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憧れの一軍
68 KYO
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最寄りのバス停に着くと待っていたのは西川だった。
東山は俺たちを誘っておいて「休みのときくらい実家に帰ってこい」と言われて俺たちの案内を西川に託したようだ。
俺たちは「なんだ東山のやろう、ふざけやがって」と冗談ぽく言ったが、怒ってるわけではない。
「今日は一軍も休みだから、寮はガラガラなんだろ?」と聞くと、「いや、1年は殆んどでかけてると思うが、先輩達は午後、全国大会予選の組み合わせ抽選があるから、抽選会に行っているキャプテンからの連絡待ちで殆んど寮にいるみたいだ」と言った。
一軍は上級生も寮で生活するのが決まりのようだ。
「それで、どうだ一軍は?」と俺は聞いた。
「練習がきつくてさ」なんて軽く愚痴の返事でも返って来るかと思っていたが、「寮は綺麗だし飯もうまいし、なかなか良いぞ」と返ってきた。
「へぇ、そうなんだ」と俺は返し、そのまま話は進展せずに終った。
寮に着くと唖然とした。
一と二ではこんなに違うものか!中に入ると、広いエントランスがあり、廊下が延びてる。
キョロキョロしながら歩いていると、向こうから図体の大きな男があるいてきた。
西川は「はっ」として、「伊集院先輩、お疲れ様です」と言い直立不動だ。少し震えている。「西川、二軍のときの友達か?」と聞かれると、「はい。二軍のときのチームメイトでアリマス」と上擦った声で答えた。額には汗が浮き出ている。すると、その先輩は俺たちに向かって、「僕は二軍の寮に行ったことないが、一軍の寮はいいだろ。頑張って一軍に来い」
と言われた。
俺たちも「はい、頑張ります」
と緊張しながら答えた。
先輩が行ってしまうと西川は「ふぅ、3年の伊集院先輩でメチャクチャ恐いんだ」と言った。そして「談話室に行こうぜ」と俺たちを誘った。
7人で話をしていると、また別の先輩が西川を探していたようで、談話室に入ってきた。
「あっ、鈴木先輩、お疲れ様です」と西川は挨拶したが、さっきとは緊張感がまるで違う。たぶん2年の先輩だ。
「今、3年の先輩達と食堂で抽選の連絡を待ってるんだけど、伊集院先輩に西川探して呼んでこいって言われて」と言った。
西川の顔がみるみるこわばり、「わっ、わかりました」と立ち上がった。相当緊張している。
先輩は「悪いけど、ここでちょっと待っててな」と俺たちに言って、西川と談話室を出ていった。
すぐに西川が談話室に帰ってきたが、申し訳なさそうに俺たちに言った。
東山は俺たちを誘っておいて「休みのときくらい実家に帰ってこい」と言われて俺たちの案内を西川に託したようだ。
俺たちは「なんだ東山のやろう、ふざけやがって」と冗談ぽく言ったが、怒ってるわけではない。
「今日は一軍も休みだから、寮はガラガラなんだろ?」と聞くと、「いや、1年は殆んどでかけてると思うが、先輩達は午後、全国大会予選の組み合わせ抽選があるから、抽選会に行っているキャプテンからの連絡待ちで殆んど寮にいるみたいだ」と言った。
一軍は上級生も寮で生活するのが決まりのようだ。
「それで、どうだ一軍は?」と俺は聞いた。
「練習がきつくてさ」なんて軽く愚痴の返事でも返って来るかと思っていたが、「寮は綺麗だし飯もうまいし、なかなか良いぞ」と返ってきた。
「へぇ、そうなんだ」と俺は返し、そのまま話は進展せずに終った。
寮に着くと唖然とした。
一と二ではこんなに違うものか!中に入ると、広いエントランスがあり、廊下が延びてる。
キョロキョロしながら歩いていると、向こうから図体の大きな男があるいてきた。
西川は「はっ」として、「伊集院先輩、お疲れ様です」と言い直立不動だ。少し震えている。「西川、二軍のときの友達か?」と聞かれると、「はい。二軍のときのチームメイトでアリマス」と上擦った声で答えた。額には汗が浮き出ている。すると、その先輩は俺たちに向かって、「僕は二軍の寮に行ったことないが、一軍の寮はいいだろ。頑張って一軍に来い」
と言われた。
俺たちも「はい、頑張ります」
と緊張しながら答えた。
先輩が行ってしまうと西川は「ふぅ、3年の伊集院先輩でメチャクチャ恐いんだ」と言った。そして「談話室に行こうぜ」と俺たちを誘った。
7人で話をしていると、また別の先輩が西川を探していたようで、談話室に入ってきた。
「あっ、鈴木先輩、お疲れ様です」と西川は挨拶したが、さっきとは緊張感がまるで違う。たぶん2年の先輩だ。
「今、3年の先輩達と食堂で抽選の連絡を待ってるんだけど、伊集院先輩に西川探して呼んでこいって言われて」と言った。
西川の顔がみるみるこわばり、「わっ、わかりました」と立ち上がった。相当緊張している。
先輩は「悪いけど、ここでちょっと待っててな」と俺たちに言って、西川と談話室を出ていった。
すぐに西川が談話室に帰ってきたが、申し訳なさそうに俺たちに言った。
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