雪梛の一閃

雪梛

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魔法使い編

乱戦開始?

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トーナメント最終日
未だに残っている参加者はとある場所に任意で移動とされた。
「何かしらここ?こんな場所があるなら最初から使えばよかったじゃない」
「それじゃあトーナメントになっちゃうでしょ」
香澄かすみ雪梛せつなは球型バトル会場の中に居た。
時期に他のメンバーも集まって来たようだ。
「皆さん集まりましたか?それじゃあここに集めた理由を説明するで。まあただイベントなんだからいろんな人に楽しんでもらいたいっちゅう話なんやがな。このフィールド内で乱戦や。じゃああと30分後に開始なのやさかい準備しといてなー。以上」
てんちょうからの説明を聞いた人たちは周りの人と喋り始めた。
「私たちも交流でもしようかしら?そういえば金髪の人はどこかしら」
「あそこにいるよ」
雪梛が指差した方向に身体を伸ばしている金髪の少女がいた。
「こんにちは。やっぱり貴方も生き残っていたのね。そういえば自己紹介をしていなかったわ。私の名前は香澄、そしてこの子が雪梛。貴方の名前を聞いても良いかしら?」
「もちろん良いよ。短かろうが戦った仲だからね。私の名前は光奈。よろしくね」

光奈こうな
普段から落ち着いている。あまり考察などはしない性格
とりあえずなんと無く理解できれば良いのスタンスらしい

そのあとは時間になるまで光奈と喋っていたようだ。
「時間やでー。じゃあ私がスタートって言ったら開始やからな。全員配置のつけー」
乱戦なのに配置があるのだろうか。
とりあえず他の参加者と一定距離をとって雪梛と香澄はモードチェンジした。
「おーっと雪梛と香澄。開始の合図がなってからでも良いか?流石にかわいそうだろ」
「まあそうなるよね」
二人は平常に戻して合図を待った。
「よーーーーーい、ドン。あ!すまんすまん間違えてもうたわ」
てんちょうにしょうもないことをされて香澄は1発だけ撃った。
「あぶな!まあまあ次はきちっとやりますから。では気を取り直して…スタート」
その瞬間に魔法使いの人たちは身体強化魔法をかけ始めた。
しかしこの中で四人は違った。
四人とも居合いで近くの参加者を即座にダウンさせた。
「やっぱこうなるんか…」
てんちょうは呆れながら言った。
他の魔法使いの人たちは怯えながらも身体強化を完了させたようだ。
「死にたくない人はさっさと降参しなさい。さもなくば自分の身体を見ることになるわよ」
流石にこんなイベントに化け物がいるとは思わなかったのか強者以外全員引っ込んでいった。
これで会場内に残っている戦闘可能人物は雪梛、香澄、朝月さつき会長かいちょー、深雪、光奈の六人となった。
「どうする?こんなんで乱戦なんかにしたら会場が壊れるよ?」
「そしたら雪梛、香澄、金髪の貴方でチーム。その他でチームを組んで二本とったほうの勝ちで良いかしら?これが一番わかりやすいわ」
朝月の提案に全員納得して分かれた。
初戦は光奈Vs深雪でいくようだ。
「初めましてだな。私の名前は深雪だ。貴方の名前を教えてもらっても良いかな?」
「もちろんだよ。私の名前は光奈。よろしくね」
そう言って両者魔法を発動して深雪は熱球体を、光奈は雷を生成した。
「まともな魔法バトルは久々だな。では早速行くぞ」
深雪は走りながらシールドを生成して熱レーザーを放ち始めた。
一応書いておくと会場には観客席があってそこにはかなりな高強度のシールドが張られている。
光奈は小さめのシールドをいくつか作り確実にレーザーを防ぎながら狙いを定めている。
深雪は分が悪いと思ったのか熱球体を消失させて代わりに真っ黒な球体を一つ出現させた。
「これは驚いた。まさか未だに闇の魔法を使える人がいるとは」
「まあ一つしか出せないし私はオーラウンドだからな。このぐらいは白髪なら誰でもできるぞ」
本気でそう思っている深雪は少し肩をすくめながら言った。
光奈は試しに闇に向かって雷を一本発射した。
すると闇に当たって弾けたと思ったら闇球体のみ残っていた。
「すっごいな。まあやるしかないか」
