32 / 76
第三章 半透明で過保護な彼との、上手な仕事の進め方
32.初めての巡回(3)
しおりを挟む
戻ってきたフロイドの案内でララたちが向かった場所は、倉庫街と呼ばれる一角だった。通路を挟んで両脇に、同じような赤レンガの建物が延々と続いている。
大きな荷物を軽々と運ぶのは、袖を肩まで捲り上げたガタイの良い男性たちだ。
「周りの建物は、全て倉庫なのですか?」
ララが疑問を漏らせば、テオドールがすぐに教えてくれた。
「ああ。輸出入倉庫だ。船に積んで帰ってきた資源なんかを、ここで一定期間保管する」
「グラント卿はなんでもご存じなのですね」
「買い被りすぎだ。死んだから予定が狂ったが、そろそろこの辺にも顔を出そうと思ってたんだ。だから軽く情報は入れてた」
「あ、そういうことでしたか」
植物園についてもだが、テオドールは色々なことを調べているらしい。そうでなければ仕事にならないのだろう。
ララが納得したところで、倉庫から一人の男性が出てきた。ジャケットを羽織っており、他の従業員たちよりも整った身なりをしている。テオドールが言うには、男爵家の四男だそうだ。
だが彼の身分よりも、ララには気になることがあった。引きつりそうになる表情をなんとか誤魔化す。
(霊が、多い……)
男性が扉を開けた瞬間、倉庫から数人の霊が飛び出してきたのだ。
こんなにたくさんの霊を一度に見たのは久しぶりである。霊の容姿から他国の者が多いと思われるが、年齢や性別はバラバラだ。
小走りでこちらに来る男性に意識を集中させるものの、視界が非常に賑やかである。
「何か、事件でもあったのですか?」
イーサンと名乗った男性が呼吸を整えながら聞いた。糸のように細い目と背中に乗った霊が印象的である。彼は倉庫の管理を一部任せられているらしい。
やや不安そうなイーサンに、マックスはいつも通りの人懐っこい笑顔を向ける。
「驚かせてすみません。ちょうど近くを巡回してたので寄らせてもらっただけなんです」
事件ではないと分かり安心したのか、イーサンの表情がやわらいだ。マックスは相手の緊張を解すのが上手い。
「この辺は海が綺麗で眺めが最高ですね。町にも活気がありますし」
「そうでしょう? 夜は船の出入りや人通りが一気になくなって静かになるので、その違いもまた良いんですよ。他にも――」
朗らかに続くマックスたちの会話に耳を傾けるララだが、視界に入る霊がやはり気になる。
フロイドが会話に加わった隙に、ララは後ろを向いてテオドールに小声で話しかけた。
「グラント卿、怖くないですか?」
「何がだ?」
「霊ですよ、霊」
見慣れている自分ですら動揺する人数だ。王城でたまに霊とすれ違うくらいのテオドールには、刺激が強いはず。そう思ったのだが、彼からは予想とかけ離れた答えが返ってきた。
「霊? どこにいるんだ?」
テオドールは目を凝らすように眉間に皺を寄せる。
どこにも何も、霊ならその辺を飛び回っているではないか。ついでに言うと、先ほどからテオドール、フロイド、マックスの体を何度もすり抜けている。それなのにテオドールは、避けもしない。……つまり。つまりだ。
「もしかしてあなた、霊なのに霊が見えないのですか⁉︎」
「……ここに霊がいるなら、そうなんだろうな」
そんなことある? と、ララは絶句する。
彼が霊とすれ違っても無反応だったのは、興味がないだけだと思っていた。だからララも、特に何も言わなかったのだ。
