雪梛の一閃

雪梛

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魔王討伐編

魔王戦!?

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三人はとりあえずついて行くことにした。
中に入るとあまり派手な装飾はなくて落ち着いている雰囲気の内装ということがわかった。
「ではこちらのお部屋で少しお待ちくださいね。私も貴方がたとお話しがしたいので」
そう言って魔王はどこかへ歩いていった。
とりあえず中に入るといかにもなゲストルームだったので各々床に座った。
ほどなくして扉が開いて魔王が入ってきた。
「お待たせいたしました。ではこれからお話をはじめましょうか。おっとその前にお茶を入れさせていただきますね」
魔王はそういうと簡易呪文を発動させた。
すると使用人らしき人が茶だけ入れてさっさと退出した。
「ではまずは自己紹介をさせていただきますね。私はみなさん知っての通り魔王ですが魔族ではないのですよ。意外なことに人間である私がこのような立場についているのですけれどもね。私の名前は世無離と申します。以後お見知り置きを。そしたら異世界から来られた貴方がたの名前を聞いてもいいですか?」

世無離せなつ
かなり人と喋るのが好きらしくあまり虐殺思考は持ち合わせていない不思議な魔王
人間らしいがかなり異質な存在

「これはご丁寧にどうもありがとうね。私の名前は雪梛せつな。更なる強さを求めてこの世界を題材に小説を書いているいわゆる作者と言われる存在だよ。そしてこちらが私の生涯の相棒である香澄かすみだよ。まあ私たちは特筆してすごい能力はないからこんなもんかな」
雪梛は自己紹介をしながら世無離を観た。
少し観ずらかったがそれなりには読めたようだ。
「ありがとうございます。雪梛さんと香澄さんですね。それにしても貴方たちはかなり面白いものを持っていますね。眼だったり魔法だったりと。さぞ変な道を通ってきたのでしょう。よければこの後戦いませんか?」
世無離からの提案にはもとよりその予定だったので特に躊躇いなく承諾した。
「もちろんいいよ。まあお手柔らかにね」
香澄はびっくりしたが表情には出さなかったようだ。
「そういえば世無離と初雪はつゆきの関係性はどのようなものなのかしら?仲がいいみたいに聞いているのだけれども」
何か会話をしたかったのか素直に気になっていたのかわからなかったが香澄は質問した。
「ええ、そうですね。昔は街とかを二人で歩いていたり同居していたので結構そういう良い関係と思われていたと思いますよ。まあ覚えている人は少なくなっていますがね。その頃はたまーに親子ですか?とか言われてびっくりしちゃったりしましたね。どれも懐かしい思い出ですね」
雪梛と香澄は初雪と世無離を見比べて納得した。
「いや納得しないで欲しいんだけど…」
初雪は反論したが今回は分が悪かったようだ。
「一つ気になっているので聞いても良いでしょうか?雪梛と香澄さんはすでに一度は死を経験しておりますよね?」
なんか指摘されそうと感じていた雪梛は正直に答えた。
「そうだよ。私は2回で香澄は一回死んだことがあるよ。まあそのおかげで強くなった感は否めないけどね。もしかして世無離も死んだことがあるの?」
雪梛は鋭いところをついてようだ。
「ふふ、それはどうかしらね。ではそろそろやるとしましょうか。ついてきてください。戦場に案内いたしますよ」
世無離は立ち上がってからすぐに扉を開けて出ていった。
はぐれないように三人はさっさとついていった。
「初雪がお子様とはなかなか面白いわね」
「あんまりそのネタ引っ張らないでよ?」
初雪は少し顔を赤くしながら少し歩くペースを速めた。
扉に入っていったので初雪が扉を開けると円形バトル場がでてきた。
「すごい場所だね。かなりの高剛性に見えるよ。もしかしてこうでもしないと世界が終わるの?」
世無離は中央に立っていつのまにか腰にさしていた刀を抜いた。
「さあ、誰が戦いますか?この魔王世無離と」
「もちろん私だよ。なにせこの異世界生成バトル物語の主人公兼作者だからね」
そう言って雪梛は間合いをとって重心を低くした。
しかし発動前から雪梛は冷や汗をかいているようだ。
「珍しいわね。あの子はこんな感じになるなんて」
香澄は思ったままを言った。
「さあきなさい雪梛。久々に私を楽しませてね」
「白き世界に入る黒 冬の白とは相反し やがて勝るのはどちらか一方 この刀を振り終えたとき 私は 何を見ているかな」
ピカ
初撃から必殺級の一手で世無離せなつを殺しにかかった雪梛は光の中で感覚に導かれるままに刀を抜刀して振り抜いた。
「マイゾーン:一閃」
次の瞬間に雪梛は背後を軽く斬られたようだ。
そして見切りとコンセントレムによる最適解で追撃を回避してからカウンターをした。
「リアクションタイムすらも消せるなんてすごいわね貴方は」
世無離は雪梛のカウンターを体術回避して間合いをとった。
「予想してはいたけどまさかの傷なしとは初だよ。この圧倒的威圧感。私はこれを求めていた」