光奈こうなはそういうと雷をいくつも生成してさらに遠隔でシールドを深雪の周りに複数配置して全ての雷を発射し始めた。
ピカ ピカ…
ものすごい勢いでシールドを反射しながら四方八方を埋め尽くすほどの雷が深雪を襲った。
深雪は闇を薄く伸ばして正面を塞いでから背後には自身のシールドを二重に張って耐えるようだ。
全ての光が消えて深雪の闇も消え両者倒れた。
「体力切れかしら。なんともだらしないわね」
「流石にあんだけのことをやってたのにそれは辛辣じゃないかしら?」
香澄の言葉に会長が反応した。
「とりあえず二人はどかしちゃおう。こんなとこで寝られても邪魔だからね」
「貴方も大概ね。まああたしもだけど」
雪梛と朝月は二人をどかしながら何か一人忘れている気がするがとりあえず気にしないことにした。
「さあ次は会長かしら?拳でやり合いましょうよ」
「良いわよー。まだこの戦闘スタイルはやっていなかったからねー」
両者間合いをとって脱力して構えている。
先手を取ったのは香澄だった。
色付きを発動させて即座に高速移動をしてショートマイゾーンの応用で殴りかかった。
会長は受け流しで攻撃を流して香澄を観察している。
香澄は流体無焦点を使って会長を壁まで吹っ飛ばしたのちに自分には速撃で1発入れてセミフルブレイクを発動した。
会長は流体で衝撃透過を疑似発動させてダメージをかなり軽減してから流体で拳を肩の位置まで上げて構えた。
香澄は技に気づいたがすでに遅かった。
高速で接近して会長の拳と香澄の拳が触れた瞬間に香澄が吹っ飛んでいった。
そして居合いの応用で距離を詰めてさらに追撃をした。
香澄はあえてその攻撃をくらい衝撃吸収をした。
会長は衝撃系統の技を知らないため香澄に連打をしている。
途中で不審に思ったのか会長は一旦距離をとることにした。
香澄はこの瞬間を待っていた。
会長が後ろに下がった瞬間に今までもらっていた力の半分を移動に使って爆速で詰めた。
会長はまさかの速度の急接近に驚いたが多少は予測していたため流体を発動させた。
ドコン!
人の拳からは出ないような音を立てて会長は壁に吹っ飛んでいった。
思ったよりも威力が高くかなりダメージをもらったがまだ継続できるようだ。
「すごい威力ね。流石の私も本気でいくわよ」
「むしろ本気でなくてよく死なないわね」
会長は集中力を高めて目を閉じてゆったりとまぶたを開けると赤く光った目を覗かせた。
その瞬間に熱球体を複数体生成して香澄の周りに配置して自身にシールドを“つけながら”動き始めた。
「それは流石にずるすぎじゃ無いかしら?」
香澄は冷や汗をかきながら会長が球体を使って来たためこちらは抜刀した。
会長は動きながら球体に人差し指で指示を出して射撃を開始した。
香澄は連続直線攻撃なため演舞を開始した。
刀での受け流しはせずに立体的視認の疑似発動をして体術のみで舞っている。
不意に会長が止まって人差し指を向けながら香澄の周りににシールドを大量配置して3発ほどもはや光奈の雷並の速度で発射した。
シュンシュンシュン
並の人間ならこんな複雑なものを理解するのにかなり時間がかかるが香澄は普段からビリヤードを使っているので即座に到達ポイントを割り出した。
そして最後の3発目を回避した瞬間にマイゾーンを会長に発動した。
流石に魔法を全力で使いすぎたのかかなり疲労していた会長は香澄のマイゾーンに気づけなかった。
カキィン
軽快な音を鳴らしながら会長の張ったシールドは壊れていった。
「見事ね香澄。あの演舞は美しかったわよ。なんていうのかしら?」
「演舞:新月斬よ。もっとも本当はあの演舞のまま斬る技なのだけれどもね」
会長は端っこの方へ行きちょこんと座った。
「さてと、最後は私と朝月だねって言いたかったんだけど違うみたい。朝月ごめんね。続きはまた今度にしようか。いつでも待ってるから。さてと熱無。入って良いよ」
雪梛がそういうと会場の入り口から熱無あつなが出て来た。
「全くタイミングが悪りーよな。なんであんなに白熱してんだよ。しかも会長が負けたのかよ⁉︎まじか」
熱無はびっくりしながら準備をしている。
何故熱無が今きたのかというと単純にこの場所に来るのが任意で雪梛たちが戦っているという情報を入手してから来たからだ。
「今回も雪梛は本気じゃねーのか?」
「そうだね。でも一応今の状態の本気で迎え撃ってあげるよ」
雪梛はそういうと刹那モードに切り替わり抜刀した。