まさか存在に気付いていなかったとは。
飛び回る霊たちもまた、テオドールを認識していないように見える。お互いに見えていないのだ。
(それなのにグラント卿は、私相手だと接触することも可能、……と)
「あなたは霊としての能力値の振り分けを、間違えたようですね……」
「悲しそうな顔で言うんじゃない」
テオドールが不貞腐れている。その様子が珍しくて、少し可愛いかも、なんて思ってしまう。言ったらさらに拗ねられるだろうから、黙っておこう。
「そもそも、君には霊がどんな風に見えてるんだ?」
「生きている人間とあまり変わりません。霊は空を飛んだり、物をすり抜けたりしてるくらいで」
「じゃあ霊が普通に歩いてたら、君には生きてる人間に見えるのか? あー……、だから昔は見分けがつかなかったのか」
「そうです。今は目を切り替えられるようになったので、基本的に霊は透けて見えますが」
改めてテオドールを観察してみた。磨き上げられた革靴。耳元で光るイヤーカフ。
「グラント卿のことは特にしっかり見える気がします。着ていらっしゃる制服の刺繍とか、左頬にある小さなホクロも」
「よく見えるもんだな」
「ええ。なので生きている人間も霊も、私にとっては同じようなものです」
同じだからこそ、こうも大量に空を飛ばれると困るのだ。
霊たちと会話を始めてしまうと仕事にならないため、ララはできるだけ目を合わせないようにする。
そうこうしているうちにも、イーサンとマックスたちの話は進んでいたようで――。
「中も案内しましょうか? 私が管理している倉庫の一部だけになりますが」
「ぜひ!」
「やりぃ」
いつの間にか、倉庫に入れることになっていた。
中には他国から輸入した素材や道具もあるのだろうか。魔道具作りの参考になるかもしれない。ララが胸をときめかせていると、イーサンが微笑んだ。
「今日は商談のために他のお客様も来られていますので、鉢合わせた場合はご紹介しますね」
ララはイーサンに、さりげなくカフスボタンを向ける。記録の練習をするためだ。会話も実践あるのみだと考え、話題を振ってみることにした。
「イーサン卿。お客様とは、他国の方もいらっしゃるのですか?」
「ええ。貿易は他国あってのものですから、色々な国から海を渡って来られますよ」
「交流の場にもなって素晴らしいですね。資源が豊富な国もあると聞きますが、こちらではどのような物の取り引きをされているのですか?」
「うーん、……代表の好みによって差が出ますね。うちの代表の場合、最近では船の契約もありましたし」
「……船?」
「珍しいでしょう? 他国のものだとオルティス造船の技術には遠く及ばないのですが、取引き次第で安く手に入るみたいで」
ララは巡回の際、『新人捜査官のララ』としか名乗らなかった。イーサンのような貴族と出会う可能性があったからだ。それゆえにイーサンは、ララがオルティス家の人間だと気付いていない。
『船』と聞いたララの全身に、嫌な予感が走る。オルティス家の船を必要としなくなった人間を、ララは一人だけ知っていたから。
「あの、イーサン卿。こちらの代表の方というのは……」
「カルマン伯爵家のご次男、チェスター様ですよ」
「んぐっ」
嫌な予感が当たってしまった。ララは頭を殴られたような衝撃を受ける。
(カルマン卿が、イーサン卿の上司ということ?)
