かごめかごめの財宝

卯砂樹広之

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第六章

後ろの正面だあれ

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 「ちょっとでも変な真似をしたら、ぶっ放す。覚悟しとけよ」
 辰巳に拳銃を背中に突き付けられたまま、兎海は境内をゆっくりと進んだ。兎海の隣にはみおが、ぴったりくっつくように並んでいる。みおの後ろには、佐久間がいつでも斬りかかれるよう、刀の柄に手をかけていた。
 四人が歩を進める先に、建物の残骸が見えて来た。
 昨日兎海たちが宝探しをしていた、薬師堂と庚申堂が、瓦礫の山と化している。「薬師堂」と刻まれた扁額のみが、焼け焦げて地面に転がっていた。
 「隊長!」
 辰巳の部下と見える黒洋服の筒袖が四人のもとへ駆け寄って来た。
 「隊長。瓦礫の下に坊主の亡骸を見つけました」
 辰巳が兎海の背中を拳銃で押す。四人は庚申堂の焼跡へと足を向けた。
 「叔父さん……」
 一人の大柄な僧が、倒れていた。仰向けのまま、腰から上が瓦礫に埋もれている。顔は見えないが、状況からして彰全以外にはありえない。
 「叔父さん!」
 みおが呼びかけるが、彰全はぴくりともしない。
 「やはり、砲撃で崩れた建物の下敷きになってしまわれたのか」
 兎海が手を合わせた。
 「ごめんなさい」
 みおが彰全の前で膝をついた。
 「ごめんなさい……。叔父さんはわたしたちを避難させてくれた命の恩人なのに、昨日は冷血漢だの人非人だのとひどいことを言って……ごめんなさい」
 みおが俯き手を合わせると、兎海は隣に座り瞑目した。
 彰全の遺体は倒れたまま、一本の鍬を握っている。
 「最期の最期まで、財宝を掘り当てようとしてたんだ、叔父さん」
 兎海が目を開け、彰全の右手に視線を向けた。 
 「そうだね。すごい執念ね」
 みおが応じた。
 兎海は握られていた彰全の右手の指をそっと動かし、鍬を持ち上げた。
 「叔父さんが最期まで離さなかったこの鍬で財宝を掘り当てれば、少しは供養になるかもしれない」
 「ふん」
 二人の背後に立っていた辰巳が、拳銃の銃口で兎海の背中を小突いた。
 「何を感傷的なこと言ってんだよ。彰全はここを掘ったが、財宝は出て来なかった。それだけのことだろ。見りゃ分かる」
 辰巳は顎をしゃくった。
 「さっさと案内しな。財宝があるところへよ」
 「ええ。そのつもりです」
 兎海は、隣でまだ蹲っているみおに声をかけた。
 「行こうか」
 みおは立ち上がりながら、首を傾げた。
 「どこに行くの?」 
 「境内の真ん中辺りに、松の老木があっただろう。あそこへ行く」
 兎海が歩き始めると、みおは隣に並んで、歩き出した。
 拳銃を手にした辰巳、刀の柄に手をやった佐久間が後に続く。
 歩を進めながら、兎海は言った。
 「五重塔の牢の中にいた時、みおが言ったろう。『まるでわたしたち、籠の中の鳥だ』って……」
 みおは頬に指をあてた。
 「うん、あそこの窓の鉄格子が、籠の目みたいだったから」
 鍬の柄を肩に担ぎながら、兎海は続ける。
 「『かごめかごめ』の暗号の『籠の中の鳥』っていうのは、あそこに入れ、あそこからものを見ろ、という意味だったのさ。あそこなら、地上でははっきり見えないものがよく見える」
 「なるほど」
 「昨日叔父さんと三人で考えた推理は、正しくなかった。『夜明けの晩』は日光・月光菩薩のことじゃなく、文字通り太陽と月とが同時に現れる時間、つまり明け方のことだった。そしてわたしは、『夜明けの晩』に『鶴と亀』が滑るのを見たんだ」
 「鶴と亀が?」
 兎海は頷く。
 「五重塔の天辺に、鳳凰像があっただろう。あれが明け方になると影が伸びて、足の長い鶴が、羽ばたこうとしている姿に見えたんだ。そしてその鶴の影が、日の出とともに反対方向に動いた」
 「お日さまが出る時って、影が動くからね」
 「そう。そしてその影が、本堂の先端の影と交差した。松の木の辺りで」
 みおは手を打った。
 「つまり、本堂が亀ってこと?」
 兎海は深く頷いた。
 「新政府軍の砲撃が始まって、本堂が炎上した時、白い壁の裏側に、第二の壁が現れた。その第二の壁に、亀が描かれていたんだ」
 「お寺の全体が暗号の答えだったってことね……。すごく大きな仕掛けだったんだ」
 みおは首を捻り、ややあって言った。
 「亀の絵は本堂が焼けないと出てこない……。つまり、このお寺で戦争とか火事とかないと、財宝のありかが分からない訳で……。しかも、あんな『牢』みたいなところから見なけりゃいけない。何か、すご過ぎ……」
 「そう、そこだよ」
 兎海はみおの前に人差し指を突き立てた。
 「『かごめかごめ』の暗号には、但し書きがつけられていた。『この暗号を解く者は、必ず滅びる』と。この但し書きも、暗号の一部だったのさ」
 「但し書きが?」
 首を傾げるみおに、兎海は言った。
 「本堂が焼ける時は、この寺が滅びる時……。つまりこの寺が滅ぶ時にはじめて、この暗号が解けるよ、という意味の但し書きだったんだ」
 兎海の足が止まった。
 「ここだ」
 眼前に、大きな木の枝の残骸が半ば炭となって転がっていた。
 「ここだ。この焼け焦げが松の老木。ここを掘ったところに財宝がある!」
 兎海は持っていた鍬を振り上げた。

