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「うッふゥ~ン、『助けて』だなんて大げさだなあ~ン」
植物に絡まった状態の僕に正面からコツコツと靴音をさせながらラヴィーニが近寄ってきた。
「このコ、かわいいでしょぉう~? ボクの使いをしてくれるんだよ。ボクは植物魔法を主とした魔法が使えるからねえ。蜂は僕と組んだら蜜も取れやすくお得みたいなんだぁ~、うッふゥン」
じゃあまたね、とラヴィーニが蜂に挨拶すると蜂はどこかへ飛んで行ってしまった。
……甘い匂いがするのは花の蜜の匂いだったのか。
「キミが今そんな格好なのもボクの魔法のせいだから♪」
「……ッ」
なんで…? と言いたかったが、喉が熱く詰まった感覚になっていて声が出ない。
「目覚めたばかりだもんねえ~。ボーッとしているでしょお? 身体が動かしにくかったり声も出にくかったりする? うッふゥン、でも、大丈夫♪ 時期にハッキリしてくるよお」
自分の髪の毛をいじりながらさっきからずっと弾んだ声で喋りかけてくる。
「安心して、痛い事はしないからぁ~♪ むしろ時期に気持ちよくなると思うよぉ~、そういうお薬、飲んだでしょお~?」
そんな物、飲んだ覚えはない。
「うッふゥン、ほらぁ、緑茶飲んだでしょ~う? あれに気持ち良くなる薬草の粉末とぉ~、睡眠効果のある薬草の粉末を~混入したんだねえ~」
そんな危ない内容は堂々と言う事ではない。ああ、でもエアリ族には人間界の法律は関係ないのか。
「でねっ、キミに話があるんだぁ」
話するだけならこんな目に遭わせなくてもいいのでは? と頭の中でツッコむ。……だんだん意識がハッキリしてきたぞ。声も出るか?
「……ッ、は…、……話…しっ、て……?」
声が出せた!
「ヴィフレアが随分、腑抜けになっちゃったみたい」
「……え?」
「ヴィフレアがボクのお茶を油断して飲んだんだよぉ~? ビックリしちゃう。どう思う?」
「……」
「キミのせいだねえ~。ああっ、もぉ~おっ!」
ラヴィーニの声に反応して僕の首に巻き付いていた植物が離れた。首が楽になる。でも代わりに、両手首と両足首、腰に巻き付いていた植物がギリリ…と、強めに僕を絞めつけて来た。
「あんなにクールで格好良い、風使いのヴィフレアが弱くなるなんて…。…茶なんか進めても飲まないタイプだったのに。人間なんかに現を抜かして隙を見せるなんて」
片眼鏡を拭きながら溜め息を吐きだすラヴィーニ。植物がまたズルズルと動いてギリリ…と、締め付けを強くした。
「ちょ…、きつ……」
「苦しくはないでしょぉ~? ボクは悪い人じゃないからキミを痛めつけたりはしないから♪」
「……や、それじゃあ、離してください」
「ボクの話を聞いてくれたらねえン」
「……え?」
植物に絡まった状態の僕に正面からコツコツと靴音をさせながらラヴィーニが近寄ってきた。
「このコ、かわいいでしょぉう~? ボクの使いをしてくれるんだよ。ボクは植物魔法を主とした魔法が使えるからねえ。蜂は僕と組んだら蜜も取れやすくお得みたいなんだぁ~、うッふゥン」
じゃあまたね、とラヴィーニが蜂に挨拶すると蜂はどこかへ飛んで行ってしまった。
……甘い匂いがするのは花の蜜の匂いだったのか。
「キミが今そんな格好なのもボクの魔法のせいだから♪」
「……ッ」
なんで…? と言いたかったが、喉が熱く詰まった感覚になっていて声が出ない。
「目覚めたばかりだもんねえ~。ボーッとしているでしょお? 身体が動かしにくかったり声も出にくかったりする? うッふゥン、でも、大丈夫♪ 時期にハッキリしてくるよお」
自分の髪の毛をいじりながらさっきからずっと弾んだ声で喋りかけてくる。
「安心して、痛い事はしないからぁ~♪ むしろ時期に気持ちよくなると思うよぉ~、そういうお薬、飲んだでしょお~?」
そんな物、飲んだ覚えはない。
「うッふゥン、ほらぁ、緑茶飲んだでしょ~う? あれに気持ち良くなる薬草の粉末とぉ~、睡眠効果のある薬草の粉末を~混入したんだねえ~」
そんな危ない内容は堂々と言う事ではない。ああ、でもエアリ族には人間界の法律は関係ないのか。
「でねっ、キミに話があるんだぁ」
話するだけならこんな目に遭わせなくてもいいのでは? と頭の中でツッコむ。……だんだん意識がハッキリしてきたぞ。声も出るか?
「……ッ、は…、……話…しっ、て……?」
声が出せた!
「ヴィフレアが随分、腑抜けになっちゃったみたい」
「……え?」
「ヴィフレアがボクのお茶を油断して飲んだんだよぉ~? ビックリしちゃう。どう思う?」
「……」
「キミのせいだねえ~。ああっ、もぉ~おっ!」
ラヴィーニの声に反応して僕の首に巻き付いていた植物が離れた。首が楽になる。でも代わりに、両手首と両足首、腰に巻き付いていた植物がギリリ…と、強めに僕を絞めつけて来た。
「あんなにクールで格好良い、風使いのヴィフレアが弱くなるなんて…。…茶なんか進めても飲まないタイプだったのに。人間なんかに現を抜かして隙を見せるなんて」
片眼鏡を拭きながら溜め息を吐きだすラヴィーニ。植物がまたズルズルと動いてギリリ…と、締め付けを強くした。
「ちょ…、きつ……」
「苦しくはないでしょぉ~? ボクは悪い人じゃないからキミを痛めつけたりはしないから♪」
「……や、それじゃあ、離してください」
「ボクの話を聞いてくれたらねえン」
「……え?」
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