カルマンが貿易関係の仕事をしていることは知っていたが、こんな場所で名前を聞くとは思ってもみなかった。
しかし彼が近くにいると仮定すると、今の状況が腑に落ちる。霊が異常に多いのはカルマンの体質によるものだろう。
難しい顔で考え込むララを前に、イーサンが首を捻った。
「チェスター様がどうかされましたか?」
「い、いえ。私は貿易事業についての知識が全くないので、カルマン卿は凄いお方なのだなと。まあ、何も知らないのですが。本当に、知らないのですが」
「それはもう、かなりのやり手ですよ。今も商談中のはずです。ここ数日は寝不足なようなので、少々心配ですが」
「お身体の具合が悪いのですか?」
「そこまで酷くはないと本人が言っていました。きっと仕事の疲れが出ているのでしょう」
「そう、ですか」
ふいに婚約破棄された日に聞いた、幽霊少年の言葉が頭をよぎる。
――あいつは許さない。
大きな荷物を軽々と運ぶのは、袖を肩まで捲り上げたガタイの良い男性たちだ。
「周りの建物は、全て倉庫なのですか?」
ララが疑問を漏らせば、テオドールがすぐに教えてくれた。
「ああ。輸出入倉庫だ。船に積んで帰ってきた資源なんかを、ここで一定期間保管する」
「グラント卿はなんでもご存じなのですね」
「買い被りすぎだ。死んだから予定が狂ったが、そろそろこの辺にも顔を出そうと思ってたんだ。だから軽く情報は入れてた」
「あ、そういうことでしたか」
植物園についてもだが、テオドールは色々なことを調べているらしい。そうでなければ仕事にならないのだろう。
ララが納得したところで、倉庫から一人の男性が出てきた。ジャケットを羽織っており、他の従業員たちよりも整った身なりをしている。テオドールが言うには、男爵家の四男だそうだ。
だが彼の身分よりも、ララには気になることがあった。引きつりそうになる表情をなんとか誤魔化す。
(霊が、多い……)
男性が扉を開けた瞬間、倉庫から数人の霊が飛び出してきたのだ。
こんなにたくさんの霊を一度に見たのは久しぶりである。霊の容姿から他国の者が多いと思われるが、年齢や性別はバラバラだ。
小走りでこちらに来る男性に意識を集中させるものの、視界が非常に賑やかである。
「何か、事件でもあったのですか?」
イーサンと名乗った男性が呼吸を整えながら聞いた。糸のように細い目と背中に乗った霊が印象的である。彼は倉庫の管理を一部任せられているらしい。
やや不安そうなイーサンに、マックスはいつも通りの人懐っこい笑顔を向ける。
「驚かせてすみません。ちょうど近くを巡回してたので寄らせてもらっただけなんです」
事件ではないと分かり安心したのか、イーサンの表情がやわらいだ。マックスは相手の緊張を解すのが上手い。
「この辺は海が綺麗で眺めが最高ですね。町にも活気がありますし」
「そうでしょう? 夜は船の出入りや人通りが一気になくなって静かになるので、その違いもまた良いんですよ。他にも――」
朗らかに続くマックスたちの会話に耳を傾けるララだが、視界に入る霊がやはり気になる。
フロイドが会話に加わった隙に、ララは後ろを向いてテオドールに小声で話しかけた。
「グラント卿、怖くないですか?」
「何がだ?」
「霊ですよ、霊」
見慣れている自分ですら動揺する人数だ。王城でたまに霊とすれ違うくらいのテオドールには、刺激が強いはず。そう思ったのだが、彼からは予想とかけ離れた答えが返ってきた。
「霊? どこにいるんだ?」
テオドールは目を凝らすように眉間に皺を寄せる。
どこにも何も、霊ならその辺を飛び回っているではないか。ついでに言うと、先ほどからテオドール、フロイド、マックスの体を何度もすり抜けている。それなのにテオドールは、避けもしない。……つまり。つまりだ。
「もしかしてあなた、霊なのに霊が見えないのですか⁉︎」
「……ここに霊がいるなら、そうなんだろうな」
そんなことある? と、ララは絶句する。
彼が霊とすれ違っても無反応だったのは、興味がないだけだと思っていた。だからララも、特に何も言わなかったのだ。
まさか存在に気付いていなかったとは。
飛び回る霊たちもまた、テオドールを認識していないように見える。お互いに見えていないのだ。
(それなのにグラント卿は、私相手だと接触することも可能、……と)
「あなたは霊としての能力値の振り分けを、間違えたようですね……」
「悲しそうな顔で言うんじゃない」
テオドールが不貞腐れている。その様子が珍しくて、少し可愛いかも、なんて思ってしまう。言ったらさらに拗ねられるだろうから、黙っておこう。
「そもそも、君には霊がどんな風に見えてるんだ?」