 兎海は、黙したままひたすら、鍬を振るい続けた。
 何か変化があれば兎海はみお、辰巳、佐久間の三人に告げる。そのような約束になっていた。
 松の周囲を五尺ばかり掘り下げた時である。兎海の鍬に、堅いものが触れた。
 「何か、堅いものがあります!」
 見ると、平たい黒ずんだ岩が、姿を現している。
 みおは兎海が掘った穴に駆け降りた。
 「何か模様があるぞ」
 兎海は鍬を置き膝を地面に突いて、岩を覆っていた土を両手で掻き分けた。
 「葵だ。葵の御紋だ」
 岩には、徳川家の紋である葵の形が、くっきりと描き出されている。
 「葵の御紋?」
 みおが兎海の隣で膝をつく。
 「どけてみるか」
 岩は大人の身長ほどの横幅と、その半分ほどの縦幅がある大きなものだ。地面に埋もれている部分の深さは底知れない。
 兎海とみおは岩の両端に手をかけた。
 「せーの」
 声を合わせて持ち上げようとするが、岩はびくとも動かない。
 「せーのう」
 再び試みるが、手に負えない。
 「うーん。無理か。小指の先ほども動きゃあしない」
 「そんなんじゃ、ダメだ」
  掘り下げた穴の上から、辰巳の怒声が響いた。
 「邪魔だ。非力な小僧と尼さんはどいてな」
 辰巳は後ろを振り向き、口に手を当てて怒鳴った。
 「おい。お前ら。坊主の遺体の検分はもういい。こっちへ来い」
 彰全の亡骸を瓦礫の山から掘り出そうとしていた兵士たちが、巨大な岩のもとへばらばらと駆け寄って来た。
 「どうやらわたしたちは、黙って見ていた方がよさそうだね」
 兎海が言うと、みおは黙って頷いた。
 兎海が先に穴の上に登り、みおに手を差し伸べる。みおが登ると、入れ替わりに辰巳、佐久間をはじめとする十人の兵士たち全員が穴に入り、巨大な岩に取りついた。
 穴の中で、辰巳や佐久間など十人の兵士たちの声が響く。
 「はは。葵の御紋の石か。こりゃ間違いねえ。これで財宝は俺たちのもんだ!」
 兵士たちも声が弾んでいる。
 「隊長、俺らにも分け前、よろしく」
 辰巳も言葉が上ずっている。
 「おうよ。任せとけ。期待していいぞ」
 辰巳は親指を上げて応じた。
 穴の上では、兎海が固唾を呑んで辰巳たちの様子を見つめていた。みおが手を繋いで隣に座している。
 「よし、持ち上げるぞ!」
 辰巳が叫んだ。
 「力入れろ! せーの!」
 次の瞬間。
 「そこは危ない! 離れてろ!」
 どこからか兎海の耳に、叫び声が聞こえた。
 誰という判別はつかないが、聞き覚えのある声だ。
 「聞こえた? 危ないから離れてろって」
 「ええ」
 兎海に手を牽かれ、みおは立ちあがった。
 二人が駈け出して数秒ののち。
 岩の中央に、大きな亀裂が走ると、物凄い地響きが辺りを包んだ。
 「伏せてっ!」
 兎海はみおを庇うように、背中からみおに覆い被さり、地面に突っ伏した。
 伏せたまま後ろを振り向くと、十人の兵士達が取りついていた巨大岩のあった穴から、火柱が上がっていた。
 「きゃあっ」
 みおが悲鳴を上げる。
 「一体、何が起こったんだ」
 兎海は目を見開いた。
 「近くへ行ってみる。危ないから、みおはここで待ってて」
 兎海は爆発現場へ走り出す。
 「待って、わたしも行く!」
 みおがあとに続いた。
 駆ける兎海の脳裏に、仁海が死の間際につぶやいたあの言葉が浮かんでいた。
 「この暗号を解く者は、必ず滅びる」
 (この但し書きには二重の意味があったのか。あの籠の中のような『牢』からものを見ろってことと・・・・財宝を取り出そうとする者には大きな危険が及ぶってこと)
 巨大岩のあった穴の上に辿り着いた兎海は、あとから追ってきたみおを抱き留めた。
 「待って! ここから先は危ない」 
 爆発後に立ち昇った黒煙は、次第に薄くなって来ている。爆発現場が見えるようになってくると、兎海は目を覆った。
 巨大岩は爆発で粉々に砕け、小さな岩が無数に転がっている。散らばった岩の欠片の間に、十人の兵士たちが倒れていた。
