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第七章 アイリス六歳
その15 六歳の誕生日です
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15
気が付いたら窓の外は明るかった。
枕元でシロとクロは「わふわふ!」「ぐるるる!」と鳴きながら頭を押しつけてくる。
「おはよーあいりす」
「あさ! ごちそう!」
パオラさんとパウルくんは、目をキラキラさせてる。もう起きて部屋中を駆け回っている。
「こら、パオラ、パウル、落ち着け」
ルビーさんが追いかけてつかまえる。
「あのね、今日一番大事なのは、御馳走じゃないのよ」
こう言ったのは、サファイアさん。
「ちがうの?」
「ごはん、だいじよ?」
首をこてんとかしげる、二人。
「うん、ごはんは大事だけどね」
あたし、アイリスは、そのやり取りを耳にしながら、起き上がる。
『『『『おはよう! 今日がアイリス六歳の誕生日で、お披露目だね!』』』
『『『『とびきりの光の粉をあげる!』』』』
守護精霊さんたちは妖精の姿で飛び回り、あたしと、双子に、盛大に粉をふりかけてくれた。
「おはよう! みんな、いいお天気ね!」
いよいよ今日が六歳の誕生日だから、昨夜はワクワクして、なかなか眠れなかった。
だからもう一晩中起きてようと思ってたのに。
結局、いつの間にか寝てたみたい。
きょうは、いよいよ!
一生に一度の大イベント!
お披露目の晩餐会がある日です!
「さあ、アイリスちゃん。まずは朝ご飯の為のお着替えよ」
「今日は、客がいないのは朝食のときだけだからな。まだ、リラックスしてていいぞ」
魔導師協会から派遣されてる、専属護衛メイドでもあるサファイアさんとルビーさんが、あたしと、パオラさん、パウルくんの着替えをさせてくれる。
「あたし六歳になったのよ、そろそろ一人でもお着替えしたほうがよくない?」
「どうかしらねえ。後ろで結ぶリボンは、わたしにお任せ。ほうら綺麗にできた!」
「それにこの双子は、腕力のある、あたしでないとな!」
「やっぱり、サファイアさんとルビーさん、とっても頼もしいわ! いつもありがとう!」
「ね、そうでしょ?」
「頼りにしてくれ!」
※
食堂には、大きな長いテーブルに真っ白なクロスがかけられて、お父さま、お母さま、エステリオ叔父さまも、すでに揃っていた。
「おはようアイリス。無事に六歳の誕生日を迎えられて嬉しいよ」
「ほんとうに、夢のようだわ」
「誕生日おめでとう、アイリス」
「ありがとうございます、お父さま、お母さま。エステリオ叔父さま」
いつもの朝食メニューが運ばれてくる。
スープと野菜のサラダ。
コールドチキンとベーコンエッグと豆の煮物。
紅茶と果物のジュース。
和やかに会話が弾む。
よい天気でよかったとか。
お披露目は午後のお茶会に始まって晩餐会に移行する段取りだけど、気の早いお客様も多いだろうとか。
そのため昼食にサンドイッチを出す用意もしておくとか。
雑談しながら、打ち合わせることもたくさんあるの。
「ああ……それにしても、なんて幸せなのかしら」
お母さまは、うっとりと言った。
「アイリスが無事に六歳の誕生日を迎えられて、お披露目をできるなんて」
あたしも、すごく嬉しい!
