイリスちゃんは全属性あるから。守護精霊は、光、風、水、土でしょ。これもまぁ、十分すぎるくらい、すごいけどね。守護精霊に助けられてるからレベルが上がらなかったとも言えるわけなの」
「助けられているから?」
「そうそう。困ったことに、過保護なのよー彼ら。ヒトは自力で苦労しないとレベル上げできないのにねー」
「……あー、納得しました……」
「だから、守護精霊たちが卵に戻って離れている今が、一から鍛えなおす、いい機会なの!」
「あたし……甘えてたんですね……」
守護精霊たちに助けられて、家族に守られて、カルナックさまからもシロとクロを貸していただいて、ぬくぬくとしていた。その間、経験を積めなくてレベルが上がらなかった。
よーく考えて、思い返してみた。
「思い返してみました。サファイアさん。あたし、守護精霊さんたちには、感謝しかありません。みんなに守られていなかったら、きっと、今頃は生きてなかったですもの」
だから。
ありがとう、シルル、イルミナ、ディーネ、ジオ。
あたしを守って、そのあげくに、消えてしまうかもしれないってわかってて、世界の一番深いところまで、助けをもとめに行ってくれた。力を使い果たして、卵に戻ってしまって。
「うんうん、やっぱりアイリスちゃんはステキね!」
サファイアさんは、にんまり笑った。
「じゃあ始めましょうか! 守護精霊たちが孵化して、再会できたときに、前より強くなったところを見てもらいたいでしょ?」
「はいっ!」
特訓開始です!
※
「この世界(セレナン)では、世界の構成要素は、火・水・風・土・光・闇・木。アイリスちゃんは前世の記憶持ちの『先祖還り』だからわかるんじゃない? 端的に言うと四大元素に五行思想が加わって、ファンタジーのお約束の光と闇を足したようなもの。ここまではエステリオ・アウルに教わってるかしら?」
「教わりましたけど……あ、あまり、よくは……むずかしくて」
「ああ、そっか。アイリスちゃんは、まだ六歳の幼女だったわね」
ごめんなさい、とサファイアさんは笑った。
「ときどき忘れちゃうのよねー幼児だってこと」
「忘れないで、ください……」
「じゃ、理論は後回しで、実践しましょ!」
サファイアさんが言うと『実践』が『実戦』に聞こえるのは、あたしの気のせいかしら……。
「まずは攻撃魔法の、でっかいのからね! ばばーんと大盤振る舞いで!」
……気のせいじゃ、なかった。
『ここでは魔法を使っても、外に影響が出ないようにシールドしてあるの。さあ、全属性のアイリスちゃん。こころおきなく、ぶっ放して!』
ものすごくサファイアさんらしい暴言です。
あたし、アイリス・リデル・ティス・ラゼルは、魔法の使い方がよくわかっていないってことを、サファイアさんに説明したの。
「レベルがまだ『1』なんです!」
「ああ、それねー」
サファイアさんはなぜか視線を泳がせた。
あれ? レベルがあがらなかったのは、なにか事情があるの?
「ごめんね、説明遅れちゃって。これまではチュートリアルだったの。アイリスちゃんの『お披露目』も済んだことだし、シロとクロも帰ってきたし。そろそろ本格的にやりましょうね」
「チュートリアル!? そんなあ。エステリオ叔父さまから教わった魔法の理論、ティーレさん伝授の肉体強化っていうか普通に体力づくりと、サファイアさん直伝の『魔力を纏わせたこぶしで殴る』って、けっこうハードな授業だったんですけど!」
幼女にはついてけない。
それでもレベルは1のまま……。
「今までは守護精霊がいたからなのよ」
「え?」
「ふつうはねー、守護精霊がついてたらラッキーなんだけど。アイリスちゃんは……規格外だからねー」
「そこで納得しないでください~! 説明求めます!」
「アイリスちゃんは全属性あるから。守護精霊は、光、風、水、土でしょ。これもまぁ、十分すぎるくらい、すごいけどね。守護精霊に助けられてるからレベルが上がらなかったとも言えるわけなの」
「助けられているから?」
「そうそう。困ったことに、過保護なのよー彼ら。ヒトは自力で苦労しないとレベル上げできないのにねー」
「……あー、納得しました……」
「だから、守護精霊たちが卵に戻って離れている今が、一から鍛えなおす、いい機会なの!」
「あたし……甘えてたんですね……」
守護精霊たちに助けられて、家族に守られて、カルナックさまからもシロとクロを貸していただいて、ぬくぬくとしていた。その間、経験を積めなくてレベルが上がらなかった。
よーく考えて、思い返してみた。
「思い返してみました。サファイアさん。あたし、守護精霊さんたちには、感謝しかありません。みんなに守られていなかったら、きっと、今頃は生きてなかったですもの」
だから。
ありがとう、シルル、イルミナ、ディーネ、ジオ。
あたしを守って、そのあげくに、消えてしまうかもしれないってわかってて、世界の一番深いところまで、助けをもとめに行ってくれた。力を使い果たして、卵に戻ってしまって。
「うんうん、やっぱりアイリスちゃんはステキね!」
サファイアさんは、にんまり笑った。
「じゃあ始めましょうか! 守護精霊たちが孵化して、再会できたときに、前より強くなったところを見てもらいたいでしょ?」
「はいっ!」
特訓開始です!
※
「この世界(セレナン)では、世界の構成要素は、火・水・風・土・光・闇・木。アイリスちゃんは前世の記憶持ちの『先祖還り』だからわかるんじゃない? 端的に言うと四大元素に五行思想が加わって、ファンタジーのお約束の光と闇を足したようなもの。ここまではエステリオ・アウルに教わってるかしら?」
「教わりましたけど……あ、あまり、よくは……むずかしくて」
「ああ、そっか。アイリスちゃんは、まだ六歳の幼女だったわね」
ごめんなさい、とサファイアさんは笑った。
「ときどき忘れちゃうのよねー幼児だってこと」
「忘れないで、ください……」
「じゃ、理論は後回しで、実践しましょ!」
サファイアさんが言うと『実践』が『実戦』に聞こえるのは、あたしの気のせいかしら……。
「まずは攻撃魔法の、でっかいのからね! ばばーんと大盤振る舞いで!」
……気のせいじゃ、なかった。
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