 隊長の辰巳は、右手右足が吹き飛ばされ、なくなっている。佐久間は頭に傷を負い、大量の血を流していた。全員、即死と見え、呻き声さえ聞こえない。
 「……」
 凄惨な爆発の状況に、兎海は言葉を失った。
 「ああ。ちょっと、やり過ぎちまったな。ちょっと、足止めするつもりだったんだが」
 抱き合う二人の背後で、男の声が聞こえた。
 「え?」
 やはり、聞き覚えのある声。爆発の直前、そこは危ない。離れてろと叫んだ声だ。
 「もしかして、叔父さん?」
 みおが兎海から離れ、後ろを振り向いた。
 「生きてらしたんですね」
 兎海も振り向き、声を絞り出す。
 「わたしたちを脅すふりをして、五重塔に避難させてくださったのですよね。ありがとうございます」
 「叔父さんは命の恩人です」
 みおが続く。
 「まあ、いいってことよ。ああでもしなきゃ、お前ら砲撃の餌食だったからな」
 彰全は頭を掻いた。
 「死んだふりして、反撃の機会を窺ってたのよ。やつら、邪魔が入って来るのを警戒してか、いつでも大砲をぶっ放せるように準備してた。財宝に目がくらんで、大砲の前に見張りを残すのを忘れたんだな。それで、あのざまだ」
 彰全は右手親指で穴の中を指差した。
 「俺が辰巳の策にまんまとハマり、殺されたと思っただろ?」
 「ええ・・・・すみません、そう思ってました」
 兎海が頷いた。
 「わたしもです」
 みおが首肯した。
 「兄仁海が新政府軍の陣地に呼び出され、帰って来て間もなく倒れただろう。新政府軍の隊長が辰巳だと聞いて、ピンと来たんだ。兄上は辰巳に毒を盛られたのではないかとな」
 「どうして分かったんです」
 「開成所時代の学友で、毒物に詳しい男がいてな。西洋で発明された毒物で、チト酸てのがあるんだ。大量に呑めば即死だが、分量を加減すると徐々に毒が回る。血へどを吐いてニ三日で死に至るが、最期まで意識ははっきりしている」
 「父上は辰巳さんに、そのチト酸とやらを呑まされた……」
 彰全は頷いた。
 「そういうことだ。兄上の症状からしてすぐに分かったんだ。解毒する方法はない。兄上を助けられないなら、兄上が命よりも大事に考えていた徳川家の財宝を俺が探し出して、敵に渡さねえのが兄上の心に応えることになると思ったのさ」
 「なるほど」
 兎海は深く頷いた。
 「父上は跡継ぎの住職でない叔父さんに財宝のありかを示す暗号を教える気は毛頭ない。それで、あえて父上の今際の時にはあえて姿を現さず、暗号伝授の様子を立ち聞きされていた、ということですね」
 「そういうことだ。兄上の臨終を見届けられなかったのは辛かったがな」
 彰全の目に涙が浮かんだ。
 立ち尽くす三人の後ろから、一陣の風が吹いた。
 風は穴の中に及び、燻っていた黒煙を吹き消してゆく。
 「おや?」
 隠すものがなくなった爆発現場。
 兎海の視界に、何かが映った。 
 穴の中央、巨大岩のあった真下にぽっかりと、小さな四角いものが見えていた。
 「階段だ。下に降りる階段だぞ」
 ぽっかりと空いた穴の中に、白っぽい階段が見えている。
 「あれって、もしかして? 財宝の隠し場所?」
 兎海はつぶやいた。
 「まだ爆発する物が残ってるかも知れません。みんなで行くのは危ない。わたし一人で、行ってみます」
 「だめ。ちょっと待ってよ」
 伸ばしてくるみおの手を、兎海はやんわりと振りほどいた。
 兎海は、息苦しくなるほど、心臓が高鳴っていた。
 汗で手をびっしょりにしながら、兎海は穴へ降りた。
 兵士たちの遺体を踏まないよう注意しながら、階段の入口へと向かう。
 恐る恐る、階段に足を降ろした。
 「この暗号を解く者は、必ず滅びる」
 暗号の但し書きが自分にも及ぶのではと、兎海は恐れた。
 (良かった。爆発しない)
 一段。また一段。
 降りるたびに動悸が高まって行く。
 十段ほどで、階段は尽きていた。
 「何もない。何もないのか……?」
 兎海は顎に手を当てた。
 穴の上下左右に、視線を走らせる。
 焦燥だけが、兎海の心を覆いかけていた。
 その時。
  ふいに、かごめかごめの童歌が、兎海の脳裏に横切った。