ニヤリと笑った雪梛は演舞の準備を瞬時に完了させて構えた。
「攻めてきて良いよ。私は守りの方が得意だからね」
「良いわよ。さあ受けてみなさい」
世無離は雪梛に急接近すると鋭い連撃を開始した。
シュンシュンシュンシュン…
漫画のような速度の剣撃を雪梛は観察しながら避けている。
「すごいわね。まさか私の刀を避けれるなんて」
「本職を舐めない方がいいよ」
雪梛はセリフを言い終えた瞬間に神速の一撃を最大の隙に叩き込んだ。
「演舞:新月斬」
これは流石に回避できなかったか世無離は足にかすられた。
「素晴らしい速度だわ。流石に本職には敵わないわね。じゃあここからは私もそれなりでいかせてもらいますよ」
「きな。白く染めてあげるよ」
世無離は刀を納刀して代わりにこちらに手を向けてきた。
雪梛は立体的視認と見切り、更には今まで必要のなかったコンセントレムによる精神の研ぎ澄ましと行動の最適化を使用して全方向への注意を向けた。
その瞬間に多方向から様々な属性の簡易呪文による攻撃がいくつも飛んできた。
簡易呪文とはいったもののどれもかなり強力でとても無詠唱で発動できるとはおもえないものであった。
雪梛は避けて切り裂きながらも時間を作って空破斬を世無離の胸に狙いを定めて放った。
世無離は空破斬が触れる直前に気流の乱れを感じ取って即座に回避行動をとった。
しかし見えないものに対しても確実に避けられるわけではなく肩に1発もらった。
「見えない斬撃ですか。流石は異世界から来たお方。私の知らないものばかりを使っていますね」
「こっちからしてもそっちは未知なんだけどね」
世無離の言葉に返しながらも雪梛は反撃方法を考えていた。
「こちらは1発もらったのでそろそろ貴方にも損傷をおってもらいましょうか」
「やってみな。防いであげるよ」
そういうと雪梛はミカエルを発動して剣先を地面に向ける神々しい立ち方をして簡易呪文は全て最適解で避けながら世無離からの大技を待った。
世無離は雪梛の構えを見てから簡易呪文を終了させて手を向けて詠唱を開始した。
「闇の粒子よ、我が呼び声が聞こえぬか。聞こえておるなら力を与えよ。この手に光を染める闇を与えよ。我が名は魔王世無離。この世界の魔を統べる異質な人間だ!全ての物に闇という休息を。沈め。ディメストルデリート」
静かに技名が言われた瞬間に世無離の手から少し大きめの黒い球体が3個出てきて雪梛へと飛んでいった。
「私は休みがあんまり好きじゃないんだよね」
軽口を叩きながらも雪梛は球体に観察眼を即時的にかけて理解して刀と身体にシールドを一枚ずつ張った。
ミカエルの従うままに二つの球体は雪梛の張ったシールドと相殺されて残り一つとなった。
雪梛は流体無焦点で回避してからすぐに詠唱をした。
「雷の粒子よ。我が呼び声に応えよ。メルキール」
雪梛は接近されていた黒い球体にメルキールを撃った。
しかし完全には消せなかったため左肩にそれなりのダメージを負った。
「技を借りるよ。詩奈」
雪梛はそういうと納刀して右腕を肩の高さまで上げてから即座に条件を整えて発動した。
肩から肘、肘から手首、そして手のひらから空気中に力を放出する前に空破弾を混ぜ込んだ。
「空裂弾」
今までの空破斬のものとは比べ物にならないほどの速度で飛んでいって世無離の腹に直撃した。
「ぐはぁ」
世無離は血を吐いたが面白そうに笑ってこちらに言った。
「最高です。まさかこれほどまでとは。正直私は貴方を侮っていました。お詫びとしてこの戦いの締めを飾る私の大技をお見せしましょう」
世無離はそういうと上に手を向けて詠唱を開始した。
その隙に雪梛は記憶の遡りを開始した。
「氷の粒子よ。この地を固め停めよ。現在の我に至高の相手が来た。空に集まりし膨大な力を、我の合図で地に落とせ。終滅ともなり得るこの力、しかし惜しまず使い切る!この暗き世界を、其方の白で染めてはくれぬだろうか。停めよ。ホワイスティックアロー!」
世無離が詠唱を終えると上空に巨大な氷の塊が生成されておりそれが雪梛に向かって落下を開始した。
雪梛はシュミレーションを終了させて一か八かの一発勝負の賭けを開始した。
雪梛は抜刀して剣先を巨大氷に向けて構えてから観察眼を発動した後に立体的視認を巨大氷の内部に発動してから剣先を調整して触れた瞬間に流体で刀を押してあげた。
シュン パキーーーーン
「え?」
世無離は思わず声をもらした。
スドーーーーン!
氷が地面についてその瞬間に実態が無くなっていった。
「粒子の統合性を崩されている?」
「ご名答、その通りだよ。まあ私もこの技に関しては一発勝負だし記憶からのシュミレーションしていなかったから少し恐ろしかったけどね。この技の名前は地球割り、誰のだったか忘れちゃったけどね」
雪梛は納刀して世無離の前に行った。
「いい対戦ができたよ。ありがとね。次は私は呪文を頑張ってまた来るね」
「これ以上貴方が強くなったら困るんですけどね。待っていますよ」
二人は会話を済ませると出口の方へ行って香澄と初雪とともに雪梛たちは一旦自宅へと帰っていってた。
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