朝食のあとは、本格的に、お披露目のしたくに取りかかる。
有能な執事のバルドルさん、一流のハウスキーパーであるメイド長のエウニーケさん指揮のもと、働いてくれている大勢の人たちが準備に大わらわ。
館の清掃、飾り付け。
お茶とお菓子、お料理、食器、百人程度は来てくださるはずのお客さまの待合室、お土産などは、もちろん前々から準備ばんたん、できている。
だけど、みんな気持ちが高ぶってるし焦ってる感じ。
家人一同が張り切ってます。
代々続いた、ラゼル本家なら、慣習となっている行事なのだろうけど。
お父様やエステリオ叔父さんのときは、ヒューゴーお爺さまが差配されたそう。
ヒューゴーお爺さまは、現在は隠居されて郊外の別荘にお住まいなの。
お父さまは、いろいろと考え方の違い、事業方針にも思う所があって、お爺さまと仲違いした。
お爺さまは怒って家を出て郊外の別荘に移ったらしいの。使用人のほとんどを引き連れて。
エステリオ叔父さまは、お父さまと一緒に残った。
お父さまがお母さまと結婚するよりも前のこと。
それで、あたしはヒューゴーお爺さまに会った記憶がないのね。
朝食のあと、あたしはいったん子ども部屋に戻った。
お父さまとお母さま、エステリオ叔父さまは、昼食と午後のお茶会、それになんといってもお披露目の晩餐会の準備があって、とても忙しそう。
ルイーゼロッテさんが、あたしと、パオラさん、パウルくんのぶんも、お披露目のドレスを用意して、届けさせてくださっていたのを、意外と腕力のあるエウニーケさんが運んでくれた。
ルイーゼロッテさん御本人は、別のところで御用事があるらしいの。ちょっと残念。
ドレスを着たところ、見てもらいたかったの。
「さあさあ、ちびっこども!! サンドイッチをもらってきたぞ」
昼時より少し前に、ルビーさんがお盆を持って来た。
「今のうちに食っとかねえと、食いっぱぐれちまうぞ」
「ルビー、言葉遣いに気を付けなさい。お嬢様はともかくパオラとパウルが変なこと憶えちゃったらどうするのよ。極東の国『扶桑』からの、大切なお客様なんだから。カルナックお師匠様に怒られても知らないわよ」
飲み物をワゴンで運んできたサファイアさんが注意する。
「うへえ。そりゃ困るな!」
「ちっとも困ってなさそうよ!」
そんなこんなで、お昼は子どもたちだけで食べることになったの。
サンドイッチも、すごく美味しくて、二人はお腹一杯に詰め込んでた。
「晩餐会のごちそうも、まだこれからなのに」
「だいじょぶ!」
「まだ食べる、へいきよ」
なんて、言い張ってたけれど、パオラさんと、パウルくんは、きっと早朝から起きていたせいだろう、食べ疲れて寝てしまった。
ローサ、サファイアさん、ルビーさんが部屋に詰めてくれていたけど、台所も忙しいようで、ローサはキッチンのお手伝いのために呼ばれて行ってしまった。
「さあて、これでやっと、真面目なお話しができるわね」
サファイアさんの表情が、少し、こわいです!
「まじめな、おはなし?」
ふいに、気温が、確実に下がった。
背筋が寒くなった。
もう、暖炉に火を入れなくてもいいくらい、暖かい日の、はずなのに。
「ところでアイリスちゃん、エステリオが幼い頃、誘拐された事件のこと知ってる?」
サファイアさんは、不思議な……真新しい銅のような金茶色の瞳をしていた。
本来は黒い目なのよ!?
魔力が、溢れ出てる……?
「ええええっ!? 叔父さまが!」
知らない、とまでは、口にするまでもなかった。
ルビーがうなずく。
「やっぱりね。まあアイリス嬢は、まだ幼いし。メイドたちも、知らない者が多かったな。ここのメイドは事件の後で新しく雇われた者が、ほとんどだ」
腕組みをした、ルビーさんの瞳の色は、いつもの若草色から、淡い水色に変わっている。
「エステリオ・アウルは、四歳の誕生日に自宅で行われたお披露目の会場から、誘拐されたのよ」
つとめて柔らかい声音で、サファイアは、ゆっくりと言葉を紡いだ。
でも、事実は、歴然としていて。
ゆうかい? エステリオ叔父さま、が?
「…………」
あたしは、何も、言えなかった。
息が、出てこないよ!