「あのめっちゃ速い居合いは良いのかよ?」
「あんなんやったら試合が終わっちゃうよ?もっと楽しもうよ」
雪梛はそういうと立体的視認を疑似発動させてから見切りを発動させて構えた。
熱無は背中にシールドを張って熱球体を複数出し、そしてバックパックかのように背中のシールドのすぐ後ろに熱球体を一つ配置してから人差し指を雪梛に向けた。
「さあ来なよ。先手は譲ってあげるよ」
「そもそも雪梛はそんなに攻めてくるようなスタイルじゃねえだろ」
軽口を叩きながら熱無は人差し指から小さい熱球体を生成し、徐々に大きくそして熱くしていきながら直径30cm程にして発射した。
速度自体は見切りが発動可能ほどだったため雪梛はあえて斬りにいった。
シュ
「は?」
雪梛の最速剣であるマイゾーンでいき切れたのだが少しだけ刀が熱くなってしまった。
「私もまだまだだね。刀身を熱くしちゃうなんて」
「いやお前何いってんだよ。あのえぐい火の玉ストレートをぶった斬って刀が溶けていないんだぞ。最強みたいじゃねえかよ」
熱無は素直な感想を言ったのだが雪梛はありがとうとだけ言った。
「さあ気を取り直して…いくよ」
その瞬間に雪梛は刀をフルパワーで振って空破斬を放った。
熱無は背中につけていた熱球体からエネルギーを発射して背中のシールドをレーザーで焼きながら移動している。
「楽しそうだねそれ」
「確かに楽しいがこれめっちゃエネルギー効率が悪いんだよ。短期決戦だ」
「望むところ」
熱無は最初に出した熱球体からレーザーを出しながらパワーを溜め始めた。
雪梛は無論観察眼で見抜いていたが相手の本気を邪魔するほど最低では無い。
まあただの試合だからだがな。
雪梛はレーザーを見切りで避けながら熱無の決め技の考察に入った。
先程はなかなか大きいボールだったため今回は速度重視の可能性が高いと判断した。
この場合はなかなかめんどくさいと雪梛は思った。
なぜならば、速くて大きいと言う事はそれだけ回避しづらいからだ。
雪梛はどう回避するかを考えながらその時を待った。
熱無の準備が終わったのか、不意にこちら側に軌道が向いた。
熱無は指先に熱球体を生成し先ほどと同じ大きさにまでしてそれを押し付けるかのように雪梛に突撃してきた。
「ゴリ押しだァァァ」
そのまんまの技名を叫びながら近づいてくる熱無を見ながら雪梛は動きを開始した。
雪梛は無焦点で後ろに下がり、壁に触れた瞬間に衝撃吸収を行いそれを横向きに放出して回避を試みた。
熱無は急な方向転換に対応できなかったが、壁に張られていたシールドに弾かれ雪梛の逃げた方向に熱球体を発射した。
「当たれーーー!」
熱無は倒れながら叫んだ。
流石の雪梛もこれは予想外だったのか回避行動が遅れてしまい腕を軽く焼かれた。
「!?」
雪梛は驚いたが顔には1ミリも出さず熱無に話しかけた。
「すごいね。さすがにこれは予想外だったよ。最近はまたもダメージを食らうなんてみんなが強くなってるのか私がダレてるのかわかんないね」
「殺せなかったけどなかなかいいやつだったろ」
熱無そう言って意識が途切れた。
「優勝は雪梛や。さて優勝者よ。何を望むんや?」
少しだけ冷や汗をかきながらてんちょうは雪梛に聞いた。
「私はいいかな。じゃあ香澄、欲しいものを言って」
何を望んでいるかわかっていながらも雪梛は香澄に聞いた。
「ありがとう。私が欲しいものは1つよ。あなたの心臓よこしなさい」
「しゃーないからええわ。ほらさっさと殺しー」
何やらあきれ気味にてんちょうは言った。
香澄は何の躊躇もなくてんちょうの首をかっと飛ばした。
「ああ、最高だわ。じゃあスッとしたし帰ろうかしら」
そう言って背を向けた瞬間に香澄はめちゃめちゃ驚いた。
「トリッックとは言わんけど、まぁその反応は正しいやな。まぁでも望みは叶ったしええやろ」
「どういうカラクリかしら?確かに私は無惨に殺したはずよ」
「ひどいこと言うな。ま確かにその通りなんやけど。単純な話や。お前さんが殺したのは別の時間軸の私であって、今の時間軸の私はこうして生きているっちゅうこったよ」
香澄はまあいいわと言って帰り支度を始めた。
そんなこんなで荒れまくった。3日目のトーナメントは終わった。
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