若者たち

ザボン

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第0章◆◆◆本郷物語

#16

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先生は少し落ち着いた二人を会議室の向かいの席に座らせた。
会議室は大きいので、向かいの席でも十分に距離がある。二人の横にはバスケ部の顧問と副校長がそれぞれ座り、横の席に俺は座るように指示された。
廊下から、「頭どけろよ、見えねーよ」「ちょっと、あんまり押すなよ」と、小声だがはっきり聞こえる。
副校長が改めて確認をした「それで、喧嘩の原因はなんだ、木下」まずは先輩の木下へ聞いた。
「はい、こいつがいやがってる本郷にイチャイチャしつこいので」と言うと、「本郷は嫌がってなんかない。俺といて楽しいんだ。それを木下先輩が悔しがって」と大西先輩が反論した。
二人は今にもつかみかかりそうな勢いだ
「なら、本郷はどうだったんだ?」
俺に聞いてきた。「大西といて、嫌だったのか?楽しかったのか?」俺は困って、泣き出した。
これには先生も驚いた。
「ぼ、ぼ、ぼく、僕は、こ、こ、大西せ、先輩と、き、きのした先輩、が、なか、なか、仲良くし、してほしい」泣きながらその名台詞をやっと言い終わった。そして会議室の机に顔を伏せた。
副校長は、「本郷はこう言ってるが、二人はどうなんだ」と、怖い顔をして言った。(僕はそっと覗いていた)
まずは大西先輩が「俺は本郷がいやがることはしたくないし、望むことをしたいと思う。木下先輩次第だ」といい、木下先輩も「俺も本郷のこんな泣いてる顔は見たくねー」と言った。
そして副校長に促され、握手を交わした。
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