「見つかったのは、半年後だった。エステリオは、この大陸のいくつかの国に巣くっていた人身売買組織によって、レギオン王国の、とある貴族に売られていたの」
「売られた!?」
「そしてね、事件を調査したのは魔導師協会だった。カルナックお師匠様の指揮で、わたしとティーレのチームが、エステリオ・アウルの売られた先を突き止めて、救出したのよ」
気が付いたら窓の外は明るかった。
枕元でシロとクロは「わふわふ!」「ぐるるる!」と鳴きながら頭を押しつけてくる。
「おはよーあいりす」
「あさ! ごちそう!」
パオラさんとパウルくんは、目をキラキラさせてる。もう起きて部屋中を駆け回っている。
「こら、パオラ、パウル、落ち着け」
ルビーさんが追いかけてつかまえる。
「あのね、今日一番大事なのは、御馳走じゃないのよ」
こう言ったのは、サファイアさん。
「ちがうの?」
「ごはん、だいじよ?」
首をこてんとかしげる、二人。
「うん、ごはんは大事だけどね」
あたし、アイリスは、そのやり取りを耳にしながら、起き上がる。
『『『『おはよう! 今日がアイリス六歳の誕生日で、お披露目だね!』』』
『『『『とびきりの光の粉をあげる!』』』』
守護精霊さんたちは妖精の姿で飛び回り、あたしと、双子に、盛大に粉をふりかけてくれた。
「おはよう! みんな、いいお天気ね!」
いよいよ今日が六歳の誕生日だから、昨夜はワクワクして、なかなか眠れなかった。
だからもう一晩中起きてようと思ってたのに。
結局、いつの間にか寝てたみたい。
きょうは、いよいよ!
一生に一度の大イベント!
お披露目の晩餐会がある日です!
「さあ、アイリスちゃん。まずは朝ご飯の為のお着替えよ」
「今日は、客がいないのは朝食のときだけだからな。まだ、リラックスしてていいぞ」
魔導師協会から派遣されてる、専属護衛メイドでもあるサファイアさんとルビーさんが、あたしと、パオラさん、パウルくんの着替えをさせてくれる。
「あたし六歳になったのよ、そろそろ一人でもお着替えしたほうがよくない?」
「どうかしらねえ。後ろで結ぶリボンは、わたしにお任せ。ほうら綺麗にできた!」
「それにこの双子は、腕力のある、あたしでないとな!」
「やっぱり、サファイアさんとルビーさん、とっても頼もしいわ! いつもありがとう!」
「ね、そうでしょ?」
「頼りにしてくれ!」
※
食堂には、大きな長いテーブルに真っ白なクロスがかけられて、お父さま、お母さま、エステリオ叔父さまも、すでに揃っていた。
「おはようアイリス。無事に六歳の誕生日を迎えられて嬉しいよ」
「ほんとうに、夢のようだわ」
「誕生日おめでとう、アイリス」
「ありがとうございます、お父さま、お母さま。エステリオ叔父さま」
いつもの朝食メニューが運ばれてくる。
スープと野菜のサラダ。
コールドチキンとベーコンエッグと豆の煮物。
紅茶と果物のジュース。
和やかに会話が弾む。
よい天気でよかったとか。
お披露目は午後のお茶会に始まって晩餐会に移行する段取りだけど、気の早いお客様も多いだろうとか。
そのため昼食にサンドイッチを出す用意もしておくとか。
雑談しながら、打ち合わせることもたくさんあるの。
「ああ……それにしても、なんて幸せなのかしら」
お母さまは、うっとりと言った。
「アイリスが無事に六歳の誕生日を迎えられて、お披露目をできるなんて」
あたしも、すごく嬉しい!