     かごめ かごめ
     籠の中の鳥は
     いついつ 出やる
     夜明けの晩に
     鶴と亀がすべった
     うしろの正面だあれ
 
 「そうか。後ろだ。『後ろの正面』だ!」
 転びそうになる体を懸命に支えて、背後を振り向く。
 階段の後ろに、大人一人が入れる位の小さな入口があった。
 その奥で、輝いている。金色の光を放つものがそこにあった。
 「何か、あるの?」
 あとから追って来たみおが問うた。
 みおの背後には彰全の顔も見える。
 「すごい金塊だ。金の山だ!」
 兎海が叫んだ。
 「おお、すげえな」
 彰全が続いた。
 「よーし」
 彰全は手を打った。
 (山分けしようって言うのか)
 一瞬、兎海は思った。
 が、彰全が言ったことは少し違っていた。
 「俺がこのお宝、一割だけいただくぜ」
 「えっ」
 みおが割って入る。
 「たった、一割でいいんですか」
 「いいさ。俺は新政府軍の兵士を十人も殺っちまった。間違いなく新政府のお尋ね者だ。しばらく身を隠すさ。逃亡資金として、一割いただく。派手に金使うと追手に居場所教えるようなもんだから、資金は少しでいい」
 「えっ・・・・じゃあ残りの九割は?」
 兎海が問うた。
 「そんだけありゃあ、大光寺を再建できるだろ。この財宝は、どうやら徳川の敵と戦うための軍資金じゃねえ。徳川もこの寺も滅んだあとで再建するために徳川が残してくれたんだ。だから、『この暗号を解く者は、必ず滅びる』なんだよ」
 「再建? ええ、まあそのつもりですけど……」
 「兎海、お前はなかなか智恵が働く。みおは感覚が鋭いし芯の強い女だ。きっと寺を再建できる」
 彰全はにやりと笑った。
 「お前ら、お似合いの連れ合いだぜ。末永く幸せになるんだぞ」
 「えっ? 連れ合い?」
 (どうして分かったんだ。わたしがみおのこと、女として想っていること)
 「びっくりした顔すんな。お前たちの様子見てりゃあ、兄妹じゃない。想い想われてる男女だってすぐに分かる」
 (えっ。でも、わたしはまだみおに気持ちを伝えてないのに)
 兎海は「牢」の中にいるとき、考えたばかりだ。
 (いけない。坊主って禁欲的なはずじゃないか。なのに、みおを女として見るなんて)
 兎海の心は、まだ迷いの中にあった。
 その時、兎海の背中に、柔らかいものが触れた。
 みおだった。
 「末永く、よろしく」
 「え……」
 兎海は絶句した。
 「わたし、目が見えないし。わたしと一緒になっても、兎海には何の得もないでしょ。兎海とはずっと兄妹だって、諦めてたの」
 みおの目に、涙が溢れていた。
 「兎海にいいひとが現れたら、わたし黙って身を引こうって、ずっと思ってた。でも、今は違う」
 みおの頬に、涙が伝った。
 「今度のことで、兎海はわたしのために命までかけてくれた。だから、わたし、誓ったの。諦めるより兎海の足手まといにならないようにがんばろうって」
 「足手まといなんて、そんな……みおはわたしの宝物だよ」
 (みおはとっくにわたしを兄ではなく、一人の男としてみていてくれたのか)
 兄妹ではなく、一組の男女。
 これから始まる月日は、苦難なのか、希望なのか。それは分からない。
 だが、自分にはみおがいる。苦難も希望もともに歩んでくれるひとが。
 兎海はみおの体を引き寄せた。
 兎海はこれまでは、みおを妹として抱きしめてきた。
 だが今は違う。
 恐る恐るみおの背中に腕を回すと、兎海はみおを固く抱きしめた。
 二人の頬に、とめどなく涙が流れている。
 あたたかな春の風が、二人を包んだ。 
 階段に差し込む陽の光が、いつまでも抱き合う二人を見守るように、輝いていた。
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