上 下
18 / 27

18話 【ビラの森】

しおりを挟む
僕達は、孤児院を助けるためにお金を稼がなくてはならないので、アイランさんに教えてもらった【ビラの森】に来ていた。

「ここが、ビラの森か。」

「そうみたいですね。」

森は、あまり日の光が入ってないので、少し薄暗いのだが、普通に歩ける程度の暗さなのであまり気にはならない。

そういえば、アイランさんの話によるとこの近辺では、危ない魔物などがあまり出ないのだが、ビラの森まで行くと少なくともCランクの魔物が出るということで、警戒はしていたが前にBランクの魔物を一撃で倒したシャニがいるのだから大丈夫なはずだ。

「来ます。」

シャニがいきなり、言った。そうして、少しだけ歩くと本当にいた。どうやら、魔物はまだこちらに気づいていないみたいだ。

その魔物の見た目は、元いた世界のまんまイノシシであるが少し牙が大きいだろうか。そのイノシシは、3匹いる。

「シャニ、2匹は任せてもいいかな。」

「はい、お任せ下さい。」

そう言うと、シャニはすぐさま攻撃態勢に入り氷魔法を使い尖っている氷の柱を2つ出しイノシシ2匹に向かって、放った。僕も負けじと風魔法であるウインドカッターを唱えた。

ドスッ ドスッ

ヒュン、ヒュン━━。

グルルル。と唸り声を出して2匹は倒れたのだが、僕が担当した1匹はまだ息があるようだ。そして、僕達に向かって突進してきた。

距離が少しまだあるので焦らずにもう1度僕は同じ魔法を唱えた。

ヒュン、ヒュン━━。

グルルッ。とか細い声で鳴きもう1匹倒れた。ふぅ、どうやら2発与えないと僕の攻撃では、まだ倒せないようだ。

「シャニ先に気付いてくれてありがとう。」

「いえ、全然平気ですよ。それにしてもショウさんは風魔法もお使えになるんですね。」

「うん、一応ね。威力はまだ低いけど。」

「お兄ちゃんすごーい」

「お姉ちゃんもすごーい」

カイルとイルナが目をキラキラさせながら言っていたのでちょっと照れる。

そういえば、シャニは何故気がついたのだろうか。

「ショウさん、わたしは気配があるかどうか分かるので、また魔物がいたら言いますね。」

そうだシャニには気配察知があるので先に気づくこどができたのか本当に助かる。

「シャニ、本当に助かるよ。」

「はい。」

とりあえず僕は、アイテムボックスに入れる前に倒したイノシシを鑑定をしてみた。

[ボーアボア]

『Cランクの魔物鋭い牙があり、主に敵と判断した者を突進する傾向がある。』

鑑定するとどのランクの魔物かということや、その魔物の特徴なども分かるようだ。

そうして、3匹のボーアボアを僕のアイテムボックスに入れてまた歩きだした。

そして、また少し歩いていたら今度は何故かカイルとイルナが僕の服の裾を引っ張ってきた。

「お兄ちゃん、あのね」

「もう少ししたら魔物いるよ」

「シャニ、ほんとに?」

「はい、間違いないです。カイルとイルナの言った通り少し歩いた先にいます。」

半信半疑でシャニに聞いてみたら、本当のようだ。子供は、気配に敏感だっていうけどまさかね。

少し歩いた先にさっきと同じ魔物つまりボーアボアが今度は4匹いるようだ。

さっきと同じ作戦でボーアボア達を倒した。

シャニには、今度は3匹請け負ってもらったのだが相も変わらず氷魔法1回で倒していた。

ちなみに、僕はまた2回の風魔法を使わないと倒せなかった。

「それにしても、魔物がいるってよく分かったね。カイルとイルナえらいよ。」

そう言いカイルとイルナの頭を撫でた。そうしたら、いつもの通りカイルとイルナは、すごく可愛い笑顔を見せてくれた。

「もちろん、シャニもだよありがとう。」

もちろん、シャニの頭も撫でる。シャニも兎の耳をぴょこぴょこさせながら喜んでいた。

そうして、僕らは順調に魔物を同じ方法で何度も倒していった。

3~4回ほど同じやり取りをしていた時だった。

カイルとイルナが僕やシャニに聞いてきた。

「お兄ちゃんとお姉ちゃん、魔法ってカイルとイルナも使えるの?」

「イルナもお姉ちゃんやお兄ちゃんみたいな魔法使ってみたいな。」

「え、いきなりどうしたの?」

「「もし使えたら、カイルとイルナもお兄ちゃんやお姉ちゃんの手伝いができるから。」」

僕やシャニはかなり驚いたが、カイルとイルナの気持ちはすごく嬉しかった。こんなに危ない場所に連れて行っているのにカイルとイルナは、文句も言わずについてきた。

それに、魔法を使いたい理由が僕達のお手伝いをしたいからだという。

僕は、神様がくれた特殊スキルのおかげで魔法や便利なスキルを取れるのだが普通の人は、どうなのか分からないのでシャニに聞くことにした。

「シャニ、魔法って誰でも使えるものなの?」

「いえ、まずは適性があるかどうかなのですがそれを調べる方法がありませんから。」

「そうなんだ。じゃあ今は教えられないのか。ごめんね、カイルとイルナが何の魔法を使えるか分からないから今は教えられないや。」

「「そっかあ。」」

2人は明らかに落ち込んでいたので僕はすかさずフォローを入れた。

「だから、カイルとイルナは、魔物がいると思ったらすぐに教えてね。」

「「うん!」」

そうして、僕達はまた歩きだした。それにしても魔法の適性か·····

もしかしたら、カイルやイルナの事を僕が鑑定してステータスを見ればスキル欄に書いてあるかもしれないそう思った。

その時だった、シャニやカイルとイルナは一斉に同じ方向を見た。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

処理中です...