朝食のあとは、本格的に、お披露目のしたくに取りかかる。
有能な執事のバルドルさん、一流のハウスキーパーであるメイド長のエウニーケさん指揮のもと、働いてくれている大勢の人たちが準備に大わらわ。
館の清掃、飾り付け。
お茶とお菓子、お料理、食器、百人程度は来てくださるはずのお客さまの待合室、お土産などは、もちろん前々から準備ばんたん、できている。
だけど、みんな気持ちが高ぶってるし焦ってる感じ。
家人一同が張り切ってます。
代々続いた、ラゼル本家なら、慣習となっている行事なのだろうけど。
お父様やエステリオ叔父さんのときは、ヒューゴーお爺さまが差配されたそう。
ヒューゴーお爺さまは、現在は隠居されて郊外の別荘にお住まいなの。
お父さまは、いろいろと考え方の違い、事業方針にも思う所があって、お爺さまと仲違いした。
お爺さまは怒って家を出て郊外の別荘に移ったらしいの。使用人のほとんどを引き連れて。
エステリオ叔父さまは、お父さまと一緒に残った。
お父さまがお母さまと結婚するよりも前のこと。
それで、あたしはヒューゴーお爺さまに会った記憶がないのね。
朝食のあと、あたしはいったん子ども部屋に戻った。
お父さまとお母さま、エステリオ叔父さまは、昼食と午後のお茶会、それになんといってもお披露目の晩餐会の準備があって、とても忙しそう。
ルイーゼロッテさんが、あたしと、パオラさん、パウルくんのぶんも、お披露目のドレスを用意して、届けさせてくださっていたのを、意外と腕力のあるエウニーケさんが運んでくれた。
ルイーゼロッテさん御本人は、別のところで御用事があるらしいの。ちょっと残念。
ドレスを着たところ、見てもらいたかったの。
「さあさあ、ちびっこども!! サンドイッチをもらってきたぞ」
昼時より少し前に、ルビーさんがお盆を持って来た。
「今のうちに食っとかねえと、食いっぱぐれちまうぞ」
「ルビー、言葉遣いに気を付けなさい。お嬢様はともかくパオラとパウルが変なこと憶えちゃったらどうするのよ。極東の国『扶桑』からの、大切なお客様なんだから。カルナックお師匠様に怒られても知らないわよ」
飲み物をワゴンで運んできたサファイアさんが注意する。
「うへえ。そりゃ困るな!」
「ちっとも困ってなさそうよ!」
そんなこんなで、お昼は子どもたちだけで食べることになったの。
サンドイッチも、すごく美味しくて、二人はお腹一杯に詰め込んでた。
「晩餐会のごちそうも、まだこれからなのに」
「だいじょぶ!」
「まだ食べる、へいきよ」
なんて、言い張ってたけれど、パオラさんと、パウルくんは、きっと早朝から起きていたせいだろう、食べ疲れて寝てしまった。
ローサ、サファイアさん、ルビーさんが部屋に詰めてくれていたけど、台所も忙しいようで、ローサはキッチンのお手伝いのために呼ばれて行ってしまった。
「さあて、これでやっと、真面目なお話しができるわね」
サファイアさんの表情が、少し、こわいです!
「まじめな、おはなし?」
ふいに、気温が、確実に下がった。
背筋が寒くなった。
もう、暖炉に火を入れなくてもいいくらい、暖かい日の、はずなのに。
「ところでアイリスちゃん、エステリオが幼い頃、誘拐された事件のこと知ってる?」
サファイアさんは、不思議な……真新しい銅のような金茶色の瞳をしていた。
本来は黒い目なのよ!?
魔力が、溢れ出てる……?
「ええええっ!? 叔父さまが!」
知らない、とまでは、口にするまでもなかった。
ルビーがうなずく。
「やっぱりね。まあアイリス嬢は、まだ幼いし。メイドたちも、知らない者が多かったな。ここのメイドは事件の後で新しく雇われた者が、ほとんどだ」
腕組みをした、ルビーさんの瞳の色は、いつもの若草色から、淡い水色に変わっている。
「エステリオ・アウルは、四歳の誕生日に自宅で行われたお披露目の会場から、誘拐されたのよ」
つとめて柔らかい声音で、サファイアは、ゆっくりと言葉を紡いだ。
でも、事実は、歴然としていて。
ゆうかい? エステリオ叔父さま、が?
「…………」
あたしは、何も、言えなかった。
息が、出てこないよ!
「見つかったのは、半年後だった。エステリオは、この大陸のいくつかの国に巣くっていた人身売買組織によって、レギオン王国の、とある貴族に売られていたの」
「売られた!?」
「そしてね、事件を調査したのは魔導師協会だった。カルナックお師匠様の指揮で、わたしとティーレのチームが、エステリオ・アウルの売られた先を突き止めて、救出したのよ」
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