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「ひーひゃっひゃっひゃっ、ひっひっ~~」

 僕とヴィフレアは二人での初めての日本旅行をしている。異世界から遠路えんろはるばる僕の為に来てくれたヴィフレアに日本流の癒しの代表格、温泉文化を実体験してもらおうと思ったのだ。
 なのに。
 ヴィフレアは今、広縁側ひろえんがわに背を向け座椅子に座り、緑茶をすすっている。端正な顔の真ん中に深い縦皺たてじわを作り疲れた顔をしながら。そして、

「……はぁ」

 聞こえるか聞こえないかの小声……でも大きく気持ちのこもった……溜め息を吐いた。

「ひーー、ひっひっひゃっひゃっひゃっ~~……」

 先程から聞こえる独特な笑い声はラヴィーニのものだ。

「やあ、面白いねっ、これ」

 これ、と差したのは客室の壁側に設置されているテレビ画面。その正面に位置する場所で身体をテレビに向けて背後の座卓に肩肘をつきながら芸人司会の『超常現象』番組を観ている。

「これはCGだと思うねえ~」

『亜人』が『超常現象』番組を見ながらツッコミを入れている。

 僕はそこにツッコむべきだろうか?

 このラヴィーニの突然の訪問に、せっかく敷いていたふたつの布団をたたみ客室はじに置いた。食器をのせたお盆は玄関ふすま近くの板の間に置き、広縁ひろえん近くに運んだ座卓と座椅子を再び畳中央へ引っ張り出した。こんな派手な人を旅館の廊下に放置できないから僕らの宿泊部屋に気がすすまないが招くことになった。その時にヴィフレアから聞いた。

 ラヴィーニはヴィフレアと同じエアリ族だそうだ。
 会った時は髪の毛に耳がかくれて気付かなかったけど、座卓に後ろ手に肘をつきながらテレビにツッコんでいるラヴィーニの耳は確かにとがっている。
 ラヴィーニのヘアースタイルは、緑色の髪を前髪ごと後ろに撫でつけたオールバックのようなヘアースタイルだがポマードでガチガチに固めている訳ではない。頭頂部がポマードで固まっていない自然なオールバックで、耳横とうなじ辺りが不揃いなゆるふわヘアー、そして後ろ毛髪は肩甲骨の上辺りから三つ編みがされている。なので、耳横やうなじ辺りにはゆとりがあり、自然な姿勢だと耳が髪の毛にかくれる。だから初見では、僕は耳の尖りに気付けなかった。

「……あ、お茶どうぞ」

 悲しいかな。社畜性質が染みついているのか、一応お客さん、という事でお茶を出す。

「出さなくていい」

 ヴィフレアが怒気を含む低い美声で皆に聞こえるように言った。

「なんでぇ~? ボクも飲みたあい、これ緑茶でしょう?」

 と、言ったので驚きつつ

「そうです。飲んだことあるんですか?」

 と訊いたら、
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