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バスタオルをヴィフレアに渡すと、彼は自身の濡れた身体を拭いていく。
「あ、濡れた髪の毛も乾かさなきゃ。ドライヤー……」
と言ってドライヤーを取ろうとする手を静止された。
「ああ、それは問題ない」
「え?」
「……穏やかな旋風…」
綺麗な低音ボイスで呟くと、ふわり、ぐるんとヴィフレアの金髪が渦を巻いて吹き上がった。まさしく『穏やかな旋風』という感じだ。
「ほら、乾いたろう?」
そう言うヴィフレアの頭上からパラパラ、サラサラと金髪がゆっくり下りてくる。スローモーションみたい。『穏やかな旋風』という魔法をゆっくり解除しているから、ドサッと落ちてないんだろう。
「凄い。便利。いいなあ。触って良い?」
「ああ」
「本当に乾いている。凄い! さらさらだ」
……あれ? 僕はヴィフレアとヤッているくせにこんなにガッツリ髪の毛を触ったのはもしかして初めてでは? セックスの時に触る事はあったけどこんなふうに握ったり手と手で挟んでサラサラの感触をじっくり味わうのは初めてな気がする。
「ヴィフレアの髪の毛って凄く触り心地がいいね。気持ちいいよ」
「そうか。気に入ってくれて嬉しい」
一通り触った後に
「……ん? 待って。そんなにすぐ乾くんなら身体も魔法で乾かしたら良かったんじゃあ?」
「そうだが。風芽がタオルを渡してくれたから……」
裸のヴィフレアが微笑んでくる。
「そっか」優しいな、ヴィフレア。
「……あ、ゴメン。湯冷めしちゃうから浴衣を早く着よう」
言いながらヴィフレアの正面に立って浴衣の前身ごろを順に合わせて着せていく。
「ヴィフレアから見て右側の前見ごろを下にしてここで紐をくくって、左側の前見ごろを上に重ねて着るんだ……はい、蝶々結びっと。できた」
「ほう……軽い、ゆったりしている。これはラクだな」
「でしょう?」
「それに……」洗面所の鏡の前に移動して
「……見た目のデザインもなかなか悪くない」
「……確かに」
鏡の前で表情には出ていないけど少々はしゃいでいるように見えるヴィフレアが浴衣を着て感心している。その傍らで僕は心の底から同意する。
濃いめの浴衣に温泉で益々磨きのかかった透き通るような白い肌がよく映えてもとから色気のあるヴィフレアが更に色っぽい。加えて、輝きを増した金髪も艶やかで美しい。
「何度僕を惚れ直させたら気が済むんだ」
「何だ?」
「…っ、や、何でもない」
やば。声に出してた。
「着替えた事だしじゃあこっち」
引き戸を開けた瞬間、目に飛び込んできた見た目も美しい料理にヴィフレアが無言で目を瞠っている。
「あ、濡れた髪の毛も乾かさなきゃ。ドライヤー……」
と言ってドライヤーを取ろうとする手を静止された。
「ああ、それは問題ない」
「え?」
「……穏やかな旋風…」
綺麗な低音ボイスで呟くと、ふわり、ぐるんとヴィフレアの金髪が渦を巻いて吹き上がった。まさしく『穏やかな旋風』という感じだ。
「ほら、乾いたろう?」
そう言うヴィフレアの頭上からパラパラ、サラサラと金髪がゆっくり下りてくる。スローモーションみたい。『穏やかな旋風』という魔法をゆっくり解除しているから、ドサッと落ちてないんだろう。
「凄い。便利。いいなあ。触って良い?」
「ああ」
「本当に乾いている。凄い! さらさらだ」
……あれ? 僕はヴィフレアとヤッているくせにこんなにガッツリ髪の毛を触ったのはもしかして初めてでは? セックスの時に触る事はあったけどこんなふうに握ったり手と手で挟んでサラサラの感触をじっくり味わうのは初めてな気がする。
「ヴィフレアの髪の毛って凄く触り心地がいいね。気持ちいいよ」
「そうか。気に入ってくれて嬉しい」
一通り触った後に
「……ん? 待って。そんなにすぐ乾くんなら身体も魔法で乾かしたら良かったんじゃあ?」
「そうだが。風芽がタオルを渡してくれたから……」
裸のヴィフレアが微笑んでくる。
「そっか」優しいな、ヴィフレア。
「……あ、ゴメン。湯冷めしちゃうから浴衣を早く着よう」
言いながらヴィフレアの正面に立って浴衣の前身ごろを順に合わせて着せていく。
「ヴィフレアから見て右側の前見ごろを下にしてここで紐をくくって、左側の前見ごろを上に重ねて着るんだ……はい、蝶々結びっと。できた」
「ほう……軽い、ゆったりしている。これはラクだな」
「でしょう?」
「それに……」洗面所の鏡の前に移動して
「……見た目のデザインもなかなか悪くない」
「……確かに」
鏡の前で表情には出ていないけど少々はしゃいでいるように見えるヴィフレアが浴衣を着て感心している。その傍らで僕は心の底から同意する。
濃いめの浴衣に温泉で益々磨きのかかった透き通るような白い肌がよく映えてもとから色気のあるヴィフレアが更に色っぽい。加えて、輝きを増した金髪も艶やかで美しい。
「何度僕を惚れ直させたら気が済むんだ」
「何だ?」
「…っ、や、何でもない」
やば。声に出してた。
「着替えた事だしじゃあこっち」
引き戸を開けた瞬間、目に飛び込んできた見た目も美しい料理にヴィフレアが無言で目を瞠っている。
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