「生きている人間とあまり変わりません。霊は空を飛んだり、物をすり抜けたりしてるくらいで」
「じゃあ霊が普通に歩いてたら、君には生きてる人間に見えるのか? あー……、だから昔は見分けがつかなかったのか」
「そうです。今は目を切り替えられるようになったので、基本的に霊は透けて見えますが」
改めてテオドールを観察してみた。磨き上げられた革靴。耳元で光るイヤーカフ。
「グラント卿のことは特にしっかり見える気がします。着ていらっしゃる制服の刺繍とか、左頬にある小さなホクロも」
「よく見えるもんだな」
「ええ。なので生きている人間も霊も、私にとっては同じようなものです」
同じだからこそ、こうも大量に空を飛ばれると困るのだ。
霊たちと会話を始めてしまうと仕事にならないため、ララはできるだけ目を合わせないようにする。
そうこうしているうちにも、イーサンとマックスたちの話は進んでいたようで――。
「中も案内しましょうか? 私が管理している倉庫の一部だけになりますが」
「ぜひ!」
「やりぃ」
いつの間にか、倉庫に入れることになっていた。
中には他国から輸入した素材や道具もあるのだろうか。魔道具作りの参考になるかもしれない。ララが胸をときめかせていると、イーサンが微笑んだ。
「今日は商談のために他のお客様も来られていますので、鉢合わせた場合はご紹介しますね」
ララはイーサンに、さりげなくカフスボタンを向ける。記録の練習をするためだ。会話も実践あるのみだと考え、話題を振ってみることにした。
「イーサン卿。お客様とは、他国の方もいらっしゃるのですか?」
「ええ。貿易は他国あってのものですから、色々な国から海を渡って来られますよ」
「交流の場にもなって素晴らしいですね。資源が豊富な国もあると聞きますが、こちらではどのような物の取り引きをされているのですか?」
「うーん、……代表の好みによって差が出ますね。うちの代表の場合、最近では船の契約もありましたし」
「……船?」
「珍しいでしょう? 他国のものだとオルティス造船の技術には遠く及ばないのですが、取引き次第で安く手に入るみたいで」
ララは巡回の際、『新人捜査官のララ』としか名乗らなかった。イーサンのような貴族と出会う可能性があったからだ。それゆえにイーサンは、ララがオルティス家の人間だと気付いていない。
『船』と聞いたララの全身に、嫌な予感が走る。オルティス家の船を必要としなくなった人間を、ララは一人だけ知っていたから。
「あの、イーサン卿。こちらの代表の方というのは……」
「カルマン伯爵家のご次男、チェスター様ですよ」
「んぐっ」
嫌な予感が当たってしまった。ララは頭を殴られたような衝撃を受ける。
(カルマン卿が、イーサン卿の上司ということ?)
カルマンが貿易関係の仕事をしていることは知っていたが、こんな場所で名前を聞くとは思ってもみなかった。
しかし彼が近くにいると仮定すると、今の状況が腑に落ちる。霊が異常に多いのはカルマンの体質によるものだろう。
難しい顔で考え込むララを前に、イーサンが首を捻った。
「チェスター様がどうかされましたか?」
「い、いえ。私は貿易事業についての知識が全くないので、カルマン卿は凄いお方なのだなと。まあ、何も知らないのですが。本当に、知らないのですが」
「それはもう、かなりのやり手ですよ。今も商談中のはずです。ここ数日は寝不足なようなので、少々心配ですが」
「お身体の具合が悪いのですか?」
「そこまで酷くはないと本人が言っていました。きっと仕事の疲れが出ているのでしょう」
「そう、ですか」
ふいに婚約破棄された日に聞いた、幽霊少年の言葉が頭をよぎる。
――あいつは許さない。
0
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
攻略なんてしませんから!
梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです!
【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/
閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。
此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。
*攻略なんてしませんから!別ルート始めました。
【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる