雪梛の一閃

雪梛

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原初編

雪梛のDF戦

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10分ほど前
「あなたが対戦相手ね」
雪梛せつなは身体を伸ばしている一刀もちに話かけていた。
「なかなか強そうなひとね。これは新人戦みたいなモンだってのにね」
雪梛の方をだるそうに見ながら話してきた。
「私は雪梛だよ。型はADF型。あなたは見た感じDF型ね。名前を聞いてもいい?」
「私は霊斬だよ。結構序盤の方でキャラ自体は完成していたのに出しどころがなくて無理やり大会にきたDF型だよ」

完全分析
防御流派の霊斬れいき(16歳 女 一刀)DF
相手の攻撃を受け続け隙が見えたらカウンターを入れる戦闘方法をとる珍しい戦い方を好んでいる。剣を巧みに操り衝撃を無に近ずけて受けている。

「そっかあなたももう知っているのか」
雪梛はそう言いながら作者の言葉を思い出した。
(全員に同じ内容を送った)確かに全員に送っていたようだ。
「序盤ってどの辺?」
なぜか雪梛は先程の話を掘り下げている。
「雪梛が最初に刹那モードになったあたりだよ」
「古すぎでしょ。それってリアルタイムの6ヶ月ぐらい前の話じゃん」
ここで雪梛がハッとして霊斬に話しかけた。
「流石に外れすぎたからしっかりしよう」
そう言われた霊斬は“わかった”とだけ残して会場に入って行った。




「皆様、大変長らくお待たせ致しました。まもなく準決勝が始まります。今回は両者かなりの強者となっておりますので瞬き厳禁でご覧ください」
会場がしんと静まったなか雪梛と霊斬がなぜか同じゲートから出てきた。
「なんで同じとこから出て来てんの?」
りえはおおかた予想がついているのに問いかけた。
「どうせ長く話し込んでたとかよ」
予想通りの答えに満足したりえは2人を再度見始めた。





「そういえばゲート別だった」
「開始前から何してんのよ…」
霊斬は呆れながら言った。
「まあこんなゲートはどうでもいいんだよ。それよりもどのぐらいまで斬り合う?」
すると霊斬は少し考える素振りをしてから
「まいったを言うまででいいよ」
「そう来なくっちゃ」
雪梛は満足げに言うと数歩動いて間合いをとった。
「ではいつでも始めてください」
そのアナウンスを聞くまでもなく2人は抜刀して中段構えをとった。
「わたしが先手を取ってあげるよ」
「DFとわかっているのに変なやつだね」
いつもの戦闘のように話をしながらも2人は各々の技を出すために集中し始めた。
雪梛は刀を鞘にしまってから身体を低重心にして左足のつま先を霊斬の方に向け正面に構えいつでも抜刀できるような体勢になった。
霊斬は中段構えの姿勢のままただただ雪梛を見据えて準備していた。
「それは居合いか?中々にすごいのが見れそうだな」
「果たして霊斬の見切りは反応できるかな」
2人は軽口を叩きながらもうすぐ来るであろう行動の瞬間を待っていた。
会場はしんと静まり返り少しでも音を出したら自分が斬られるのではないかと錯覚するほどだった。
唐突に2人は動作を始めた。
雪梛はマイゾーンで霊斬に斬りかかった。
その瞬間に霊斬は見切りを発動して一瞬早く行動を起こし脱力させた身体を動かし雪梛の刃と自身の刀の刃を合わせる。
そして微妙に角度をずらしつつ衝撃、威力を流して無効化させた。
さらに相手の攻撃の後の隙をつくためにすばやく二刀目を繰り出す。
しかしここは雪梛も読んでいたため刃を合わされてしまう。
鍔迫り合いは避けてすぐに雪梛は後ろに跳躍して距離を離した。
「すごい反応だね。私のマイゾーンを無傷で受けられたのは三人目だよ」
「そう言うそっちこそなぜカウンターに反応できたのかが不思議でならないよ」
両者喋りながらも次の一手を考えていた。
というのもDF型同士の戦いだとどうも受け技が多くなってしまい手数の多い技が少ないからだ。
それに霊斬はカウンター持ちときた。
「じゃあどんどん攻めてみるとするか」
「普段からDFやってたんならきついんじゃないの?」
ふたりは緊張感を感じさせない会話をしていた。
「さてどこまで避けれるかな」
雪梛は動き出すと距離を一気に詰めて霊斬の足目掛けて横薙ぎを放った。
見切りで軽い先読みしていたため霊斬は少し後ろに跳躍して回避。
回避先に雪梛が霊斬の右肩目掛けて突きを放った。
突きというのは相手に突き刺した時と同じ角度で引き抜かねば刀が抜けずに武器を失ってしまうかなりの高難度な技なのだが虚をつくために雪梛はあえて使った。
霊斬は内心驚きつつもいつも通り右足を左足の後ろに持っていって最小限の動きで避けた。
そしてここぞとばかりに雪梛の胴に横薙ぎを放った。
しかし雪梛はこれを読んでいた為地面に這う形で回避した。
標的が目の前から消えて気配を一瞬探している霊斬に雪梛は手を地面につけて支点にして回転蹴りを放った。
霊斬は風を感じてとっさに跳躍した。
跳躍している霊斬に雪梛の切り上げが襲いかかった。
霊斬は刀を構えて雪梛の刀が当たると同時に力の向き、刀の速度を調整して受け流し
を発動させて雪梛の斬撃をいなして着地と同時に距離を取る為後ろへ跳躍した。
「中々いい動きするじゃん」
「どうせまだ軽くやってる感じなんでしょ」
2人は息もあげず落ち着いた様子で次の手を考えていた。
「どうするの?このままじゃ埒が開かないよ」
「大丈夫だよ。一回霊斬戦は書き直ししているからその辺は考えてあるよ」
そう言うと雪梛は納刀して服の中からハンドガンを取り出した。
「なんの冗談?」
「いいや?きっちり使えるよ」
「さあ見切れるかな」
そう言うと雪梛はセミからフルに切り替えて右斜上から左斜下に銃を降ろしながら弾を三発撃った。
霊斬は見切りで弾道を確認してから自身の胸目掛けて飛んできた弾を真っ二つに切った。
「⁉︎」
霊斬れいきが切った弾が綺麗に雪梛の撃った弾に当たって再び霊斬に戻ってきた。
霊斬は切るのが間に合わないと悟って銃弾と共に超高速で後ろに吹っ飛んでいきながら少しずつ弾の軌道をそらして被弾を免れたが壁に激突した。
「凄いね。まさか自分ごと吹っ飛ぶなんてね」
「今のは流石に死ぬかと思った」
ダメージを受けてもそれを顔に出さずに霊斬が戻ってきた
「ともあれわたしが多少銃を使えるのはわかったでしょ?」
「うん。文字どうり身に染みてわかったよ」
「本当は経験じゃなくて血が染みてる予定だったんだけどなぁ」
両者軽口を叩きながら次の一手を考えてる。
「ここは珍しくわたしからいかせてもらおう」
「いいね~。そう来なくっちゃ」
霊斬は刀を鞘に収めて左足のつま先を雪梛に向けて重心を低くした。
「居合いか。中々難しいよ」
そんなことを言いつつ雪梛は肩の高さで銃口を地面に向けてじっと霊斬を見据えている。
「…」「…」
フィールドには無音の世界が広がった。
バッ
霊斬が地面を蹴り素早く最高速度に到達して高速で雪梛に襲いかかった。
刀が鞘から流れるように抜刀されて雪梛の胴体に一線が走る。
「やっぱり胴体狙うよね」
雪梛はここまで完全に推測のみで読み切っていた。
見切りによって霊斬が地面を蹴った瞬間に刀の軌道を理解すると同時に雪梛は銃を刀の予想到達地点まで銃口を下げて霊斬の刀の平と銃口が接触した瞬間に軽く跳躍しながら発砲した
「くっ」
霊斬はとっさの事ながらも自分の刀を折られまいと急なベクトル変更で刀を地面に向けて下ろしてから一回転させた。
「一瞬でも止まったら心臓も止まるよ?」
雪梛は間髪入れずに霊斬のリアクションタイムの間に左足に向けて一発撃った。
「ハアァァァ!」
霊斬は無理矢理身体を動かして銃弾に対して受け流しを使用して一回転して着地をするとすぐさま距離を取る為跳躍した。
「凄い身体能力だね。DFだとみんな妙に動きがいいんだよ」
「本当にあなたは何者だ?銃を使い始めたのはここ最近でしょ?その理由としてさっきから連射の機会がないのにセミに切り替えてない」
霊斬は冷静に分析しながら雪梛に質問した。
「よくわかったね。いかんせん銃には慣れていないんだよ。まあフルだろうがセミだろうが使えればいいんだけどね」
そう言いつつも雪梛はセミに切り替えていた。
「さてどうしようかね。このままでは決着がつかないようだよ」
「それについては同感だ。どうもジリ貧にもならないとはね」
雪梛は銃にセーフティをかけて服の中にしまいながら考えて提案した。
「じゃあこうしよう。互いの自信の技を合わせておしまい。ちなみにわたしはマイゾーンね」
「じゃあわたしはカウンターだな」
両者集中力を高めて口を揃えていった
「「一本勝負だ」」
会場は先程の会話していた雰囲気とは打って変わって緊張感があふれていた。
会場はしんとしていて再び無音の世界が戻ってきた。
ドン
雪梛が地面を力強く蹴ってこれまでの攻撃は準備運動ではなかったのかと思わせるほどだった。
霊斬は見切りで“だいたい”の雪梛の軌道を把握して刀を構えて受け流しの準備をした。
カチ
予想通りの軌道を描いて雪梛の刀が霊斬の刃と合わさった。
そのまま霊斬は限りなく同速に近く少しずつずらしながらもほぼ同方向に刀を持っていき負荷無く雪梛の刀を流し切った。
(いける)
圧倒的な敗北フラグを脳内で立てながら霊斬は雪梛の後隙をつくようにカウンターを繰り出した。
「もらったよ」
そう言いながら雪梛は笑って右足を軸にして回転して霊斬の刀をきっちり受け流し?をしてさらにカウンター?を霊斬に喰らわせた。
「きついってー!」
霊斬は叫びながら後ろへの回避を試みたが間に合わず浅く傷を左肩にもらった。
「いやー、久しぶりに熱い戦いができたよ」
雪梛は楽しそうに話しかけた。
「こっちは肩が熱いけどね」
霊斬の方も存外楽しかったようで笑いながら軽口で返した。
まだ戦えたが霊斬は白旗を上げて雪梛と一緒に退場をした。




