若者たち

ザボン

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第七章◆◆◆目黒台高校ラグビー部

第五十一話

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俺は博司の散乱した荷物の中から、スマホを拾い上げ、意識のない博司の指紋で解除し、pin番号を変更し、「俺の鞄にいれとけ」と斎藤に渡した。
斎藤はごそごそと俺の鞄にスマホをいれた。
そこには、あの薬が入っていた。

夏樹先輩とキャプテンのテレビ会議での配信されたあと、ラグビー部ではその話題で持ちきりだった。
俺の盗撮と尚樹の配信について、話題にするものはいなかった。すでに(古い話)になっていたのだ。
幹部の間では以前のように牽制しあうこともなく、大っぴらに卑猥な話をしていた。「やっぱりキャプテンの体はぺニス含めてたくましい」とか、「綺麗という表現なら夏樹先輩の体だ。俺もぶちこみてー」など、話がつきない。「あの映像、もうちょっと鮮明だったらな」とか、「アップが欲しかった」とか文句も出ていた。しかし、「何で夏樹先輩まで?」と言う疑問には、皆首をかしげていた。
誰かが「講習会のあとは、尚樹の言動が正しかったんだな」と言い、皆で顔を見合わせて笑った。
夏樹先輩の部屋でキャプテンと鉢合わせして以来、キャプテンの消息はわからない。
ただ、今までと状況が違い、自分の意思で連絡を断っている事だけは、間違えないと思う。ラグビー部の幹部たちには詳細は説明せず、キャプテンの捜索は打ち切った。

俺は顧問の先生に呼ばれた。
そして、博司が、入院したことを告げられた。「病気ですか、怪我ですか?すぐにみんなで見舞いに行きたいです」と言うと、「病気だ。心の病気というやつだ。かなりひどいらしい。精神病棟に入院しているので、見舞いは無理だ。性的な事で何かあったようなのだが、原因を知らないか?」
と聞かれた。
その質問に俺は役に立てなかった。

博司が狂ってしまい入院したことで、ラグビー部の様子がわからなくなってしまった。あの進というやつは、もう少し罰を受けてもらう必要がある。夏樹もだ。
本郷さんからも、「夏樹と進の二人とも興味を持たれている」と聞いている。そのうちこの二人もホテルに呼ばれるだろう。
俺は会ったことがないが、斎藤はこないだ本郷さんの対応をしていた。
その時の動画を編集して、BDに焼き付けた。
最後はビクビクと震える博司のどす黒く、血管が異様に浮き出たぺニスのアップで終わっている。
毎回、上納している動画は、モデル以外の顔のモザイクありとなしの2バージョンを提出している。そういう指示だ。覆面の男はどちらもモザイクはしていない。しかし、この男は誰なんだ?
それは本郷さんしかしらない。聞いても「知らなくていい」と言って教えてくれない。まあ、気にしない事にしよう。今回指示された目黒台高校ラグビー部との繋がりを持つことに専念することにした。
新たな内通者は、尚樹しかいないと思っている。
しかし、尚樹の場合、ラグビー部の奴らにその事を感づかれる可能性がある。もしかしたらこれまでの事も、博司ではなく尚樹を疑っているかもしれない。
「あっ 」
俺は大事なことを忘れていた。
尚樹は幹部会のメンバーではないから、情報も少ない。
それなら比較的尚樹と仲がよい幹部会の田辺から、尚樹を使い情報を聞き出すしかないか?
考えぬいたが、やはり尚樹では難しい。と俺は結論づけた。

◇◇◇

「今日から2週間、ラグビー部のコーチをしてくれる教育実習生の須藤先生だ」顧問が紹介した。「目白台大学3年須藤です。よろしく」と自己紹介した。
俺は困惑した。
進は須藤コーチを誰もいない部室に誘い込み、「どういうつもりですか」と直接聞いた。
「なんのことだ?」ととぼける。
「夏樹先輩やキャプテンの人生を滅茶苦茶にして、よく目黒台高校ラグビー部にこられましたね」と嫌みを言った。
「君は何か誤解しているようだね。確かに僕は夏樹を愛したが別れた。これは二人の問題だ。キャプテンというのは夏樹と同期の三浦君の事だね。僕は事情がよくわからないんだ。本郷先輩や、後輩の斎藤が関わって大変なんだ。と夏樹から聞いた気もするが・・」
俺は引き出しのSDカードの事を問いただした。
「エロ動画を見るのは俺の趣味だ。俺の性的思考も君にとやかく言われる筋合いはない」と一括された。
そこにキャプテンや夏樹先輩の動画もあったと指摘したが
「本郷先輩や、他の友達に渡されたエロ動画もあったが、全部は見きれていない。それより、いくら夏樹の後輩だからと言って、俺の机から私物を持ち去ったら、それは窃盗だ」と言及され言葉に詰まった。
「誤解から目障りなことすると、俺も本郷先輩や斎藤に相談することになるからな」と、脅された。当然俺のコロンでの恥ずかしい動画も編集して持っているのだろう。

須藤はラグビーはたいして上手くなかったが、部員の心をつかむのが上手かった。
皆でシャワーを浴びるときは一緒に浴びて、「男同士なんだから恥ずかしがるな」と言い、自ら勃起して見せた。
1年の中でも成長が遅い子達は、でかい大人のぺニスに釘付けになった。「お父さんのとおんなじだ」とボソッと言う子もいた。
数日後には、前を隠すようにシャワーをしていた部員たちも、打ち解けてきて、勃起を見せあいながらワイワイとシャワーをした。
まだ剥けていない子達には、「勃起をしたとき、こういう風に皮が剥けないと、SEX出来ないから、オナニーする前に剥いておけ」などアドバイスも行い、須藤は全学年から信頼も得ていた。
みんな練習よりシャワーの時間を楽しみにして、「じゃんけんで負けたやつが、ケツの穴見せるのな」とか、「明日の練習試合で負けたチームがオナニーして見せよう」など、エスカレートしていった。
2週間の教育実習が終わる頃には、須藤と幹部たちとの間でグループ、個人ともネットワークが出来ていた。
俺は部員に「須藤を信用するな」と言って回ったが、誰も聞く耳をもたなかった。

須藤は実習が始まってすぐに仕掛けておいた隠しカメラを最終日に取り外した。更衣室とシャワールームだ。
それを持ちかえり「次のターゲットは、どの子がいいかな」と鼻唄混じりに編集を始めた。

夏樹は教育実習の件を進から報告、相談を受けていたが、須藤に対して怖くて何もできなかった。なにも言えなかった。
自分の情けなさに涙がでてきた。
須藤先輩が帰ってきた。あれ以来僕は自分の部屋に居るのがつらい。
「夏樹、こんなのが撮れたぞ」
俺に動画を見せた。それにはラグビー部の後輩たちがシャワールームで勃起をさせながらふざけあってる動画だった
「一人だけだと恥ずかしいけど、みんな一緒だと気が緩むんだよなー」
そして、「編集されたら恥ずかしい動画にもなるんだけどな」そう言うと一度画面を閉じた。
「例えば3年の田辺君なかなか美男子だ」
別のファイルをクリックした。そこにはTANABEというファイル名になっていた。
動画から一部分が切り取られ、田辺だけに編集されている。
笑いながら楽しそうにオナニーをしている。
「田辺君率いるチームが練習試合で負けちゃったんだよな」
と、楽しそうに動画を見ている。
「もう許して下さい」と、僕は須藤先輩に頼んだ。「なら、お前がエロくて恥ずかしい事をしろ」と俺はカメラをかまえ夏樹に命令した。
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