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 食べた後のからの食器を集めお盆の上にのせ、座卓と座椅子を広縁側へ寄せる。押入れから出した布団を畳中央に二つ揃えて敷き布団と布団の間はぴったりくっ付けた。

 ……べつに何かを期待しているとかそういう訳じゃない。特に深い意味はない。だってほら。

「風芽、床に布団を敷いたのにここの布団はふかふかだな」

 ……ヴィフレア、布団に感動してそれどころじゃなさそうだし。

 布団を敷き終わると、ヴィフレアが布団のそばに寄って来て、そろりと掛け布団の上に寝転がりゆったりゴロゴロやり始めた。某美容クリニックのコマーシャルみたいだ。ゆったりゴロゴロではあるんだけど……もしかしてヴィフレア、はしゃいでいる? 無表情ではしゃぐタイプ?

「……そうだね、布団ふかふかだろうね」

 傍で立ったまま応える僕。その時――。

 ――ビリリリリリィイイイイイ…。

 突然、客室のチャイムが鳴った。

 ……あれ? 仲居さん? 朝まで用はないから放っておいてと伝えたと思うんだけど……何だろう?

「はーい」

 返事をしながら玄関引き戸へ小走りで向かい、戸を開ける、と……。

「うッふゥ~ン、こんばんはァ~! ボクだよッ」
 
 ――!?

 緑色の髪を前髪ごと後ろに撫でつけた長髪はゆったり三つ編みで肩から胸に垂らされている。微笑みをたたえた金色の瞳。鋭い切れ長の片目には片眼鏡モノクルが掛けてある。スッとした高めの鼻梁びりょうに薄い唇、細い顎。登山に行くのか? ってぐらい目立つくっきりした色合いのポンチョのような物を羽織り一見して派手とわかる長身の色白イケメンが現れた。

「……え? すいません、たぶん部屋間違えていますよ」
「ボクだよォ~」

 口角を上げ粘りっこい喋り口調で陽気に話しかけてくる。

「……誰ですか?」
「風芽ッッ!?」

 異変を感じたのかヴィフレアが駆けて来た。

「うッふゥ~ン、やあ、ヴィフレア」

 緑色の長髪イケメンを目の当たりにしたヴィフレアが険しい形相で静かに呟く。

「……ラヴィーニ」
「はぁあ~い」

 僕に会った時と同じ表情の読めない笑顔をラヴィーニと呼ばれたその人はヴィフレアに向けて大きめの口をにんまりさせている。

「なぜお前がここにいる?」
「うッふゥ~ン♪」


***作者から今日の一言【←ナニコレ? な人は「近況ボード」を見てねっ】***

やあっと出て来た、ラヴィーニ。緩急の「緩」の所も「気長に」読み返しつつ読んでくださればとおもいます
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