その日、王子の顔が壊れた

「……どうしようルーシー。俺、恥ずかしくて死ぬかもしれない」
「気が合うね、私も」

――これは、秘密の痣を持つ明るい少女が、甘くて無表情の王子から、ずっと溺愛されてきたことに、気付いてしまう物語。

♢♢♢

リーストン魔術学校に通うルーシーは、昨晩一つの呪いを解いた。

その呪いとは、自分の顔を覆う『痣』――ではなく、学友で隣国の第二王子、オーランド・サルバスを苦しめてきた『死の呪い』である。

オーランドの命が助かり安堵するものの、他にも解かねばならない呪いがあった。

入学式の日、彼は言ったのだ。

「俺は、呪いで表情を奪われている」
 
複数の呪いをかけられ、お茶目な性格のくせに、常に無表情のオーランド。
ルーシーは、彼の笑顔が見たかった。

そんな中、もうすぐオーランドの誕生日だと気付く。盛大に祝おうと計画を立て、準備のために街に出た。

するとそこで、予想外の事件に巻き込まれることになる。
事態を理解したルーシーはうつむき……満面の笑みを浮かべたのだった。

♢♢♢

「ルーシー、しっかり俺を見て。俺は今、もの凄く幸せだ」
「オーランドが幸せなら嬉しい。ただ……いつも通り、表情は微動だにしてないけどね」
「……そんなぁ」

(格好良いのに可愛いだなんて、ずるい)



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