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黒の零桃 黒李公国
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・・・いつの間にか小雨の滴る雫の木の下に居た。
幼い僕には、かつて居た世界に置き去りにされた事を理解できなかった。
歩いた。
ひたすら歩いた。
やがて街道に出て道を辿る。
僕を見る好奇の目が僕を歓迎していない事をなんとなく理解する。
開かれた門の側で居眠りする衛兵を通り過ぎる。
ここは・・・?
賑わう大人達が酒盛りをする。
端の空いた席に座る。
水を運んで来た人は酷く驚いている。
僕の名前を伝えても合点が行かない様だ。
迷子と思われたらしい。
居酒屋の待機所、ギルドの受付室、衛兵の駐屯所・・・
たらい回しにされた後、噴水の前に置いてきぼりにされた。
不意に背後から声を掛けられる。
ギルドで見つけて気になっていたと男は話す。
子供ながらに行く宛ての無い僕には彼に縋るしか無いと思った。
彼の部屋は木造で温かな暖炉に手をかざさせてくれる。
待つように言われ、軒先で何か会話が聞こえる。
僕は奴隷として金持ちに売られるらしい。
話を聞く限り売られた者達は陸でも無い結末を辿っている事を知る。
気が付くと酷い雨も気にせず裏口の戸を出て駆け出していた。
いつの間にか最初に居た木の下に戻って来ていた。
少し標高のある景色を見降ろして見えるのは得体の知れない洞穴。
酷い雨を凌ぐ為に・・・
そして今の僕にはお似合いの場所だと心の中で自傷しつつ、奥へ、奥へと行く。
不気味な遠吠えに・・・壁に染みるのは血痕・・・?
食べかすにガラクタや死骸で足場の悪いダンジョンを進む。
最果てにあったのは小さな骸。
彼の冒険の果てはこんな結末なのか。
こんなの嫌だ・・・、死にたくない・・・・・・!
首に飾られた札を手にする。
ギルドに登録された冒険者証の様だ。
僕が初めてこの世界で何者かになれた瞬間であった。
幼い僕には、かつて居た世界に置き去りにされた事を理解できなかった。
歩いた。
ひたすら歩いた。
やがて街道に出て道を辿る。
僕を見る好奇の目が僕を歓迎していない事をなんとなく理解する。
開かれた門の側で居眠りする衛兵を通り過ぎる。
ここは・・・?
賑わう大人達が酒盛りをする。
端の空いた席に座る。
水を運んで来た人は酷く驚いている。
僕の名前を伝えても合点が行かない様だ。
迷子と思われたらしい。
居酒屋の待機所、ギルドの受付室、衛兵の駐屯所・・・
たらい回しにされた後、噴水の前に置いてきぼりにされた。
不意に背後から声を掛けられる。
ギルドで見つけて気になっていたと男は話す。
子供ながらに行く宛ての無い僕には彼に縋るしか無いと思った。
彼の部屋は木造で温かな暖炉に手をかざさせてくれる。
待つように言われ、軒先で何か会話が聞こえる。
僕は奴隷として金持ちに売られるらしい。
話を聞く限り売られた者達は陸でも無い結末を辿っている事を知る。
気が付くと酷い雨も気にせず裏口の戸を出て駆け出していた。
いつの間にか最初に居た木の下に戻って来ていた。
少し標高のある景色を見降ろして見えるのは得体の知れない洞穴。
酷い雨を凌ぐ為に・・・
そして今の僕にはお似合いの場所だと心の中で自傷しつつ、奥へ、奥へと行く。
不気味な遠吠えに・・・壁に染みるのは血痕・・・?
食べかすにガラクタや死骸で足場の悪いダンジョンを進む。
最果てにあったのは小さな骸。
彼の冒険の果てはこんな結末なのか。
こんなの嫌だ・・・、死にたくない・・・・・・!
首に飾られた札を手にする。
ギルドに登録された冒険者証の様だ。
僕が初めてこの世界で何者かになれた瞬間であった。
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