「なんか変な試合だったね」
言映ことはが同意を求めるように香澄かすみたちの方を見ながら言った。
「まあ、こんな対戦だけでもなんか熱いものを得られたんじゃないかしら。少なくともあたしはいい試合が見れたと思っているよ。雪梛の成長も見られたし」
「なんか母親みたいになっていないかしら」
香澄がそうつっこむとくすくすと笑いが起きた。
「次の決勝戦は香澄と雪梛なんでしょ?」
りえがそう聞くと香澄は頷きながら
「ええ、そうよ。雪梛は多少疲れているだろうけど容赦せずに勝ちに行くわ」
香澄はそう言って自身の銃をだし不備がないかの確認をし始めた。
「でもあたしも出たかったな。最近は作者が本格的に最終決戦に持っていこうと書き進めているみたいだし」
「あたしたちは不憫キャラで行くしかないでしょ」
言映と朝月さつきは自虐的に笑い始めた。
「でも2人はまだいいじゃん。言映は最初から一応出ていて朝月は雪梛の師匠的な過去があるっていう多少なりとも目立つような印象をもらえたもらえたじゃん。わたしなんてただの銃使いだよ。なんかしょぼくない?」
このまま放っておくとどんどんグレーゾーンに入ってしまいそうなので香澄が止めに入った。
「それくらいにしておきなさい。あんまりふれると何が起こるかわかったもんじゃないわ」
その言葉に三人は頷いた。そして
「じゃあ試合頑張ってきてね」
「後で分析結果を教えるわね」
「また変なの見してくれよ」
三人は手を振りながら応援?の言葉を送ってくれた。
「全く…人の試合をなんだと思っているのかしら」
そんな事を言いながらも香澄は久々の雪梛との試合にテンションが上がっていた。
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